新私訳:韓国の民法 その4<第162条~第184条>

    第7章 消滅時効
 (債権及び財産権の消滅時効0166:0167:0168-01
第162条 債権は、10年間行使しないときは、消滅時効が完成する。
 債権及び所有権以外の財産権は、20年間行使しないときは、消滅時効が完成する。
 (3年の短期消滅時効
第163条 次に掲げる債権は、3年間行使しないときは、消滅時効が完成する。
 (1) 利息、扶養料、給料、使用料その他1年以内の期間により定めた金銭又は物の給付を目的とした債権
 (2) 医師、助産師、看護師又は薬剤師の治療、助産、看護又は調剤に関する債権
 (3) 請負人、技師その他工事の設計又は監督に従事する者の工事に関する債権
 (4) 弁護士、弁理士、公証人、公認会計士又は司法書士に対する職務上保管している書類の返還を請求する債権
 (5) 弁護士、弁理士、公証人、公認会計士又は司法書士の職務に関する債権
 (6) 生産者又は商人が販売した生産物又は商品の代価
 (7) 手工業者又は製造者の業務に関する債権
 (1年の短期消滅時効
第164条 次に掲げる債権は、1年間行使しないときは、消滅時効が完成する。
 (1) 旅館、飲食店、貸席又は娯楽場の宿泊料、飲食料、貸席料、入場料、消費物の代価又は立替金の債権
 (2) 衣服、寝具、葬具その他の動産の使用料の債権
 (3) 労役人又は演芸人の賃金又はこれに加えて供給した物の代金債権
 (4) 学生又は修業者の教育、衣食又は寄宿に関する校主、塾主又は教師の債権
 (判決等により確定した債権の消滅時効0169
第165条 判決により確定した債権は、短期の消滅時効に該当するものであっても、その消滅時効の期間は、10年とする。
 破産手続により確定した債権及び裁判上の和解、調停その他の判決と同一の効力を有するものにより確定した債権も、前項と同様とする。
 前2項の規定は、判決の確定の時に弁済期が到来していない債権については、適用しない。
 (消滅時効の起算点)0166:0168
第166条 消滅時効は、権利を行使することができる時から進行する。
 不作為を目的とする債権の消滅時効は、違反行為をした時から進行する。
 (消滅時効遡及効0144
第167条 消滅時効は、その起算日にさかのぼって効力を生じる。
 (消滅時効の完成猶予事由)0147-01:0148-01:0149:150:152-01
第168条 消滅時効は、次に掲げる事由がある場合には、完成しない。
 (1) 請求
 (2) 差押え、仮差押え又は仮処分
 (3) 承認
 (消滅時効の完成猶予の効力)0153:0154
第169条 消滅時効の完成猶予は、当事者及びその承継人の間においてのみ、効力を有する。
 (裁判上の請求と消滅時効の完成猶予)
第170条 裁判上の請求は、訴えの却下、請求の棄却又は訴えの取下げがあった場合には、消滅時効の完成猶予の効力を有さない。
 前項の場合において、6箇月内に裁判上の請求、破産手続参加、差押え、仮差押え又は仮処分をしたときは、最初の裁判上の請求により消滅時効の完成猶予があったものとみなす。
 (破産手続参加と消滅時効の完成猶予)0147
第171条 破産手続参加は、債権者がこれを取り下げ、又はその請求が却下されたときには、消滅時効の完成猶予の効力を有さない。
 (支払督促と消滅時効の完成猶予)
第172条 支払督促は、債権者が法定期間内に仮執行の申請をしないことによりその効力を失ったときには、消滅時効の完成猶予の効力を有さない。
 (和解のための召喚及び任意出頭と消滅時効の完成猶予)
第173条 和解のための召喚は、相手方が出席せず、又は和解が成立しなかったときには、1箇月内に訴えを提起しなければ、消滅時効の完成猶予の効力を有さない。 任意出席の場合において和解が成立しなかったときも、同様とする。
 (催告と消滅時効の完成猶予)0150
第174条 催告は、6箇月内に裁判上の請求、破産手続参加、和解のための召喚、任意出席、差押え、仮差押え又は仮処分をしなければ、消滅時効の完成猶予の効力を有さない。
 (差押え、仮差押え及び仮処分と消滅時効の完成猶予)0148-02-但
第175条 差押え、仮差押え及び仮処分は、権利者の請求により又は法律の規定に従わないことにより取り消されたときには、消滅時効の完成猶予の効力を有さない。
 (差押え、仮差押え及び仮処分と消滅時効の完成猶予)0154
第176条 差押え、仮差押え及び仮処分は、消滅時効の利益を受ける者に対して行わなかったときには、これをその者に通知した後でなければ、消滅時効の完成猶予の効力を有さない。
 (承認と消滅時効の完成猶予)0152-02
第177条 消滅時効の完成猶予の効力を有する承認には、相手方の権利に関する処分の能力又は権限があることを要しない。
 (完成猶予後の消滅時効の更新)0147-02:148-02:152-01
第178条 消滅時効の完成猶予があったときは、完成猶予までに経過した消滅時効の期間は算入せずに、完成猶予の事由が終了した時から消滅時効が新たに進行する。
2 裁判上の請求による完成猶予があった消滅時効は、裁判が確定した時から、前項の規定により新たに進行する。
 (制限行為能力者消滅時効の完成猶予)0158-1
第179条 消滅時効の期間の満了前6箇月内において制限行為能力者法定代理人がない場合には、その者が行為能力者となり、又は法定代理人が就任した時から6箇月内は、消滅時効が完成しない。
 (財産管理者に対する制限行為能力者の権利及び夫婦間の権利と消滅時効の完成猶予)0158-02:0159
第180条
 財産を管理する父、母又は後見人に対する制限行為能力者の権利については、その者が行為能力者となり、又は後任の法定代理人が就任した時から6箇月内は、消滅時効が完成しない。
 夫婦の一方が他方に対して有する権利については、婚姻関係が解消した時から6箇月内は、消滅時効が完成しない。
 (相続財産に関する権利と消滅時効の完成猶予)0160
第181条 相続財産に属する権利又は相続財産に対する権利については、 相続人の確定、管理人の選任又は破産宣告があった時から6箇月内は、消滅時効が完成しない。
 (天災その他の事変と消滅時効の完成猶予)0161
第182条 天災その他の事変により消滅時効の完成猶予の手続を行うことができないときは、その事由が終了した時から1箇月内は、消滅時効が完成しない。
 (従属した権利に対する消滅時効の効力)
第183条 主たる権利の消滅時効が完成したときは、従たる権利にその効力が及ぶ。
 (消滅時効の利益の放棄等)0146
第184条 消滅時効の利益は、あらかじめ放棄することができない。
 消滅時効は、法律行為により、これを排除し、延長し、又は加重することができないが、これを短縮し、又は軽減することができる。