新私訳:韓国の民法 その1<第1条~第30条>
民法
第1編 総則
第1章 通則
(法源)参照:明治8年太政官布告第103号(裁判事務心得)3条
第1条 民事について、法律に規定がないときは慣習法により、慣習法がないときは条理による。
(信義誠実)0001-02.03
第2条 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い、誠実に行わなければならない。
2 権利は、濫用することができない。
第2章 人
第1節 能力
(権利能力の存続期間)0003-01
第3条 人は、生きている間、権利及び義務の主体となる。
(成年)0004
第4条 人は、19歳をもって成年となる。
(未成年者の行為能力)0005-01.02
第5条 未成年者が法律行為をするには、法定代理人の同意を得なければならない。ただし、権利のみを得、又は義務のみを免れる法律行為については、この限りでない。
2 前項の規定に違反する法律行為は、取り消すことができる。
(処分を許諾した財産)0005-03
第6条 法定代理人が範囲を定めて処分を許諾した財産は、未成年者が自由に処分することができる。
(同意及び許諾の撤回)
第7条 法定代理人は、未成年者がまだ法律行為をしていない間は、第5条第1項の同意及び前条に規定する許諾を撤回することができる。
(営業の許諾)0006
第8条 未成年者は、法定代理人から許諾を得た特定の営業については、成年者と同一の行為能力を有する。
2 法定代理人は、前項の許諾を撤回し、又は制限することができる。ただし、善意の第三者に対抗することができない。
(成年後見開始の審判)0007
第9条 家庭裁判所は、疾病、障害、老齢その他の事由による精神的制約により事務を処理する能力が持続的に欠けている人について、本人、配偶者、4親等以内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人、検事又は地方自治団体の長の請求により、成年後見開始の審判をする。
2 家庭裁判所は、成年後見開始の審判をするときは、本人の意思を考慮しなければならない。
(成年被後見人の法律行為及びその取消し)0009
第10条 成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。
2 前項の規定にかかわらず、家庭裁判所は、取り消すことができない成年被後見人の法律行為の範囲を定めることができる。
3 家庭裁判所は、本人、配偶者、4親等以内の親族、成年後見人、成年後見監督人、 検事又は地方自治団体の長の請求により、前項の範囲を変更することができる。
4 第1項の規定にかかわらず、日用品の購入等日常生活に必要でその代価が過分でない法律行為については、成年後見人は、取り消すことができない。
(成年後見終了の審判)0010
第11条 成年後見開始の原因が消滅した場合は、家庭裁判所は、本人、配偶者、4親等以内の親族、成年後見人, 成年後見監督人, 検事又は地方自治団体の長の請求により、成年後見終了の審判をする。
(保佐開始の審判)0011
第12条 家庭裁判所は、疾病、障害、老齢その他の事由による精神的制約により事務を処理する能力が不足する人について、本人、配偶者、4親等以内の親族、未成年後見人、 未成年後見監督人、成年後見人、成年後見監督人、補助人、補助監督人、検事又は地方自治団体の長の請求により、保佐開始の審判をする。
2 保佐開始の場合については、第9条第2項の規定を準用する。
(被保佐人の法律行為及びその同意)0013
第13条 家庭裁判所は、被保佐人が保佐人の同意を得なければならない法律行為の範囲を定めることができる。
2 家庭裁判所は、本人、配偶者、4親等以内の親族、保佐人、保佐監督人、検事又は地方自治団体の長の請求により、前項の規定による保佐人の同意を得てすることができる法律行為の範囲を変更することができる。
3 保佐人の同意を必要とする法律行為について、保佐人が被保佐人の利益が害されるおそれがあるにもかかわらずその同意をしないときは、家庭裁判所は、被保佐人の請求により、保佐人の同意に代わる許可をすることができる。
4 保佐人の同意が必要な法律行為を被保佐人が保佐人の同意を得ないでしたときは、その法律行為を取り消すことができる。 ただし、日用品の購入等日常生活に必要でその代価が過分でない法律行為については、この限りでない。
(保佐終了の審判)0014
第14条 保佐開始の原因が消滅した場合は、家庭裁判所は、本人、配偶者、4親等以内の親族、保佐人、保佐監督人、検事又は地方自治団体の長の請求により、保佐終了の審判をする。
(補助の審判)0015
第14条の2 家庭裁判所は、疾病、障害、老齢その他の事由による精神的制約により一時的な後援又は特定の事務に関する後援が必要な人について、本人、配偶者、4親等以内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、検事又は地方自治団体の長の請求により、補助の審判をする。
2 補助の審判は、本人の意思に反してすることができない。
3 補助の審判をする場合は、補助の期間又は事務の範囲を定めなければならない。
(審判間の関係)0019
第14条の3 家庭裁判所は、被保佐人又は被補助人について成年後見開始の審判をするときは、従前の保佐又は補助の終了の審判をする。
2 家庭裁判所は、成年被後見人又は被補助人について保佐開始の審判をするときは、従前の成年後見又は補助の終了の審判をする。
(制限行為能力者の相手方が確答を催告する権利)0020
第15条 制限行為能力者の相手方は、制限行為能力者が行為能力者となった後に、その者に、1箇月以上の期間を定めて、その取り消すことができる行為を追認するかどうかの確答を催告することができる。 行為能力者となった人がその期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなす。
2 制限行為能力者がまだ行為能力者となっていない場合には、その法定代理人に前項の催告をすることができる。法定代理人がその定められた期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなす。
3 特別な手続が必要な行為は、その定められた期間内に、その手続を終えた確答を発しないときは、 取り消したものとみなす。
(制限行為能力者の相手方の撤回権及び拒絶権)
第16条 制限行為能力者が締結した契約は、追認があるときまで、相手方は、その意思表示を撤回することができる。 ただし、相手方が契約の当時に制限行為能力者であることを知っていた場合は、この限りでない。
2 制限行為能力者の単独行為は、追認があるときまで、相手方は、拒絶することができる。
3 第1項に規定する撤回及び前項に規定する拒絶の意思表示は、制限行為能力者に対してもすることができる。
(制限行為能力者の詐術)0021
第17条 制限行為能力者が詐術を用いて自己を行為能力者と信じさせた場合は、その行為を取り消すことができない。
2 未成年者及び被保佐人が詐術を用いて法定代理人の同意があるものと信じさせた場合も、前項と同様とする。
第2節 住所
(住所)0022
第18条 生活の本拠になる場所を住所とする。
2 住所は、同時に2箇所以上有することができる。
(居所)0023-01
第19条 住所を知ることができないときは、居所を住所とみなす。
(居所)0023-02
第20条 国内に住所を有しない者については、国内における居所を住所とみなす。
(仮住所)0024
第21条 ある行為について仮住所を定めたときは、その行為については、これを住所とみなす。
第3節 不在及び失踪
(不在者の財産の管理)0025
第22条 従来の住所又は居所を去った者が財産管理人を定めなかったときは、裁判所は、利害関係人又は検事の請求により、財産管理について必要な処分を命じなければならない。 本人の不在中に財産管理人の権限が消滅したときも、同様とする。
2 本人がその後に財産管理人を定めたときは、裁判所は、本人、財産管理人、利害関係人又は検事の請求により、前項の規定による命令を取り消さなければならない。
(財産管理人の改任)0026
第23条 不在者が財産管理人を定めた場合において、不在者の生死が明らかでないときは、裁判所は、財産管理人、利害関係人又は検事の請求により、財産管理人を改任することができる。
(財産管理人の職務)0027
第24条 裁判所が選任した財産管理人は、管理すべき財産の目録を作成しなければならない。
2 裁判所は、その選任した財産管理人に対して、不在者の財産を保存するために必要な処分を命じることができる。
3 不在者の生死が明らかでない場合において、利害関係人又は検事の請求があるときは、裁判所は、不在者が定めた財産管理人に対して、前2項に規定する処分を命じることができる。
4 前3項の場合において、その費用は、不在者の財産から支払う。
(財産管理人の権限)0028
第25条 裁判所の選任した財産管理人が第118条に規定する権限を超える行為をするときは、 裁判所の許可を得なければならない。 不在者の生死が明らかでない場合において、不在者が定めた財産管理人が権限を超える行為をするときも、同様とする。
(財産管理人の担保供与及び報酬)0029
第26条 裁判所は、その選任した財産管理人に財産の管理及び返還について相当な担保を供させることができる。
2 裁判所は、その選任した財産管理人に不在者の財産から相当な報酬を支払うことができる。
3 前2項の規定は、不在者の生死が明らかでない場合において、不在者が定めた財産管理人について準用する。
(失踪宣告)0030
第27条 不在者の生死が5年間明らかでないときは、裁判所は、利害関係人又は検事の請求により、失踪宣告をしなければならない。
2 戦地に臨んだ者又は沈没した船舶の中に在った者、墜落した航空機の中に在った者若しくはその他の死亡の原因となるべき危難に遭った者の生死が終戦後又は船舶の沈没、航空機の墜落若しくはその他の危難が終わった後1年間明らかでないときも、前項と同様とする。
(失踪宣告の効果)0031
第28条 失踪宣告を受けた者は、前条の期間が満了した時に死亡したものとみなす。
(失踪宣告の取消し)0032
第29条 失踪者が生存している事実又は前条の規定による時と異なる時に死亡した事実の証明があったときは、裁判所は、本人、利害関係人又は検事の請求により、失踪宣告を取り消さなければならない。ただし、失踪宣告後その取消し前に善意でした行為の効力に影響を及ぼさない。
2 失踪宣告が取り消された場合において、失踪宣告を直接の原因として財産を取得した者は、善意であるときはその受けた利益が現存する限度で返還する義務を負い、悪意であるときはその受けた利益に利息を付して返還するとともに損害があればこれを賠償しなければならない。
(同時死亡)0032の2
第30条 二人以上の者が同一の危難で死亡した場合は、同時に死亡したものと推定する。