韓国民法の私訳19(第997条~第1059条)

 今回から韓国の民法の最終編「第5編 相続」の私訳になります。

今回は、その「第1章 相続」を対象とします。本章は、「第1節総則、第2節相続人、第3節相続の効力(第1款一般的効力・第2款相続分・第3款相続財産の分割)、第4節相続の承認及び放棄(第1款総則・第2款単純承認・第3款限定承認・第4款放棄)、第5節財産の分離及び第6節相続人の不存在」の節・款で構成され、条文としては第997条から第1059条までです。

 

   第5編 相続
    第1章 相続
     第1節 総則
 (相続開始の原因)0882
第997条 相続は、死亡によって開始する。
 (相続開始の場所)0883
第998条 相続は、被相続人の住所地において開始する。
 (相続の費用)0885
第998条の2 相続に関する費用は、相続財産の中から支払う。
 (相続回復請求権)0884
第999条 相続権が僭称相続権者により侵害されたときは、相続権者又はその法定代理人は、相続回復の訴えを提起することができる。
2 前項の規定による相続回復請求権は、その侵害を知った日から3年、相続権の侵害行為があった日から10年を経過した時に消滅する。

     第2節 相続人

 (相続の順位)0887-01:0889-01:0886
第1000条 相続においては、次の順位で相続人となる。
 (1)被相続人直系卑属
 (2)被相続人直系尊属
 (3)被相続人の兄弟姉妹
 (4)被相続人の4親等以内の傍系血族
2 前項の場合において、同順位の相続人が数人あるときは最も近い親等の者を先順位とし、同親等の相続人が数人あるときは共同相続人となる。
3 胎児は、相続の順位については、既に出生したものとみなす。
 (代襲相続0887-02.03:0889-02
第1001条 前条第1項第1号及び第3号の規定により相続人となるべき直系卑属又は兄弟姉妹が相続の開始前に死亡し、又は欠格者となった場合においてその直系卑属があるときは、その直系卑属は、死亡し、又は欠格した者の順位に代わって相続人になる。
第1002条 削除
 (配偶者の相続の順位)0890
第1003条 被相続人の配偶者は、第1000条第1項第1号及び第2号の規定による相続人がある場合はその相続人と同順位で共同相続人となり、その相続人がない場合は単独の相続人となる。
2 第1001条の場合において、相続の開始前に死亡し、又は欠格した者の配偶者は、同条の規定による相続人と同順位で共同相続人となり、その相続人がないときは、、単独の相続人となる。
 (相続人の欠格事由)0891
第1004条 次のいずれかに該当する者は、相続人となることができない。
 (1)故意に直系尊属被相続人、その配偶者又は相続の先順位若しくは同順位である者を殺害し、又は殺害しようとした者
 (2)故意に直系尊属被相続人及びその配偶者に傷害を加えて死亡に至らせた者
 (3)詐欺又は強迫により被相続人の相続に関する遺言又は遺言の撤回を妨害した者
 (4)詐欺又は強迫により被相続人の相続に関する遺言をさせた者
 (5)被相続人の相続に関する遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

     第3節 相続の効力

      第1款 一般的効力

 (相続と包括的な権利義務の承継)0896
第1005条 相続人は、相続が開始した時から、被相続人の財産に関する包括的な権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属するものは、この限りでない。
 (共同相続と財産の共有)0898
第1006条 相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有とする。
 (共同相続人の権利義務の承継)0899
第1007条 共同相続人は、各自の相続分に応じ、被相続人の権利義務を承継する。
 (特別受益者の相続分)0903
第1008条 共同相続人中に被相続人から財産の贈与又は遺贈を受けた者がある場合において、その者の受贈財産が自己の相続分に達しないときは、その不足する部分の限度において相続分を有する。
 (寄与分0904の2
第1008条の2 共同相続人中に、相当な期間にわたり同居及び看護その他の方法により被相続人を特別に扶養し、又は被相続人の財産の維持若しくは増加につき特別に寄与した者があるときは、相続開始の当時の被相続人の財産の価額から共同相続人の協議により定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし、第1009条及び第1010条の規定により算定した相続分に寄与分を加算した額をもって、その者の相続分とする。
2 前項の協議が調わず、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、同項に規定にされた寄与者の請求により、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他の事情を参酌して寄与分を定める。
3 寄与分は、相続が開始した時の被相続人の財産の価額から遺贈の価額を控除した額を超えることができない。
4 第2項の請求は、第1013条第2項の規定による請求があった場合又は第1014条に規定する場合において、することができる。
 (墳墓等の承継)0897
第1008条の3 墳墓に属する1町歩以内の禁養林野及び600坪以内の墓地である農地、族譜並びに祭具の所有権は、祭祀を主宰する者が承継する。

      第2款 相続分

 (法定相続分0900
第1009条 同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、均分とする。
2 被相続人の配偶者の相続分は、直系卑属と共同で相続するときは直系卑属の相続分の5割を加算し、直系尊属と共同で相続するときは直系尊属の相続分の5割を加算する。
 (代襲相続分)0901
第1010条 第1001条の規定により死亡し、又は欠格した者に代わて相続人になった者の相続分は、死亡し、又は欠格した者の相続分による。
2 前項の場合において、死亡し、又は欠格した者の直系卑属が数人あるときは、その相続分は、死亡し、又は欠格した者の相続分を限度とし、前条の規定により定める。第1003条第2項の場合においても、また同じ。
 (共同相続分の譲受け)0905
第1011条 共同相続人の中にその相続分を第三者に譲渡した者があるときは、他の共同相続人は、その価額及び譲渡費用を償還し、その相続分を譲り受けることができる。
2 前項の権利は、その事由を知った日から3月、その事由があった日から1年内に行使しなければならない。

      第3款 相続財産の分割

 (遺言による分割の方法の指定及び分割の禁止)0908
第1012条 被相続人は、遺言により、相続財産の分割の方法を定め、又はこれを定めることを第三者に委託することができ、また、相続開始の日から5年を超えない期間内でその分割を禁止することができる。
 (協議による分割)0907-01
第1013条 前条の場合を除き、共同相続人は、いつでもその協議により相続財産を分割することができる。
2 第269条の規定は、前項の相続財産の分割について準用する。
 (分割後の被認知者等の請求権)0910
第1014条 相続の開始後の認知又は裁判の確定により共同相続人となった者は、相続財産の分割を請求する場合において他の共同相続人が既に分割その他の処分をしたときは、その相続分に相当する価額の支払いを請求する権利を有する。
 (分割の遡及効0909
第1015条 相続財産の分割は、相続が開始された時に遡及してその効力が生じる。ただし、第三者の権利を害することができない。
 (共同相続人の担保責任)0911
第1016条 共同相続人は、他の共同相続人が分割により取得した財産について、その相続分に応じ、売主と同様の担保責任を負う。
 (相続債務者の資力に対する担保責任)0912
第1017条 共同相続人は、他の相続人が分割により取得した債権について、分割の当時における債務者の資力を担保する。
2 弁済期未到来の債権又は停止条件付きの債権については、弁済を請求することができる時における債務者の資力を担保する。
 (無資力の共同相続人の担保責任の分担)0913
第1018条 担保責任を負う共同相続人の中に償還の資力のない者があるときは、その負担部分については、求償権者及び資力のある他の共同相続人が、その相続分に応じて分担する。ただし、求償権者の過失により償還を受けることができなかったときは、他の共同相続人に対して分担を請求することができない。

     第4節 相続の承認及び放棄

      第1款 総則

 (承認及び放棄の期間)0915
第1019条 相続人は、相続の開始があったことを知った日から3月内に単純承認若しくは限定承認又は放棄をすることができる。ただし、その期間は、利害関係人又は検察官の請求により、家庭裁判所において延長することができる。
2 相続人は、前項の承認又は放棄をする前に、相続財産を調査することができる。
3 第1項の規定にかかわらず、相続人は、相続債務が相続財産を超過する事実を重大な過失なく第1項に規定する期間内に知ることができずに単純承認(第1026条第1号及び第2号の規定により単純承認したものとみなす場合を含む。)をした場合は、その事実を知った日から3月内に限定承認をすることができる。
 (制限能力者の承認及び放棄の期間)0917
第1020条 相続人が制限能力者である場合は、前条第1項に規定する期間については、その親権者又は後見人が相続の開始されたことを知った日から起算する。
 (承認及び放棄の期間の計算に関する特則)0916
第1021条 相続人が承認又は放棄をしないで、第1019条第1項に規定する期間内に死亡したときは、その相続人が自己のために相続の開始があったことを知った日から同項に規定する期間を起算する。
 (相続財産の管理)0918-01
第1022条 相続人は、その固有財産におけると同一の注意をもって相続財産を管理しなければならない。ただし、単純承認又は放棄をしたときは、この限りでない。
 (相続財産の保存に必要な処分)0918-02.03
第1023条 裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、相続財産の保存に必要な処分を命じることができる。
2 裁判所が財産管理人を選任した場合については、第24条から第26条までの規定を準用する。
 (承認及び放棄の取消しの禁止)0919-01.02.03
第1024条 相続の承認又は放棄は、第1019条第1項に規定する期間内であっても取り消すことができない。
2 前項の規定は、総則編の規定による取消しに影響を及ぼさない。ただし、その取消権は、追認することができる日から3月内、承認又は放棄した日から1年内に行使しなければ、時効により消滅する。

      第2款 単純承認

 (単純承認の効果)0920
第1025条 相続人は、単純承認をしたときは、無限に被相続人の権利義務を承継する。
 (法定単純承認)0921
第1026条 次の事由がある場合は、相続人は、単純承認をしたものとみなす。
 (1)相続人が相続財産に対する処分行為をしたとき。
 (2)相続人が第1019条第1項に規定する期間内に限定承認又は放棄をしなかったとき。
 (3)相続人が、限定承認又は放棄をした後に、相続財産を隠匿し、不正に消費し、又は故意に財産の目録に記入しなかったとき。
 (法定単純承認の例外)
第1027条 相続人が相続を放棄したことにより次順位の相続人が相続を承認したときは、前条第3号の事由は、相続の承認とみなさない。

      第3款 限定承認

 (限定承認の効果)0922
第1028条 相続人は、相続により取得すべき財産の限度において被相続人の債務及び遺贈を弁済することを条件として、相続を承認することができる。
 (共同相続人の限定承認)0923
第1029条 相続人が数人あるときは、各相続人は、その相続分に応じて取得すべき財産の限度においてその相続分に応じた被相続人の債務及び遺贈を弁済することを条件として、相続を承認することができる。
 (限定承認の方式)0924
第1030条 相続人は、限定承認をするときは、第1019条第1項又は第3項に規定する期間内に相続財産の目録を添えて裁判所に限定承認の申告をしなければならない。
2 第1019条第3項の規定により限定承認をした場合において、相続財産の中に既に処分した財産があるときは、その目録及び価額を共に提出しなければならない。
 (限定承認と財産上の権利義務の不消滅)0925
第1031条 相続人が限定承認をしたときは、被相続人に対する相続人の財産上の権利義務は、消滅しない。
 (債権者に対する公告及び催告)0927
第1032条 限定承認者は、限定承認をした日から5日内に、一般相続債権者及び受遺者に対して限定承認の事実及び一定の期間内にその債権又は受贈を申告すべき旨を公告しなければならない。
2 第88条第2項及び第3項並びに第89条の規定は、前項の場合について準用する。
 (催告期間中の弁済の拒絶)0928
第1033条 限定承認者は、前条第1項の一定の期間の満了前においては、相続債権の弁済を拒むことができる。
 (配当弁済)0929
第1034条 限定承認者は、第1032条第1項の一定の期間の満了後は、相続財産をもって、その期間内に申告した債権者及び限定承認者に知れている債権者に対し、各々の債権額の割合に応じて弁済しなければならない。ただし、優先権を有する債権者の権利を害することはできない。
2 第1019条第3項の規定により限定承認をした場合は、その相続人は、相続財産中に残った相続財産と既に処分した財産の価額を合わせ、前項の弁済をしなければならない。ただし、限定承認をする前に相続債権者又は受贈者に対して弁済した価額は、既に処分した財産の価額から除外する。
 (弁済期前の債務等の弁済)0930
第1035条 限定承認者は、弁済期に到らない債権であっても、前条の規定により弁済しなければならない。
2 条件付きの債権又は存続期間の不確定な債権については、裁判所の選任した鑑定人の評価により弁済しなければならない。
 (受遺者への弁済)0931
第1036条 限定承認者は、前2条の規定により相続債権者に対する弁済を完了した後でなければ、受遺者に弁済することができない。
 (相続財産の競売)0932
第1037条 前3条の規定による弁済をするために相続財産の全部又は一部を売却する必要があるときは、民事執行法により競売しなければならない。
 (不当弁済等による責任)0934
第1038条 限定承認者が第1032条の規定による公告又は催告を怠り、又は第1033条から第1036条までの規定に違反してある相続債権者又は受遺者に弁済することにより、他の相続債権者又は受遺者に対して弁済できなくなったときは、限定承認者は、その損害を賠償しなければならない。第1019条第3項の規定により限定承認をした場合において、それ以前に相続債務が相続財産を超過することを知ることができなかったことにつき過失のある相続人が相続債権者又は受遺者に弁済したときも、また同じ。
2 前項前段の場合において、弁済を受けることができなかった相続債権者又は受遺者は、その事情を知って弁済を受けた相続債権者又は受遺者に対して求償権を行使することができる。第1019条第3項の規定により限定承認をした場合において、それ以前に相続債務が相続財産を超過することを知って弁済を受けた相続債権者又は受遺者がいるときも、また同じ。
3 第766条の規定は、前2項の場合について準用する。
 (申告しなかった債権者等)0935
第1039条 第1032条第1項の一定の期間内に申告しなかった相続債権者及び受遺者で限定承認者が知り得なかったものは、相続財産の残余がある場合に限り、その弁済を受けることができる。ただし、相続財産について特別担保権のあるときは、この限りでない。
 (共同相続財産とその管理人の選任)0936
第1040条 相続人が数人ある場合は、裁判所は、各相続人その他の利害関係人の請求により、共同相続人の中から相続財産の管理人を選任することができる。
2 裁判所が選任した管理人は、共同相続人を代表して相続財産の管理及び債務の弁済に関する一切の行為をする権利義務を有する。 
3 第1022条及び第1032条から前条までの規定は、前項の管理人について準用する。ただし、第1032条の規定により公告する5日の期間は、管理人がその選任を知った日から起算する。

      第4款 放棄

 (放棄の方式)0938
第1041条 相続人は、相続を放棄するときは、第1019条第1項に規定する期間内に家庭裁判所に放棄の申告をしなければならない。
 (放棄の遡及効0939
第1042条 相続の放棄は、相続が開始した時に遡及して効力を生じる。
 (放棄した相続財産の帰属)
第1043条 相続人が数人ある場合において、ある相続人が相続を放棄したときは、その相続分は、他の相続人の相続分の割合に応じ、他の相続人に帰属する。
 (放棄した相続財産の管理の継続義務)0940
第1044条 相続を放棄した者は、その放棄により相続人となった者が相続財産を管理できるときまで、その財産の管理を継続しなければならない。
2 第1022条及び第1023条の規定は、前項の財産の管理について準用する。

      第5節 財産の分離

 (相続財産の分離請求権)0941-01:0950-01
第1045条 相続債権者、受遺者又は相続人の債権者は、相続が開始された日から3月内に相続財産と相続人の固有財産の分離を裁判所に請求することができる。
2 相続人が相続の承認又は放棄をしない間は、前項に規定する期間の経過後であっても、財産の分離を裁判所に請求することができる。
 (分離命令と債権者等に対する公告及び催告)0941-02.03
第1046条 裁判所が前条の規定による請求によって財産の分離を命じるときは、その請求者は、5日内に一般相続債権者及び受遺者に対して財産の分離の命令があった事実及び一定の期間内にその債権又は受贈を申告すべき旨を公告しなければならない。その期間は、2月以上でなければならない。
2 第88条第2項及び第3項並びに第89条の規定は、前項の場合について準用する。
 (分離後の相続財産の管理)0943
第1047条 裁判所が財産の分離を命じたときは、相続財産の管理に関して必要な処分を命じることができる。
2 裁判所が財産管理人を選任した場合については、第24条から第26条までの規定を準用する。
 (分離後の相続人の管理義務)0944
第1048条 相続人は、単純承認をした後であっても、財産の分離の命令があったときは、相続財産について自己の固有財産におけると同一の注意をもって管理しなければならない。 
2 第683条から第685条まで並びに第688条第1項及び第2項の規定は、前項の規定による財産の管理について準用する。
 (財産の分離の対抗要件0945
第1049条 財産の分離は、相続財産である不動産については、これを登記しなければ、第三者に対抗することができない。
 (財産の分離と権利義務の不消滅)
第1050条 財産の分離の命令があっても、被相続人に対する相続人の財産上の権利義務は、消滅しない。
 (弁済の拒絶と配当弁済)0947
第1051条 相続人は、第1045条に規定する期間及び第1046条の一定の期間の満了前においては、相続債権者及び受遺者に対して弁済を拒むことができる。
2 前項の期間の満了後において、相続人は、相続財産をもって財産の分離の請求又はその期間内に申告した相続債権者及び受遺者並びに相続人に知れている相続債権者及び受遺者に対し、各債権額又は受贈額の割合に応じて弁済しなければならない。
3 第1035条から第1038条までの規定は、前項の場合について準用する。
 (固有財産からの弁済)0948
第1052条 前条の規定による相続債権者及び受遺者は、相続財産をもって全額の弁済を受けることができなかった場合に限り、相続人の固有財産からその弁済を受けることができる。
2 前項の場合において、相続人の債権者は、相続人の固有財産から優先弁済を受ける権利を有する。

     第6節 相続人の不存在

 (相続人のない財産の管理人)0951:0952:0953
第1053条 相続人の存否が明らかでないときは、裁判所は、第777条の規定による被相続人の親族その他の利害関係人又は検察官の請求により、相続財産の管理人を選任し、遅滞なくこれを公告しなければならない。
2 第24条から第26条の規定は、前項の財産の管理人について準用する。
 (財産目録の提示及び状況の報告)0954
第1054条 管理人は、相続債権者又は受遺者の請求があるときは、いつでも相続財産の目録を提示し、その状況を報告しなければならない。
 (相続人の存在が明らかになった場合)0956
第1055条 管理人の任務は、その相続人が相続の承認をした時に終了する。
2 前項の場合において、管理人は、遅滞なくその相続人に対して管理の計算をしなければならない。
 (相続人のない財産の清算0957
第1056条 第1053条第1項の規定による公告があった日から3月内に相続人の存否を知ることができないときは、管理人は、遅滞なく一般相続債権者及び受遺者に対して一定の期間内にその債権又は受贈を申告すべき旨を公告しなければならない。その期間は、2月以上でなければならない。
2 第88条第2項及び第3項、第89条並びに第1033条から第1039条の規定は、前項の場合について準用する。
 (相続人捜索の公告)0958
第1057条 前条第1項の一定の期間が経過しても相続人の存否が知れないときは、裁判所は、管理人の請求により、相続人があるときは一定の期間内にその権利を主張すべき旨を公告しなければならない。その期間は、1年以上でなければならない。
 (特別縁故者に対する分与)0958の2:0958の3
第1057条の2 前条の規定による期間内に相続権を主張する者がないときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を共にしていた者、被相続人の療養看護をした者その他の被相続人と特別な縁故があった者の請求により、相続財産の全部又は一部を分与することができる。
2 前項の請求は、前条の期間後2月以内にしなければならない。
 (相続財産の国への帰属)0959
第1058条 前条の規定により分与されなかったときは、相続財産は、国に帰属する。
2 第1055条第2項の規定は、前項の場合について準用する。
 (国に帰属した財産に対する弁済の請求の禁止)
第1059条 前条第1項の場合において、相続財産から弁済を受けることができなかった相続債権者又は受遺者があるときであっても、国に対してその弁済を請求することはできない。