新私訳:韓国の民法 その20<附則>

※ 当初の附則を除き、施行期日に関する規定のみです。

  なお、各「附 則」に付された 「()」内は本則改正された法律の題名、「<>」内は法令番号と公布年月日が注記されている。

 

   附 則  <第471号 1958.2.22.>
 (旧法の定義)
第1条  附則において、旧法というのは、この法律によって廃止される法令又は法令中の条項をいう。

   附 則  <第1237号 1962.12.29.>
 この法律は、1963年3月1日から施行する。

   附 則  <第1250号 1962.12.31.>
 この法律は、1963年1月1日から施行する。

   附 則  <第1668号 1964.12.31.>
 この法律は、1965年1月1日から施行する。

   附 則  <第2200号 1970.6.18.>
 この法律は、公布した日から施行する。

   附 則  <第3051号 1977.12.31.>
 この法律は、公布後1年が経過した日から施行する。

   附 則  <第3723号 1984.4.10.>
  (施行日)
 この法律は、1984年9月1日から施行する。

   附 則  <第4199号 1990.1.13.>
 (施行日)
第1条 この法律は、1991年1月1日から施行する。

   附 則 (国籍法) <第5431号 1997.12.13.>
 (施行日)
第1条 この法律は、公布後6月が経過した日から施行する。

   附 則 (政府省庁名称等の変更に伴う建築法等の整備に関する法律)
       <第5454号 1997.12.13.>
  この法律は、1998年1月1日から施行する。 <ただし書省略> 

   附 則  <第6544号 2001.12.29.>
  この法律は、2002年7月1日から施行する。

   附 則  <第6591号 2002.1.14.>
 (施行日)
 この法律は、公布した日から施行する。

   附 則  <第7427号 2005.3.31.>
 (施行日)
第1条 この法律は、公布した日から施行する。 ただし、第4編第2章(第778条から第789条まで、第791条及び第793条から第796条まで)、第826条第3項及び第4項、第908条の2から第908条の8まで、第963条、第966条、第968条、第4編第8章(第980条から第982条まで、第984条から第987条まで、 第989条及び第991条から第995条まで)の改正規定及び附則第7条(第2項及び第29項を除く。)の規定は、2008年1月1日から施行する。

   附 則 (債務者再生及び破産に関する法律) <第7428号2005.3.31.>
 (施行日)
第1条 この法律は、公布後1年が経過した日から施行する。

   附 則  <第7765号 2005.12.29.>
 (施行日)
 この法律は、公布した日から施行する。

   附 則  (家族関係の登録等に関する法律) <第8435号 2007.5.17.>
 (施行日)
第1条 この法律は、2008年1月1日から施行する。 <ただし書省略> 

   附 則  <第8720号 2007.12.21.>
 (施行日)
第1条 この法律は、公布した日から施行する。 ただし、第97条及び第161条の改正規定は、公布後3箇月が経過した日から施行し、第836条の2、第837条第2項から第6項まで及び第909条第4項の改正規定は、公布後6箇月が経過した日から施行する。

   附 則  <第9650号 2009.5.8.>
 (施行日)
 この法律は、公布後3箇月が経過した日から施行する。

   附 則  <第10429号 2011.3.7.>
 (施行日)
第1条 この法律は、2013年7月1日から施行する。

   附 則  <第10645号 2011.5.19.>
  この法律は、2013年7月1日から施行する。

   附 則  <第11300号 2012.2.10.>
 (施行日)
第1条 この法律は、2013年7月1日から施行する。 ただし、第818条, 第828条, 第843条及び第925条の改正規定は、公布した日から施行する。

   附 則  <第11728号 2013.4.5.>
  この法律は、2013年7月1日から施行する。

   附 則  <第12777号 2014.10.15.>
 (施行日)
第1条 この法律は、公布後1年が経過した日から施行する。

   附 則  <第12881号 2014.12.30.>
 この法律は、公布した日から施行する。

   附 則  (家族関係の登録等に関する法律) <第13124号 2015.2.3.>
 (施行日)
第1条 この法律は、2015年7月1日から施行する。

   附 則  <第13125号 2015.2.3.>
 (施行日)
第1条 この法律は、公布後1年が経過した日から施行する。

   附 則  <第13710号 2016.1.6.>
 この法律は、公布した日から施行する。

   附 則  <第14278号 2016.12.2.>
 (施行日)
第1条 この法律は、公布後6箇月が経過した日から施行する。

   附 則  <第14409号 2016.12.20.>
 (施行日)
第1条 この法律は、公布した日から施行する。

   附 則  <第14965号 2017.10.31.>
 (施行日)
第1条 この法律は、公布後3箇月が経過した日から施行する。

   附 則  <第17503号 2020.10.20.>
 (施行日)
第1条 この法律は、公布した日から施行する。

   附 則  <第17905号 2021.1.26.>
 (施行日)
第1条  この法は、公布した日から施行する。

   附 則  <第19069号 2022.12.13.>
 (施行日)
第1条 この法律は、公布した日から施行する。

   附 則  <第19098号 2022.12.27.>
 この法律は、公布後6箇月が経過した日から施行する。

新私訳:韓国の民法 その19<第1060条~第1118条>

   第2章 遺言
    第1節 総則
 (遺言の要式性)0960
第1060条 遺言は、この法の定めた方式によらなければ、効力を生じない。
 (遺言適齢)0961
第1061条 17歳に達しない者は、遺言をすることができない。
 (制限行為能力者の遺言)0962
第1062条 遺言については、第5条、第10条及び第13条の規定を適用しない。
 (成年被後見人の遺言能力)0963:0973
第1063条 成年被後見人は、意思能力が回復したときに限り、遺言をすることができる。
 前項の場合には、医師が、心神回復の状態を遺言書に付記し、署名押印しなければならない。
 (遺言と胎児及び相続欠格者)0965
第1064条 第1000条第3項及び第1004条の規定は、受遺者について準用する。
    第2節 遺言の方式
 (遺言の普通方式)0967
第1065条 遺言の方式は、自筆証書、録音、公正証書、秘密証書及び口授証書の5種とする。
 (自筆証書による遺言)0968-01.03
第1066条 自筆証書による遺言は、遺言者が、その全文並びに年月日、住所及び姓名を自書し、押印しなければならない。
 前項の証書において文字の挿入、削除又は変更をするには、遺言者が、これを自書し、押印しなければならない。
 (録音による遺言)
第1067条 録音による遺言は、遺言者が遺言の趣旨、その姓名及び年月日を口述し、これに立ち会った証人が遺言の正確なこと及びその姓名を口述しなければならない
 (公正証書による遺言)0969
第1068条 公正証書による遺言は、遺言者が証人2人の立ち会った公証人の面前において遺言の趣旨を口授し、公証人がこれを筆記朗読し、遺言者及び証人がその正確なことを承認した後に各自署名又は記名押印をしなければならない。
 (秘密証書による遺言)0970-01
第1069条 秘密証書による遺言は、遺言者が、筆者の姓名を記入した証書を厳封押印し、これを2人以上の証人の面前に提出し、自己の遺言書である旨を表示した後、その封書表面に提出年月日を記載して、遺言者及び証人が各自署名又は記名押印をしなければならない。
 前項の方式による遺言の封書は、その表面に記載した日から5日内に公証人又は裁判所書記に提出し、その封印上に確定日付印を受けなければならない。
 (口授証書による遺言)0976-01.04
第1070条 口授証書による遺言は、疾病その他の急迫な事由によって第1066条から前条までの方式によることができない場合に、遺言者が2人以上の証人の立会いをもってその一人に遺言の趣旨を口授し、その口授を受けた者がこれを筆記朗読し、遺言者及び証人がその正確なことを承認した後に各自署名又は記名押印をしなければならない。
 前項の方式による遺言は、その証人又は利害関係人が、急迫な事由の終了した日から7日内に、裁判所にその検認を申請しなければならない。
 第1063条第2項の規定は、口授証書による遺言について適用しない。
 (秘密証書による遺言の転換)0971
第1071条 秘密証書による遺言がその方式に欠缺のある場合において、その証書が自筆証書の方式に適するときは、自筆証書による遺言とみなす。
 (証人の欠格事由)0974
第1072条 次に掲げる者は、遺言に立ち会う証人となることができない。
 (1) 未成年者
 (2) 成年被後見人及び被保佐人
 (3) 遺言により利益を受けるべき者並びにその配偶者及び直系血族
 公正証書による遺言には、公証人法の規定による欠格者は、証人となることができない。
    第3節 遺言の效力
 (遺言の効力発生時期)0985
第1073条 遺言は、遺言者が死亡した時から効力を生じる。
 遺言に停止条件がある場合において、その条件が遺言者の死亡後に成就したときは、その条件が成就した時から遺言の効力を生じる。
 (遺贈の承認及び放棄)0986
第1074条 受遺者は、遺言者の死亡後、いつでも、遺贈を承認し、又は放棄することができる。
 前項に規定する承認又は放棄は、遺言者の死亡した時に遡って効力を生じる。
 (遺贈の承認及び放棄の取消禁止)0989
第1075条 遺贈の承認又は放棄は、取り消すことができない。
 第1024条第2項の規定は、遺贈の承認及び放棄について準用する。
 (受遺者の相続人の承認及び放棄)0988
第1076条 受遺者が承認又は放棄をしないで死亡したときは、その相続人は、相続分の限度で承認又は放棄をすることができる。ただし、遺言者が遺言に別段の意思を表示したときは、その意思による。
 (遺贈義務者の催告権)0987
第1077条 遺贈義務者又は利害関係人は、相当の期間を定め、その期間内に承認又は放棄を確答すべき旨を受遺者又はその相続人に催告をすることができる。
 前項の期間内に受遺者又は相続人が遺贈義務者に催告に対する確答をしないときは、遺贈を承認したものとみなす。
 (包括受遺者の権利義務)0990
第1078条 包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する。
 (受遺者の果実取得権)0992
第1079条 受遺者は、遺贈の履行を請求することができる時からその目的物の果実を取得する。ただし、遺言者が遺言に別段の意思を表示したときは、その意思による。
 (果実の収取費用の償還請求権)0993-02
第1080条 遺贈義務者が遺言者の死亡後にその目的物の果実を収取するために必要費を支出したときは、その果実の価額の限度で、果実を取得した受遺者に償還を請求することができる。
 (遺贈義務者の費用償還請求権)0993-01
第1081条 遺贈義務者が遺贈者の死亡後にその目的物に関し費用を支出した場合については、第325条の規定を準用する。
 (不特定物の遺贈義務者の担保責任)0998
第1082条 不特定物を遺贈の目的とした場合には、遺贈義務者は、その目的物について売主と同じ担保責任を負う。
 前項の場合において、目的物に瑕疵があるときは、遺贈義務者は、瑕疵のない物を引き渡さなければならない。
 (遺贈の物上代位性)0999-01
第1083条 遺贈者が遺贈の目的物の滅失、毀損又は占有の侵害によって第三者に損害賠償を請求する権利を有するときは、その権利を遺贈の目的としたものとみなす。
 (債権の遺贈の物上代位性)1001
第1084条 債権を遺贈の目的とした場合において、遺言者がその弁済を受けた物が相続財産中にあるときは、その物を遺贈の目的としたものとみなす。
 前項の債権が金銭を目的とした場合においては、その弁済を受けた債権額に相当する金銭が相続財産中にないときでも、その金額を遺贈の目的としたものとみなす。
 (第三者の権利の目的であった物又は権利の遺贈)0998
第1085条 遺贈の目的である物又は権利が遺言者の死亡の時に第三者の権利の目的であった場合には、受遺者は、遺贈義務者に対してその第三者の権利を消滅させることを請求することができない。
 (遺言者が別段の意思表示をした場合)0998但
第1086条 前3条の場合において、遺言者が遺言に別段の意思を表示したときは、その意思による。
 (相続財産に属さない権利の遺贈)0996:0997
第1087条 遺言の目的となった権利が遺言者の死亡の時に相続財産に属さなかったときは、遺言は、効力を生じない。ただし、遺言者が自己の死亡の時にその目的物が相続財産に属さない場合であっても遺言の効力が生じるものとする意思であるときは、遺贈義務者は、その権利を取得し、受遺者に移転する義務を負う。
 前項ただし書の場合において、その権利を取得することができず、又はその取得に過分な費用を要するときは、その価額を弁償することができる。
 (負担付遺贈と受遺者の責任)1002-01:1003
第1088条 負担付遺贈を受けた者は、遺贈の目的の価額を超えない限度で、負担した義務を履行する責任を負う。
 遺贈の目的の価額が限定承認又は財産分離によって減少したときは、受遺者は、その減少した限度で、負担すべき義務を免れる。
 (遺贈の効力発生前の受遺者の死亡)0994
第1089条 遺贈は、遺言者の死亡前に受遺者が死亡したときは、効力を生じない。
 停止条件付遺贈は、受遺者がその条件の成就前に死亡したときは、効力を生じない。
 (遺贈の無効及び失効の場合と目的財産の帰属)0995
第1090条 遺贈が効力を生ぜず、又は受遺者がこれを放棄したときは、遺贈の目的である財産は、相続人に帰属する。ただし、遺言者が遺言に別段の意思を表示したときは、その意思による。
    第4節 遺言の執行
 (遺言証書及び録音の検認)1004-01.02
第1091条 遺言証書又は録音を保管する者又はこれを発見した者は、遺言者の死亡後、遅滞なく、裁判所に提出し、その検認を請求しなければならない。
 前項の規定は、公正証書又は口授証書による遺言について適用しない。
 (遺言証書の開封1004-03
第1092条 裁判所が封印された遺言証書を開封するときは、遺言者の相続人、その代理人その他の利害関係人の立会いがなければならない。
 (遺言執行者の指定)1006-01
第1093条 遺言者は、遺言で、遺言執行者を指定することができ、又はその指定を第三者に委託することができる。
 (委託による遺言執行者の指定)1006-02.03
第1094条 前条の委託を受けた第三者は、その委託のあることを知った後、遅滞なく、遺言執行者を指定して相続人に通知しなければならず、その委託を辞退するときはその旨を相続人に通知しなければならない。
 相続人その他の利害関係人は、相当の期間を定め、その期間内に遺言執行者を指定すべき旨を委託を受けた者に催告することができる。この場合において、その期間内に指定の通知を受けることができなかったときは、その指定の委託を辞退したものとみなす。
 (指定遺言執行者がない場合)
第1095条 前2条の規定により指定された遺言執行者がないときは、相続人が遺言執行者となる。
 (裁判所による遺言執行者の選任)1010
第1096条 遺言執行者がなく、又は死亡若しくは欠格その他の事由によって欠けたときは、裁判所は、利害関係人の請求により、遺言執行者を選任しなければならない。
 裁判所が遺言執行者を選任した場合には、その任務に関し必要な処分を命じることができる。
 (遺言執行者の承諾及び辞退)1008
第1097条 指定による遺言執行者は、遺言者の死亡後、遅滞なく、これを承諾し、又は辞退する旨を相続人に通知しなければならない。
 選任による遺言執行者は、選任の通知を受けた後、遅滞なく、これを承諾し、又は辞退する旨を裁判所に通知しなければならない。
 相続人その他の利害関係人は、相当の期間を定め、その期間内に諾否を確答すべき旨を指定又は選任による遺言執行者に催告することができる。この場合において、その期間内に催告に対する確答を受けることができなかったときは、遺言執行者がその就任を承諾したものとみなす。
 (遺言執行者の欠格事由)1009
第1098条 制限行為能力者及び破産宣告を受けた者は、遺言執行者となることができない。
 (遺言執行者の任務の着手)1007-01
第1099条 遺言執行者がその就任を承諾したときは、遅滞なく、その任務を履行しなければならない。
 (財産目録の作成)1011
第1100条 遺言が財産に関するものであるときは、 指定又は選任による遺言執行者は、遅滞なく、その財産目録を作成し、相続人に交付しなければならない。
 相続人の請求があるときは、前項の財産目録の作成に相続人を立ち会わせなければならない。
 (遺言執行者の権利義務)1012-01
第1101条 遺言執行者は、遺贈の目的である財産の管理その他の遺言の執行に必要な行為をする権利義務を有する。
 (共同遺言執行)1017
第1102条 遺言執行者が数人ある場合には、任務の執行は、その過半数の賛成をもって 決定する。ただし、保存行為は、各自がすることができる。
 (遺言執行者の地位)1015:1012-03
第1103条 指定又は選任による遺言執行者は、相続人の代理人とみなす。
 第681条から第685条まで、第687条、第691条及び第692条の規定は、遺言執行者について準用する。
 (遺言執行者の報酬)1018
第1104条 遺言者が遺言に遺言執行者の報酬を定めなかった場合には、裁判所は、相続財産の状況その他の事情を考慮して指定又は選任による遺言執行者の報酬を定めることができる。
 遺言執行者が報酬を受ける場合については、第686条第2項及び第3項の規定を準用する。
 (遺言執行者の辞退)1019-02
第1105条 指定又は選任による遺言執行者は、正当な事由があるときは、裁判所の許可を得て、その任務を辞退することができる。
 (遺言執行者の解任)1019-01
第1106条 指定又は選任による遺言執行者にその任務を怠り、又は適当でない事由があるときは、裁判所は、相続人その他の利害関係人の請求により、遺言執行者を解任することができる
 (遺言執行の費用)1021
第1107条 遺言の執行に関する費用は、相続財産の中から支払う。
    第5節 遺言の撤回
 (遺言の撤回)1022:1026
第1108条 遺言者は、いつでも遺言又は生前行為をもって遺言の全部又は一部を撤回することができる。
 遺言者は、その遺言を撤回する権利を放棄することができない。
 (遺言の抵触)1023
第1109条 前後の遺言が抵触し、又は遺言後の生前行為が遺言と抵触する場合には、その抵触した部分に係る従前の遺言は、撤回したものとみなす。
 (破棄による遺言の撤回)1024
第1110条 遺言者が故意に遺言証書又は遺贈の目的物を破棄したときは、その破棄した部分に係る遺言は、撤回したものとみなす。
 (負担付遺贈の取消し)1027
第1111条 負担付遺贈を受けた者がその負担義務を履行しないときは、相続人又は遺言執行者は、相当の期間を定めて履行すべき旨を催告し、その期間内に履行しないときは、裁判所に遺言の取消しを請求することができる。 ただし、第三者の利益を害することができない。
   第3章 遺留分
 (遺留分権利者と遺留分1042
第1112条 相続人の遺留分は、次に定めるところによる。
 (1) 被相続人直系卑属は、その法定相続分の2分の1
 (2) 被相続人の配偶者は、その法定相続分の2分の1
 (3) 被相続人直系尊属は、その法定相続分の3分の1
 (4) 被相続人の兄弟姉妹は、その法定相続分の3分の1
 遺留分の算定)1043
第1113条 遺留分は、被相続人が相続開始の時に有した財産の価額に贈与財産の価額を加算してから債務の全額を控除して算定する。
 条件付権利又は存続期間が不確定な権利は、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価により、その価格を定める。
 (算入すべき贈与)1044-01
第1114条  贈与は、相続開始前の1年間にしたものに限り、前条の規定によりその価額を算定する。 当事者双方が遺留分権利者に損害を与えることを知って贈与をしたときは、1年前より前にしたものについても、同様とする。
 (遺留分保全1046:1047-01
第1115条 遺留分権利者は、被相続人の前条に規定された贈与又は遺贈によってその遺留分に不足が生じたときは、不足した限度で、その財産の返還を請求することができる。
 前項の場合において、贈与又は遺贈を受けた者が数人あるときは、各自が受けた遺贈の価額に応じて返還しなければならない。
 (返還の順序)1047-01
第1116条 贈与に対しては、遺贈の返還がされた後でなければ、返還を請求することができない。
 (消滅時効1048
第1117条 返還の請求権は、遺留分権利者が相続の開始及び返還すべき贈与又は遺贈をした事実を知った時から1年内にしないときは、時効によって消滅する。 相続が開始した時から10年を経過したときも、同様とする。
(準用規定)
第1118条 第1001条、第1008条及び第1010条の規定は、遺留分について準用する。

新私訳:韓国の民法 その18<第997条~第1059条>

  第5編 相続
   第1章 相続
    第1節 総則
 (相続開始の原因)0882
第997条 相続は、死亡によって開始する。
 (相続開始の場所)0883
第998条 相続は、被相続人の住所地において開始する。
 (相続費用)0885
第998条の2 相続に関する費用は、相続財産の中から支払う。
 (相続回復請求権)0884
第999条 相続権が僭称相続人によって侵害されたときは、相続人又はその法定代理人は、相続回復の訴えを提起することができる。
 前項の規定による相続回復請求権は、その侵害を知った日から3年、相続権の侵害行為があった日から10年を経過したときは、消滅する。
    第2節 相続人
 (相続の順位)0887-01:0889-01:0886①
第1000条 相続においては、次の順位で相続人となる。
 (1) 被相続人直系卑属
 (2) 被相続人直系尊属
 (3) 被相続人の兄弟姉妹
 (4) 被相続人の4親等以内の傍系血族
 前項の場合において、同順位の相続人が数人あるときは最も近い親等の者を先順位とし、同親等の相続人が数人あるときは共同相続人となる。
 胎児は、相続の順位については、既に出生したものとみなす。
 (代襲相続0887-02.03:0889-02
第1001条 前条第1項第1号及び第3号の規定により相続人となる直系卑属又は兄弟姉妹が相続開始前に死亡し、又は欠格者となった場合において、その直系卑属があるときは、その直系卑属が死亡し、又は欠格した者の順位に代わって相続人となる。
第1002条  削除
 (配偶者の相続の順位)0890
第1003条 被相続人の配偶者は、第1000条第1項第1号及び第2号の規定による相続人がある場合にはその相続人と同順位で共同相続人となり、その相続人がない場合には単独相続人となる。
 第1001条の場合において、相続開始前に死亡し、又は欠格した者の配偶者は、同条の規定による相続人と同順位で共同相続人となり、その相続人がないときは、単独相続人になる。 
 (相続人の欠格事由)0891
第1004条
 次に掲げる者は、相続人となることができない。 
 (1) 故意に直系尊属被相続人、その配偶者又は相続の先順位若しくは同順位にある者を殺害し、又は殺害しようとした者
 (2) 故意に直系尊属被相続人又はその配偶者に傷害を加えて、死亡に至らせた者
 (3) 詐欺又は強迫によって、被相続人の相続に関する遺言又は遺言の撤回を妨害した者
 (4) 詐欺又は強迫によって、被相続人の相続に関する遺言をさせた者
 (5) 被相続人の相続に関する遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者
    第3節 相続の効力
     第1款 一般的効力
 (相続と権利義務の包括的承継)0896
第1005条 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に関する権利義務を包括的に承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。
 (共同相続と財産の共有)0898-01
第1006条 相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有とする。
 (共同相続人の権利義務の承継)0899
第1007条 共同相続人は、各自の相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する。
 (特別受益者の相続分)0903-01
第1008条 共同相続人中に被相続人から財産の贈与又は遺贈を受けた者がある場合において、その受贈財産が自己の相続分に達しないときは、その不足する部分の限度において相続分を有する。
 (寄与分0904の2
第1008条の2 共同相続人中に、相当な期間、同居、看護その他の方法によって被相続人を特別に扶養し、又は被相続人の財産の維持若しくは増加について特別に寄与した者があるときは、相続開始の時の被相続人の財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし、第1009条及び第1010条の規定により算定した相続分に寄与分を加算した額をもって、その者の相続分とする。 
 前項の協議が調わず、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、同項に規定する寄与者の請求により、寄与の時期、方法及び程度並びに相続財産の額その他の事情を考慮して、寄与分を定める。
 寄与分は、相続開始の時における被相続人の財産の価額から遺贈の価額を控除した額を超えることができない。
 第2項の規定による請求は、第1013条第2項の規定による請求があった場合又は第1014条に規定する場合にすることができる。
 (墳墓等の承継)0897
第1008条の3 墳墓に属する1町歩以内の禁養林野及び600坪以内の墓土である農地並びに族譜及び祭具の所有権は、祭祀を主宰する者が承継する。
     第2款 相続分
 (法定相続分0900
第1009条 同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、等しいものとする。
 被相続人の配偶者の相続分は、直系卑属と共同で相続するときは直系卑属の相続分の5割を加算し、 直系尊属と共同で相続するときは直系尊属の相続分の5割を加算する。
 (代襲相続分)0901
第1010条 第1001条の規定により死亡し、又は欠格した者に代わって相続人となった者の相続分は、死亡し、又は欠格した者の相続分による。 
 前項の場合において、死亡し、又は欠格した者の直系卑属が数人あるときは、その相続分は、死亡し、又は欠格した者の相続分の限度において、前条の規定により定める。第1003条第2項の場合も、また同様とする。
 (共同相続分の譲受け)0905
第1011条 共同相続人中にその相続分を第三者に譲り渡した者があるときは、 他の共同相続人は、その価額及び譲渡費用を償還して、その相続分を譲り受けることができる。
 前項の規定による権利は、その事由を知った日から3箇月内に、その事由があった日から1年内に行使しなければならない。
     第3款 相続財産の分割
 (遺言による分割方法の指定及び分割の禁止)0908
第1012条 被相続人は、遺言で、相続財産の分割方法を定め、若しくはこれを定めることを第三者に委託することができ、又は相続開始の日から5年を超えない期間内でその分割を禁止することができる。
 (協議による分割)0907
第1013条 前条の場合を除き、共同相続人は、いつでも協議で相続財産を分割することができる。
 第269条の規定は、前項の規定による相続財産の分割について準用する。
 (分割後の被認知者等の請求権)0910
第1014条 相続開始後の認知又は裁判の確定によって共同相続人となった者は、相続財産の分割を請求する場合において、他の共同相続人が既に分割その他の処分をしていたときは、その相続分に相当する価額の支払を請求する権利を有する。
 (分割の遡及効0909
第1015条 相続財産の分割は、相続開始の時に遡って効力を生じる。 ただし、第三者の権利を害することはできない。
 (共同相続人の担保責任)0911
第1016条 共同相続人は、他の共同相続人が分割によって取得した財産について、その相続分に応じて売主と同じ担保責任を負う。
 (相続債務者の資力についての担保責任)0912
第1017条 共同相続人は、他の相続人が分割によって取得した債権について、分割の時における債務者の資力を担保する。
 弁済期に至らない債権及び停止条件付債権については、弁済を請求することができる時における債務者の資力を担保する。
 (無資力の共同相続人の担保責任の分担)0913
第1018条 担保責任を負う共同相続人中に償還の資力のない者があるときは、その負担部分は、求償権者及び資力を有する他の共同相続人がその相続分に応じて分担する。ただし、求償権者の過失によって償還を受けることができなかったときは、他の共同相続人に分担を請求することができない。
    第4節 相続の承認及び放棄
     第1款 総則
 (承認及び放棄の期間)0915
第1019条 相続人は、相続の開始があったことを知った日から3箇月内に、単純承認若しくは限定承認又は放棄をすることができる。ただし、その期間は、利害関係人又は検事の請求により、家庭裁判所が延長することができる。 
 相続人は、前項に規定する承認又は放棄をする前に、相続財産を調査することができる。  
 第1項の規定にかかわらず、相続人は、相続債務が相続財産を超過する事実(以下この条において「相続債務超過事実」という。)を重大な過失なく同項に規定する期間内に知ることができず、 単純承認(第1026条第1号及び第2号の規定により単純承認をしたものとみなす場合を含む。以下この条において同じ。)をした場合には、その事実を知った日から3箇月内に限定承認をすることができる。
 第1項の規定にかかわらず、未成年者である相続人は、相続債務が相続財産を超過する相続について成年となる前に単純承認をした場合には、成年となった後その相続の相続債務超過事実を知った日から3箇月内に限定承認をすることができる。未成年者である相続人が前項の規定により限定承認をせず、又はすることができなかった場合も、また同様とする。
 (制限能力者の承認及び放棄の期間)0917
第1020条 相続人が制限行為能力者である場合には、前条第1項に規定する期間は、その親権者又は後見人が相続の開始したことを知った日から起算する。
 (承認及び放棄の期間の計算に関する特則)0916
第1021条 相続人が承認又は放棄をしないで第1019第1項に規定する期間内に死亡したときは、その相続人が自己のための相続開始があったことを知った日から同項に規定する期間を起算する。
 (相続財産の管理)0918:0926-01
第1022条 相続人は、その固有財産におけるのと同一の注意をもって相続財産を管理しなければならない。ただし、単純承認又は放棄をしたときは、この限りでない。
 (相続財産の保存に必要な処分)0897の2-01.02
第1023条 裁判所は、利害関係人又は検事の請求により、相続財産の保存に必要な処分を命じることができる。
 裁判所が財産管理人を選任した場合については、第24条から第26条までの規定を準用する。
 (承認及び放棄の取消しの禁止)0919-01~03
第1024条 相続の承認及び放棄は、第1019条第1項に規定する期間内でも、取り消すことができない。  
 前項の規定は、総則編の規定による取消しに影響を及ぼさない。ただし、その取消権は、追認をすることができる日から3箇月、承認又は放棄をした日から1年内に行使しないときは、時効によって消滅する。
     第2款 単純承認
 (単純承認の効果)0920
第1025条 相続人は、単純承認をしたときは、無限に被相続人の権利義務を承継する。
 (法定単純承認)0921
第1026条 次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。  
 (1) 相続人が相続財産に対する処分行為をしたとき。
 (2) 相続人が、第1019条第1項に規定する期間内に、限定承認又は放棄をしなかったとき。
 (3) 相続人が、限定承認又は放棄をした後に、相続財産を隠匿し、不正に消費し、又は故意に財産目録に記入しなかったとき。
 (法定単純承認の例外)0921-0-03但
第1027条 相続人が相続を放棄したことによって次順位の相続人が相続を承認したときは、前条第3号に掲げる場合は、相続の承認とみなさない。
     第3款 限定承認
 (限定承認の効果)0922
第1028条 相続人は、相続によって取得する財産の限度で被相続人の債務及び遺贈を弁済することを条件として、相続を承認することができる。
 (共同相続人の限定承認)0923
第1029条 相続人が数人あるときは、各相続人は、その相続分に応じて取得する財産の限度でその相続分による被相続人の債務及び遺贈を弁済することを条件として、相続を承認することができる。
 (限定承認の方式)0924
第1030条 相続人が限定承認をするときは、第1019条第1項、第3項又は第4項に規定する期間内に、相続財産の目録を添付し、裁判所に限定承認の届出をしなければならない。
 第1019条第3項又は第4項の規定により限定承認をした場合において、相続財産中に既に処分した財産があるときは、その目録及び価額を併せて提出しなければならない。
 (限定承認と財産上の権利義務の不消滅)0925
第1031条 相続人が限定承認をしたときは、被相続人に対する相続人の財産上の権利義務は、消滅しない。
 (債権者に対する公告及び催告)0927
第1032条 限定承認者は、限定承認をした日から5日内に、一般相続債権者及び受遺者に対し、限定承認の事実及び一定の期間内にその債権又は受贈を届け出るべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、2箇月以上でなければならない。
 第88条第2項及び第3項並びに第89条の規定は、前項の場合について準用する。
 (催告期間中の弁済の拒絶)0928
第1033条 限定承認者は、前条第1項の期間の満了前においては、相続債権の弁済を拒絶することができる。
 (配当弁済)0929
第1034条 限定承認者は、第1032条第1項に規定する期間の満了後に、相続財産をもって、その期間内に届け出た債権者及び限定承認者が知っている債権者に対し、各債権額の割合に応じて弁済をしなければならない。ただし、優先権を有する債権者の権利を害することはできない。
 第1019条第3項又は第4項の規定により限定承認をした場合には、その相続人は、相続財産中に残っている相続財産及び既に処分した財産の価額を合算して、前項の弁済をしなければならない。 ただし、限定承認をする前に相続債権者及び受遺者に弁済した価額は、既に処分した財産の価額から除外する。
 (弁済期前の債務等の弁済)0930
第1035条 限定承認者は、弁済期に至らない債権についても、前条の規定により弁済をしなければならない。
 条件付債権又は存続期間の不確定な債権は、裁判所が選任した鑑定人の評価によって弁済をしなければならない。
 (受遺者への弁済)0931
第1036条 限定承認者は、前2条の規定により相続債権者に対する弁済を完了した後でなければ、受遺者に弁済をすることができない。
 (相続財産の競売)0932
第1037条 前3条の規定による弁済をするために相続財産の全部又は一部を売却する必要があるときは、民事執行法により競売しなければならない。
 (不当弁済等による責任)0934
第1038条 限定承認者が第1032条の規定による公告若しくは催告を怠り、又は第1033条から第1036条までの規定に違反してある相続債権者若しくは受遺者に弁済をすることによって他の相続債権者若しくは受遺者に弁済をすることができなくなったときは、限定承認者は、その損害を賠償しなければならない。第1019条第3項の規定により限定承認をした場合において、それ以前に相続債務が相続財産を超過することを知り得なかったことについて過失のある相続人が相続債権者又は受遺者に弁済をしたときも、また同様とする。
 前項前段の場合において、弁済を受けることができなかった相続債権者又は受遺者は、その事情を知って弁済を受けた相続債権者又は受遺者に対して求償権を行使することができる。第1019条第3項又は第4項の規定により限定承認をした場合において、それ以前に相続債務が相続財産を超過することを知って弁済を受けた相続債権者又は受遺者があるときも、また同様とする。
 第766条の規定は、前2項の場合について準用する。
 (届出をしなかった債権者等)0935
第1039条 第1032条第1項に規定する期間内に届け出なかった相続債権者及び受遺者で、限定承認者が知り得なかったものは、相続財産の残余がある場合に限り、その弁済を受けることができる。ただし、相続財産について特別担保権を有するときは、この限りでない。
 (共同相続財産とその管理人の選任)0936
第1040条 相続人が数人ある場合には、裁判所は、各相続人その他の利害関係人の請求により、共同相続人の中から相続財産の管理人を選任することができる。
2 裁判所が選任した管理人は、共同相続人を代表して、相続財産の管理及び債務の弁済に関するすべての行為を行う権利義務を有する。
3 第1022条及び第1032条から前条までの規定は、前項の管理人について準用する。ただし、第1032条の規定により公告する5日の期間は、管理人がその選任を知った日から起算する。
     第4款 放棄
 (放棄の方式)0938
第1041条 相続人が相続を放棄するときは、第1019条第1項に規定する期間内に、家庭裁判所に放棄の届出をしなければならない。
 (放棄の遡及効0939
第1042条 相続の放棄は、相続開始の時に遡って、その効力を生じる。
 (放棄した相続財産の帰属)
第1043条 相続人が数人ある場合において、ある相続人が相続を放棄したときは、その相続分は、他の相続人の相続分の割合に応じ、その相続人に帰属する。
 (放棄した相続財産の管理継続義務)0940
第1044条 相続を放棄した者は、その放棄によって相続人になった者が相続財産を管理することができるときまで、その財産の管理を継続しなければならない。
 第1022条及び第1023条の規定は、前項の規定による財産管理について準用する。
     第5節 財産の分離
 (相続財産の分離請求権)0941-01:0950-01
第1045条 相続債権者、受遺者又は相続人の債権者は、相続開始の日から3箇月内に、相続財産と相続人の固有財産の分離を裁判所に請求することができる。
 相続人が相続の承認又は放棄をしない間は、前項に規定する期間の経過後も、財産の分離を裁判所に請求することができる。
 (分離命令と債権者等に対する公告及び催告)0941-02.03
第1046条 裁判所が前条に規定する請求により財産の分離を命じたときは、その請求者は、5日内に、一般相続債権者及び受遺者に対して財産分離の命令があった事実及び一定の期間内にその債権又は受贈を届け出るべき旨を公告しなければならない。 この場合において、その期間は、2箇月以上でなければならない。
 第88条第2項及び第3項並びに第89条の規定は、前項の場合について準用する。
 (分離後の相続財産の管理)0943
第1047条 裁判所が財産の分離を命じたときは、相続財産の管理について必要な処分を命じることができる。
 裁判所が財産管理人を選任した場合については、第24条から第26条までの規定を準用する。
 (分離後の相続人の管理義務)0944
第1048条 相続人が単純承認をした後でも、財産分離の命令があったときは、相続財産について、自己の固有財産におけるのと同一の注意をもって、管理しなければならない。
 第683条から第685条まで並びに第688条第1項及び第2項の規定は、前項の規定による財産管理について準用する。
 (財産分離の対抗要件0945
第1049条 財産分離は、相続財産である不動産については、登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
 (財産分離と権利義務の不消滅)
第1050条 財産分離の命令があるときは、被相続人に対する相続人の財産上の権利義務は、消滅しない。
 (弁済の拒絶と配当弁済)0947
第1051条 相続人は、第1045条及び第1046条に規定する期間の満了前においては、相続債権者及び受遺者に対して弁済を拒絶することができる。
 前項の期間の満了後に、相続人は、相続財産をもって、財産分離の請求又はその期間内に届出をした相続債権者及び受遺者並びに相続人が知っている相続債権者及び受遺者に対し、各債権額又は受贈額の割合に応じて弁済をしなければならない。ただし、優先権を有する債権者の権利を害することはできない。
 第1035条から第1038条までの規定は、前項の場合について準用する。
 (固有財産からの弁済)0948
第1052条 前条の規定による相続債権者及び受遺者は、相続財産をもって全額の弁済を受けることができない場合に限り、相続人の固有財産からその弁済を受けることができる。
 前項の場合において、相続人の債権者は、相続人の固有財産から優先弁済を受ける権利を有する。
     第6節 相続人の不存在
 (相続人のない財産の管理人)0952:0953
第1053条 相続人の存否が明らかでないときは、裁判所は、第777条の規定による被相続人の親族その他の利害関係人又は検事の請求により、相続財産の管理人を選任し、遅滞なく、これを公告しなければならない。  
 第24条から第26条までの規定は、前項の管理人について準用する。
 (財産目録の提示及び状況の報告)0954
第1054条 管理人は、相続債権者又は受遺者の請求があるときは、いつでも相続財産の目録を提示し、その状況を報告しなければならない。
 (相続人の存在が明らかになった場合)0956
第1055条 管理人の任務は、その相続人が相続の承認をしたときに終了する。
 前項の場合には、管理人は、遅滞なく相続人に対して管理の計算をしなければならない。
 (相続人のない財産の清算0957
第1056条 第1053条第1項の公告があった日から3箇月内に相続人の存否を知ることができないときは、管理人は、遅滞なく一般相続債権者及び受遺者に対し、一定の期間内にその債権又は受贈を届け出るべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、2箇月以上でなければならない。
 第88条第2項及び第3項、第89条並びに第1033条から第1039条までの規定は、前項の場合について準用する。
 (相続人捜索の公告)0952
第1057条 前条第1項に規定する期間が経過しても相続人の存否を知ることができない場合には、裁判所は、管理人の請求により、相続人があるときは一定の期間内にその権利を主張すべきことを公告しなければならない。この場合において、その期間は、1年以上でなければならない。
 (特別縁故者に対する分与)0958の2
第1057条の2 前条の期間内に相続権を主張する者がないときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を共にしていた者、被相続人の療養看護をした者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求により、相続財産の全部又は一部を分与することができる。 
 前項の請求は、前条の期間の満了後2箇月以内にしなければならない。
 (相続財産の国への帰属)0959
第1058条 前条の規定により分与されなかったときは、相続財産は、国に帰属する。  
 第1055条第2項の規定は、前項の場合について準用する。
 (国に帰属した財産に対する弁済請求の禁止)
第1059条 前条第1項の場合には、相続財産をもって弁済を受けることができなかった相続債権者又は受遺者があるときでも、国に対してその弁済を請求することができない。

新私訳:韓国の民法 その17<第928条~第996条>

   第5章 後見
    第1節 未成年後見及び成年後見
     第1款 後見人
 (未成年者に対する後見の開始)0838
第928条 未成年者に親権者がなく、又は親権者が第924条、第924条の2、第925条若しくは第927条第1項の規定により親権の全部若しくは一部を行使することができない場合には、未成年後見人を置かなければならない。
 (成年後見審判による後見の開始)0838
第929条 家庭裁判所成年後見開始の審判がある場合には、その審判を受けた者の成年後見人を置かなければならない。
 (後見人の数及び資格)0840-02:0843-03.04
第930条 未成年後見人の数は、一人とする。
 成年後見人は、成年被後見人の身上及び財産に関するすべての事情を考慮して、数人置くことができる。
 法人も、成年後見人となることができる。 
 (遺言による未成年後見人の指定等)0839
第931条 未成年者に親権を行使する父母は、遺言で、未成年後見人を指定することができる。 ただし、法律行為の代理権及び財産管理権を有しない親権者は、この限りでない。
 家庭裁判所は、前項の規定により未成年後見人が指定された場合であっても、 未成年者の福利のために必要なときは、生存する父若しくは母又は未成年者の請求により、後見を終了して、生存する父又は母を親権者に指定することができる。
 (未成年後見人の選任)0840-01:0841
第932条 
家庭裁判所は、前条の規定により指定された未成年後見人がない場合には、職権で又は未成年者、親族、利害関係人、検事若しくは地方自治団体の長の請求により、未成年後見人を選任する。未成年後見人が欠けた場合も、同様とする。
2 
家庭裁判所は、第924条、第924条の2及び第925条の規定による親権の喪失、一時停止若しくは一部制限の宣告又は法律行為の代理権及び財産管理権の喪失の宣告によって未成年後見人を選任する必要がある場合には、職権で、未成年後見人を選任する。 
3 
親権者が代理権及び財産管理権を辞退した場合には、遅滞なく家庭裁判所に未成年後見人の選任を請求しなければならない。
第933条から第935条まで 削除
 成年後見人の選任)0843
第936条  第929条の規定による成年後見人は、家庭裁判所が、職権で、選任する。
 家庭裁判所は、成年後見人が死亡、欠格その他の事由によって欠けた場合においても、職権で又は成年被後見人、親族、利害関係人、検事若しくは地方自治団体の長の請求により、成年後見人を選任する。
 家庭裁判所は、成年後見人が選任されている

場合においても、必要と認めるときは、職権で又は前項に規定する請求権者若しくは成年後見人の請求により、更に成年後見人を選任することができる。
 家庭裁判所成年後見人を選任するときは、成年被後見人の意思を尊重しなければならないほか、成年被後見人の健康、生活関係及び財産状況並びに成年後見人となる者の職業、経験及び成年被後見人との利害関係の有無(法人が成年後見人となるときは、事業の種類及び内容並びに法人及びその代表者と成年被後見人の間の利害関係の有無をいう。)等の事情も考慮しなければならない。
 (後見人の欠格事由)0847
第937条 次に掲げる者は、後見人となることができない。  
 (1) 未成年者
 (2) 成年被後見人被保佐人、被補助人又は任意被後見人
 (3) 再生手続開始決定又は破産宣告を受けた者
 (4) 資格停止以上の刑の宣告を受け、その刑期中にある者
 (5) 裁判所から解任された法定代理人
 (6) 裁判所から解任された成年後見人、保佐人、補助人及び任意後見人並びにこれらの監督人
 (7) 行方が不明な者
 (8) 被後見人を相手として訴訟をしたことがあり、又は現にしている者
 (9) 前号に規定する者の配偶者及び直系血族。 ただし、被後見人の直系卑属は除く。
 (後見人の代理権等)
第938条 後見人は、被後見人の法定代理人となる。
 家庭裁判所は、成年後見人が前項の規定により有する法定代理権の範囲を定めることができる。
 家庭裁判所は、成年後見人が成年被後見人の身上について決定することができる権限の範囲を定めることができる。
 第2項及び前項の規定による法定代理人の権限の範囲が適切でなくなった場合において、家庭裁判所は、本人、配偶者、4親等以内の親族、成年後見人、成年後見監督人、検事又は地方自治団体の長の請求により、その範囲を変更することができる。
 (後見人の辞任)0844:0845
第939条 後見人は、正当な事由がある場合には、家庭裁判所の許可を得て、辞任することができる。 この場合には、その後見人は、辞任の請求と同時に、家庭裁判所に新たな後見人の選任を請求しなければならない。
 (後見人の変更)0846
第940条 家庭裁判所は、被後見人の福利のために後見人を変更する必要があると認めるときは、職権で又は被後見人、親族、後見監督人、検事若しくは地方自治団体の長の請求により、後見人を変更することができる。
     第2款 後見監督人
 (未成年後見監督人の指定)0848
第940条の2 未成年後見人を指定することができる者は、遺言で、未成年後見監督人を指定することができる。 
 (未成年後見監督人の選任)0849
第940条の3 家庭裁判所は、前条の規定により指定された未成年後見監督人がない場合において必要と認めるときは、職権で又は未成年者、親族、未成年後見人、検事若しくは地方自治団体の長の請求により、未成年後見監督人を選任することができる。
 家庭裁判所は、未成年後見監督人が死亡、欠格その他の事由によって欠けた場合には、職権で又は未成年者、親族、未成年後見人、検事、地方自治団体の長の請求により、未成年後見監督人を選任する。
 (成年後見監督人の選任)0849
第940条の4 家庭裁判所は、必要と認めるときは、職権で又は成年被後見人、親族、成年後見人、検事若しくは地方自治団体の長の請求により、成年後見監督人を選任することができる。
 家庭裁判所は、成年後見監督人が死亡、欠格その他の事由によって欠けた場合には、職権で又は成年被後見人、親族、成年後見人、検事若しくは地方自治団体の長の請求により、成年後見監督人を選任する。
 (後見監督人の欠格事由)0850
第940条の5 第779条の規定による後見人の家族は、後見監督人となることができない。
 (後見監督人の職務)0851
第940条の6 後見監督人は、後見人の事務を監督するほか、後見人が欠けた場合には、遅滞なく、家庭裁判所に後見人の選任を請求しなければならない。
 後見監督人は、被後見人の身上又は財産について急迫な事情がある場合には、その保護のために必要な行為又は処分をすることができる。
 後見人と被後見人の間で利害が相反する行為については、後見監督人が被後見人を代理する。
 (委任及び後見人の規定の準用)0852
第940条の7 後見監督人については、第681条、第691条、第692条、第930条第2項及び第3項、第936条第3項及び第4項、第937条、第939条、第940条、第947条の2第3項から第5項まで、第949条の2、第955条並びに第955条の2の規定を準用する。
     第3款 後見人の任務
 (財産の調査及び目録作成)0853
第941条 後見人は、遅滞なく被後見人の財産を調査し、2箇月内に、その目録を作成しなければならない。 ただし、正当な事由がある場合には、裁判所の許可を得て、その期間を延長することができる。
 後見監督人がある場合には、前項の規定による財産の調査及び目録作成は、後見監督人の立会いがなければ、効力を有しない。
 (後見人の債権債務の提示)0855
第942条 後見人と被後見人の間に債権債務の関係がある場合において、後見監督人があるときは、後見人は、財産目録の作成を完了する前に、その内容を後見監督人に提示しなければならない。
 後見人が、被後見人に対する債権を有することを知りながら、前項の規定による提示を怠った場合には、その債権を放棄したものとみなす。
 (目録作成前の権限)0854
第943条 後見人は、財産の調査及び目録作成を完了するまでは、緊急に必要な場合でなければ、その財産に関する権限を行使することができない。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
 (被後見人が取得した包括的財産の調査等)0856
第944条 前3条の規定は、後見人の就任後に被後見人が包括的財産を取得した場合について準用する。
 (未成年者の身分に関する後見人の権利義務)0857
第945条 未成年後見人は、第913条及び第914条に規定する事項については、親権者と同じ権利義務を有する。 ただし、次に掲げる場合において、未成年後見監督人があるときは、その同意を得なければならない。 
 (1) 親権者が定めた教育方法、養育方法又は居所を変更する場合
 (2) 削除
 (3) 親権者が許諾した営業を取り消し、又は制限する場合
 (親権の一部に限定された後見)0868
第946条
 未成年者の親権者が、第924条の2、第925条又は第927条第1項の規定により、親権の一部を行使することができない場合には、未成年後見人の任務は、その制限された親権の範囲に属する行為に限定される。
 (成年被後見人の福利及び意思の尊重)0858
第947条 成年後見人は、成年被後見人の財産管理及び身上保護を行うときは、諸事情を考慮して、その者の福利に適する方法によって事務を処理しなければならない。この場合において、成年後見人は、成年被後見人の福利に反しないときは、成年被後見人の意思を尊重しなければならない。
 (成年被後見人の身上の決定等)0859の3
第947条の2 成年被後見人は、その身上について、その状態が許す範囲において、単独で決定する。
 成年後見人が成年被後見人を治療等の目的で精神病院又はその他の場所に隔離しようとする場合には、家庭裁判所の許可を得なければならない。
 成年被後見人の身体を侵害する医療行為について、成年被後見人が同意することができない場合には、成年後見人は、その者に代わって、同意することができる。
 前項の場合において、成年被後見人が医療行為の直接的な結果として死亡し、又は相当な障害を受けるおそれがあるときは、家庭裁判所の許可を得なければならない。 ただし、許可手続によって医療行為が遅滞して、成年被後見人の生命に危険を招き、又は心身上の重大な障害を招くときは、事後に許可を請求することができる。
 成年後見人が成年被後見人を代理して、成年被後見人が居住している建物又はその宅地について、売渡し、賃貸、伝貰権設定、抵当権設定、賃貸借の解約告知、伝貰権の消滅又はこれらに準じる行為をする場合には、家庭裁判所の許可を得なければならない。
 (未成年者の親権の代行)0867
第948条 未成年後見人は、未成年者に代わって、未成年者の子に対する親権を行使する。
 前項に規定する親権の行使については、未成年後見人の任務に関する規定を準用する。
 (財産管理権及び代理権)0859
第949条 後見人は、被後見人の財産を管理し、その財産に関する法律行為について被後見人を代理する。
 第920条ただし書の規定は、前項の法律行為について準用する。
 (成年後見人が数人いる場合の権限の行使等)0859の2-01.02
第949条の2 家庭裁判所は、職権で、数人の成年後見人が、共同して又は事務を分掌して、その権限を行使するよう定めることができる。
 家庭裁判所は、職権で、前項の規定による定めを変更し、又は取り消すことができる。
 数人の成年後見人が共同して権限を行使しなければならない場合において、ある成年後見人が、成年被後見人の利益が侵害されるおそれがあるにもかかわらず、法律行為の代理等必要な権限の行使に協力しないときは、家庭裁判所は、成年被後見人成年後見人、後見監督人又は利害関係人の請求により、その成年後見人の意思表示に代わる裁判をすることができる。
 (利害相反行為)0860
第949条の3 後見人については、第921条の規定を準用する。 ただし、後見監督人がある場合は、この限りでない。
 (後見監督人の同意を要する行為)0864
第950条 後見人が、被後見人を代理して次に掲げる行為をし、又は未成年者の次に掲げる行為について同意をする場合において、後見監督人があるときは、その同意を得なければならない。
 (1) 営業に関する行為
 (2) 金銭を借りる行為
 (3) 義務のみを負担する行為
 (4) 不動産又は重要な財産に関する権利の得喪変更を目的とする行為
 (5) 訴訟行為
 (6) 相続の承認、限定承認又は放棄及び相続財産の分割に関する協議
 後見監督人の同意が必要な行為について、後見監督人が被後見人の利益が侵害されるおそれがあるにもかかわらず、同意をしない場合には、家庭裁判所は、後見人の請求により、後見監督人の同意に代わる許可をすることができる。
 後見監督人の同意が必要な法律行為については、後見人が後見監督人の同意なしにしたときは、被後見人又は後見監督人は、その行為を取り消すことができる。
 (被後見人の財産等の譲受けに対する取消し)0866-01前段
第951条 後見人が被後見人に対する第三者の権利を譲り受けた場合には、被後見人は、これを取り消すことができる。
 前項の規定による権利の譲受けの場合において、後見監督人があるときは、後見人は、後見監督人の同意を得なければならず、後見監督人の同意がないときは、被後見人又は後見監督人は、これを取り消すことができる。
 (相手方の追認の可否の催告)0865-01後段:0866-01後段
第952条 第950条及び前条の場合については、第15条の規定を準用する。
 (後見監督人の後見事務の監督)0863-01
第953条 後見監督人は、いつでも、後見人に対しその任務の遂行に関する報告及び財産目録の提出を求めることができ、被後見人の財産状況を調査することができる。
 (家庭裁判所の後見事務に関する処分)0863-02
第954条 家庭裁判所は、職権で又は被後見人、後見監督人、第777条の規定による親族、その他の利害関係人、検事若しくは地方自治団体の長の請求により、被後見人の財産状況を調査し、及び後見人に財産管理等の後見の任務の遂行について必要な処分を命じることができる。
 (後見人に対する報酬)0862
第955条 裁判所は、後見人の請求により、被後見人の財産状態その他の事情を考慮して、被後見人の財産から、相当な報酬を後見人に与えることができる。
 (支出金額の予定及び事務費用)0861-02
第955条の2 後見人が後見事務を遂行するために必要な費用は、被後見人の財産から支出する。 
 (委任及び親権の規定の準用)0869
第956条 第681条及び第918条の規定は、後見人について準用する。
     第4款 後見の終了
 (後見事務の終了と管理の計算)0870:0871
第957条 後見人の任務が終了したときは、後見人又はその相続人は、1箇月内に被後見人の財産に関する計算をしなければならない。 ただし、正当な事由がある場合には、裁判所の許可を得て、その期間を延長することができる。
 前項の計算は、後見監督人がある場合には、その者が立ち会わなければ、効力を有しない。
 (利息の付加及び金銭消費に対する責任)0873
第958条 後見人が被後見人に支払うべき金額及び被後見人が後見人に支払うべき金額には、計算終了の日から利息を付さなければならない。
 後見人が自己のために被後見人の金銭を消費したときは、その消費した日から利息を付し、なお被後見人に損害があるときは、これを賠償しなければならない。
 (委任の規定の準用)0874
第959条 第691条及び第692条の規定は、後見の終了について準用する。
    第2節 保佐及び補助
 (保佐の開始)0876の2-01
第959条の2 家庭裁判所の保佐開始の審判がある場合は、その審判を受けた者の保佐人を置かなければならない。
 (保佐人の選任等0876の2
第959条の3
 前条の規定による保佐人は、家庭裁判所が、職権で、選任する。
 保佐人については、第930条第2項及び第3項、第936条第2項から第4項まで、第937条、第939条、第940条並びに第949条の3の規定を準用する。
 (保佐人の代理権等)0876の4-01.03
第959条の4 家庭裁判所は、保佐人に代理権を授与する審判をすることができる。
 保佐人の代理権等については、第938条第3項及び第4項の規定を準用する。
 (保佐監督人)0876の3
第959条の5 家庭裁判所は、必要と認めるときは、職権で又は被保佐人、親族、保佐人、検事若しくは地方自治団体の長の請求により、保佐監督人を選任することができる。
 保佐監督人については、第681条、第691条、第692条、第930条第2項及び第3項、第936条第3項及び第4項、第937条、第939条、第940条、第940条の3第2項、第940条の5、第940条の6、第947条の2第3項から第5項まで、第949条の2、第955条並びに第955条の2の規定を準用する。 この場合において、第940条の6第3項中「被後見人を代理する」とあるのは、「被保佐人を代理し、又は被保佐人がその行為をすることに同意する」と読み替えるものとする
 (保佐の事務)0876の5-01.02
第959条の6 保佐の事務については、第681条、第920条ただし書、第947条、第947条の2及び第949条から第955条の2までの規定を準用する。
 (保佐人の任務の終了等)0876の5-03
第959条の7 保佐人の任務が終了した場合については、第691条、第692条、第957条及び第958条の規定を準用する。
 (補助による保護措置)
第959条の8 家庭裁判所は、被補助人の補助のために必要な処分を命じることができる。
 (補助人の選任等)0876の7
第959条の9 家庭裁判所は、前条の規定による処分によって、被補助人を補助し、又は代理するための補助人を選任することができる。
 補助人については、第930条第2項及び第3項、第936条第2項から第4項まで、第937条、第939条並びに第940条の規定を準用する。
 (補助監督人)0876の8
第959条の10 家庭裁判所は、必要と認めるときは、職権で又は被補助人、親族、補助人、検事若しくは地方自治団体の長の請求により、補助監督人を選任することができる。
 補助監督人については、第681条、第691条、第692条、第930条第2項及び第3項、第936条第3項及び第4項、第937条、第939条、第940条、第940条の5、第940条の6、第949条の2、第955条並びに第955条の2の規定を準用する。
 (補助人の代理権)0876の9
第959条の11 被補助人の補助のために必要と認めるときは、家庭裁判所は、期間及び範囲を定めて、補助人に代理権を授与する審判をすることができる。
 前項の場合において、家庭裁判所は、補助人の代理権の行使について、家庭裁判所又は補助監督人の同意を得るよう命じることができる。
 (補助事務)0876の10-01
第959条の12 補助の事務については、第681条、第920条ただし書、第947条、第949条の2及び第953条から第955条の2までの規定を準用する。
 (補助人の任務の終了等)0876の10-02
第959条の13 補助人の任務が終了した場合については、第691条、第692条、第957条及び第958条の規定を準用する。
    第3節 任意後見契約
 (任意後見契約の意義と締結方法等)任意後見契約に関する法律02:03:06
第959条の14 任意後見契約は、疾病、障害、老齢その他の事由による精神的制約により事務を処理する能力が不足する状況にあり、又は不足になる状況に備えて、自己の財産管理及び身上保護に関する事務の全部又は一部を他の者に委託し、その委託事務について代理権を授与することを内容とする。
 任意後見契約は、公正証書によって締結しなければならない。
 任意後見契約は、家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時から効力を生じる。
 家庭裁判所、任意後見人、任意後見監督人等は、任意後見契約を履行し、及び運営するときは、本人の意思を最大限尊重しなければならない。
 (任意後見監督人の選任)任意後見契約に関する法律04:05
第959の15 家庭裁判所は、任意後見契約が登記されている場合において、本人の事務を処理する能力が不足する状況にあると認めるときは、本人、配偶者、4親等以内の親族、任意後見人, 検事又は地方自治団体の長の請求により、任意後見監督人を選任する。
 前項の場合において、本人以外の者の請求により家庭裁判所が任意後見監督人を選任するときは、あらかじめ本人の同意を得なければならない。 ただし、本人が意思を表示することができないときは、この限りでない。
 家庭裁判所は、任意後見監督人が欠けた場合には、職権で又は本人、親族、任意後見人、 検事若しくは地方自治団体の長の請求により、任意後見監督人を選任する。
 家庭裁判所は、任意後見監督人が選任されている場合においても、必要と認めるときは、職権で又は前項に規定する請求権者の請求により、任意後見監督人を更に選任することができる。
  任意後見監督人については、第940条の5の規定を準用する。
 (任意後見監督人の職務等)任意後見契約に関する法律07
第959条の16 任意後見監督人は、任意後見人の事務を監督して、その事務について家庭裁判所に定期的に報告しなければならない。
 家庭裁判所は、必要と認めるときは、任意後見監督人に対し、監督事務に関する報告を求めることができ、任意後見人の事務又は本人の財産状況に関する調査を命じ、その他任意後見監督人の職務について必要な処分を命じることができる。
 任意後見監督人については、第940条の6第2項及び第3項、第940条の7並びに第953条の規定を準用する。 
 (任意後見開始の制限等)任意後見契約に関する法律04-01:08
第959条の17 任意後見人が第937条各号に掲げる者又はその他著しい非行を行い、若しくは後見契約で定めた任務に適しない事由がある者であった場合には、家庭裁判所は、任意後見監督人を選任しない。
 任意後見監督人を選任した後において、任意後見人が著しい非行を行い、又はその他その任務に適しない事由がある場合には、家庭裁判所は、任意後見監督人、本人、親族、検事又は地方自治団体の長の請求により、任意後見人を解任することができる。
 (任意後見契約の終了)任意後見契約に関する法律09
第959条の18 任意後見監督人の選任前においては、本人又は任意後見人は、いつでも、公証人の認証を受けた書面によって、任意後見契約の意思表示を撤回することができる。
 任意後見監督人の選任後においては、本人又は任意後見人は、正当な事由があるときに限り、家庭裁判所の許可を得て、任意後見契約を終了することができる。
 (任意後見人の代理権の消滅と第三者との関係)任意後見契約に関する法律11
第959条の19 任意後見人の代理権の消滅は、登記しなければ、善意の第三者に対抗することができない。
 (任意後見契約と成年後見、保佐及び補助との関係)任意後見契約に関する法律10:04-02
第959条の20 任意後見契約が登記されている場合には、家庭裁判所は、本人の利益のため特に必要なときに限り、任意後見人又は任意後見監督人の請求により、成年後見、保佐又は補助の開始の審判をすることができる。 この場合において、任意後見契約は、本人が成年後見又は保佐の開始の審判を受けた時に終了する。
 本人が成年被後見人被保佐人又は被補助人である場合において、家庭裁判所は、任意後見監督人を選任するに当たっては、従前の成年後見、保佐又は補助の終了の審判をしなければならない。 ただし、成年後見又は保佐の措置の継続が本人の利益のために特に必要と認めるときは、家庭裁判所は、任意後見監督人を選任しない。
   第6章 削除
第960条から第973条まで
 削除
   第7章 扶養
 (扶養義務)0877
第974条 次に掲げる親族間においては、互いに扶養の義務を負う.
 (1) 直系血族及びその配偶者の間
 (2) 削除
 (3) その他の親族間(生計を同じくする場合に限る。)
 (扶養義務と生活能力)
第975条 扶養の義務は、扶養を受ける者が自己の資力又は労働によって生活を維持することができない場合に限り、これを履行する責任を負う。
 (扶養の順位)0878
第976条 扶養の義務を負う者が数人ある場合において、扶養をすべき者の順位について当事者間に協定がないときは、裁判所は、当事者の請求により、これを定める。扶養を受ける権利者が数人ある場合において、扶養義務者の資力がその全員を扶養することができないときも、同様とする。
 前項の場合において、裁判所は、数人の扶養義務者又は権利者を選定することができる。
 (扶養の程度及び方法)0879
第977条 扶養の程度又は方法について当事者間に協定がないときは、裁判所は、当事者の請求により、扶養を受ける者の生活の程度及び扶養義務者の資力その他の諸般の事情を考慮して、これを定める。
 (扶養関係の変更又は取消し)0880
第978条 扶養をする者又は扶養を受ける者の順位又は扶養の程度若しくは方法に関する当事者の協定又は裁判所の判決があった後これらに関する事情の変更があったときは、裁判所は、当事者の請求により、その協定又は判決を取り消し、又は変更することができる。
 (扶養請求権の処分の禁止)0881
第979条 扶養を受ける権利は、処分することができない。
   第8章  削除
    第1節 削除
第980条から第983条まで 削除
    第2節 削除
第984条から第994条まで 削除
    第3節 削除
第995条及び第996条 削除

新私訳:韓国の民法 その16<第844条~第927条の2>

   第4章 父母及び子
    第1節 実子
 (夫の嫡出子の推定)0772
第844条 妻が婚姻中に妊娠した子は、夫の子と推定する。
 婚姻が成立した日から200日後に出生した子は、婚姻中に妊娠したものと推定する。
 婚姻関係が終了した日から300日以内に出生した子は、婚姻中に妊娠したものと推定する。
 (裁判所による父の決定)0773
第845条 再婚した女性が出産した場合において、前条の規定によりその子の父を定めることができないときは、裁判所が、当事者の請求により、これを定める。
 (子の嫡出否認)0774
第846条 夫婦の一方は、第844条の場合において、その子が嫡出子であることを否認する訴えを提起することができる。
 (嫡出否認の訴え)0775:0777
第847条 嫡出否認の訴えは、夫又は妻が、他の一方又は子を相手として、その事由があることを知った日から2年内に、しなければならない。
 前項の場合において、相手方になるべき者が全て死亡したときは、その死亡を知った日から2年内に、検事を相手として、嫡出否認の訴えを提起することができる。
 (成年後見と嫡出否認の訴え)0778
第848条 夫又は妻が成年被後見人である場合には、その成年後見人が、成年後見監督人の同意を得て、嫡出否認の訴えを提起することができる。 成年後見監督人がなく、又は同意することができないときは、家庭裁判所に、その同意に代わる許可を請求することができる。
 前項の場合において、成年後見人が嫡出否認の訴えを提起しないときは、成年被後見人は、成年後見終了の審判があった日から2年内に、嫡出否認の訴えを提起することができる。
 (子の死亡後の嫡出否認)
第849条 子が死亡した後であっても、直系卑属があるときはその母を相手とし、母がないときは検事を相手として、否認の訴えを提起することができる。
 (遺言による嫡出否認)
第850条 夫又は妻が遺言で否認の意思を表示したときは、遺言執行者は、嫡出否認の訴えを提起しなければならない。
 (子の出生前の夫の死亡等と嫡出否認)
第851条 夫が子の出生前に死亡し、又は夫若しくは妻が第847条第1項に規定する期間内に死亡したときは、夫又は妻の直系尊属又は直系卑属に限り、その死亡を知った日から2年内に、嫡出否認の訴えを提起することができる。
 (嫡出否認権の消滅)0776
第852条 子の出生後に嫡出子であることを承認した者は、嫡出否認の訴えを提起することができない。
第853条 削除
 (詐欺又は強迫による承認の取消し)
第854条 第852条に規定する承認が詐欺又は強迫によるときは、これを取り消すことができる。
 (嫡出否認の許可の請求)
第854条の2 母又は母の前夫は、第844条第3項の場合において、家庭裁判所に、嫡出否認の許可を請求することができる。 ただし、婚姻中の子として出生届がされた場合は、この限りでない。
 前項に規定する請求がある場合には、家庭裁判所は、血液採取による血液型の検査、遺伝因子の検査等科学的な方法による検査の結果又は長期間の別居等その他の事情を考慮して、許可するかどうかを定める。
 前2項の規定による許可を得た場合には、第844条第1項及び第3項に規定する推定は及ばない。
 (認知)0779:0789-01
第855条 婚姻外の出生子は、その実父又は実母が認知することができる。 父母の婚姻が無効であるときは、出生子は、婚姻外の出生子とみなす。
 婚姻外の出生子は、その父母が婚姻したときは、その時から婚姻中の出生子とみなす。
 (認知の許可の請求)
第855条の2 実父は、第844条第3項の場合において、家庭裁判所に認知の許可を請求することができる。 ただし、婚姻中の子として出生届がされた場合は、この限りでない。
 前項に規定する請求がある場合には、家庭裁判所は、血液採取による血液型の検査、遺伝因子の検査等科学的な方法による検査の結果又は長期間の別居等その他の事情を考慮し、許可するかどうかを定める。
 前2項の規定による許可を得た実父が家族関係の登録等に関する法律第57条第1項の規定による届出をする場合には、第844条第1項及び第3項に規定する推定は及ばない。
 (成年被後見人の認知)0780
第856条 父が成年被後見人である場合には、成年後見人の同意を得て、認知することができる。
 (死亡した子の認知)0783-02
第857条 子が死亡した後であっても、その直系卑属があるときは、これを認知することができる。
 (胎児の認知)0783-01
第858条 父は、胎児についても認知することができる。
 (認知の効力の発生)0781
第859条 認知は、家族関係の登録等に関する法律の定めるところにより届出をすることによって、その効力を生じる。 
 認知は、遺言によってもすることができる。 この場合においては、遺言執行者がこれを届け出なければならない。
 (認知の遡及効0784
第860条 認知は、その子の出生の時に遡って効力を生じる。 ただし、第三者の取得した権利を害することはできない。
 (認知の取消し)
第861条 詐欺、強迫又は重大な錯誤によって認知をしたときは、詐欺若しくは錯誤を知った日又は強迫を免れた日から6月内に、家庭裁判所に、その取消しを請求することができる。
 (認知に対する異議の訴え)0786
第862条 子その他利害関係人は、認知の届出があったことを知った日から1年内に、認知に対する異議の訴えを提起することができる。
 (認知請求の訴え)0787
第863条 子及びその直系卑属又はその法定代理人は、父又は母を相手として、認知請求の訴えを提起することができる。
 (父母の死亡と認知請求の訴え)0787
第864条 前2条の場合において、父又は母が死亡したときは、その死亡を知った日から2年内に、検事を相手として、認知に対する異議又は認知請求の訴えを提起することができる。 
 (認知と子の養育責任等)0788
第864条の2 第837条及び第837条の2の規定は、子が認知された場合における子の養育責任及び面接交渉権について準用する。
 (他の事由を原因とする嫡出子関係存否確認の訴え)
第865条 第845条、第846条、第848条、第850条、第851条、第862条及び第863条の規定により訴えを提起することができる者は、他の事由を原因として、嫡出子関係存否確認の訴えを提起することができる。
 前項の場合において、当事者の一方が死亡したときは、その死亡を知った日から2年内に、検事を相手として、訴えを提起することができる。 
    第2節 養子
     第1款 養子縁組の要件及び効力
 (養子縁組をする能力)0792
第866条 成年になった者は、養子縁組をすることができる。
 (未成年者の養子縁組に対する家庭裁判所の許可)0798
第867条 未成年者と養子縁組しようとする者は、家庭裁判所の許可を得なければならない。
 家庭裁判所は、養子となる未成年者の福利のために、その養育状況、養子縁組の動機、養父母の養育能力その他の事情を考慮し、前項の規定による養子縁組の許可をしないことができる。
第868条 削除
 (養子縁組の意思表示)0797-01
第869条 養子となる者が13歳以上の未成年者である場合には、法定代理人の同意を得て、養子縁組を承諾する。
 養子となる者が13歳未満である場合には、法定代理人が、その者に代わって、養子縁組を承諾する。
 家庭裁判所は、次に掲げる場合には、第1項の規定による同意又は前項の規定による承諾がなくても、第867条第1項の規定による養子縁組の許可をすることができる。
 (1)  法定代理人が正当な理由なく同意又は承諾を拒否する場合。ただし、法定代理人が親権者である場合には、次条第2項各号に掲げる場合でなければならない。
 (2)  法定代理人の所在を知ることができない等の事由で同意又は承諾を得ることができない場合
 前項第1号に掲げる場合には、家庭裁判所は、法定代理人を審問しなければならない。
 第1項の規定による同意又は第2項の規定による承諾は、第867条第1項の規定による養子縁組の許可があるまでは、撤回することができる。
 (未成年者の養子縁組に対する父母の同意)
第870条 養子となる未成年者は、父母の同意を得なければならない。 ただし、次に掲げる場合においては、この限りでない。
 (1)  父母が前条第1項の規定による同意をし、又は同条第2項の規定による承諾をした場合
 (2)  父母が親権喪失の宣告を受けた場合
 (3)  父母の所在を知ることができない等の事由で同意を得ることができない場合
 家庭裁判所は、次に掲げる場合には、父母が同意を拒否したとしても、第867条第1項の規定による養子縁組の許可をすることができる。 この場合において、家庭裁判所は、父母を審問しなければならない。
 (1)  父母が3年以上子に対する扶養義務を履行しなかった場合
 (2)  父母が子を虐待し、若しくは遺棄し、又はその他子の福利を著しく害した場合
 第1項の規定による同意は、第867条第1項の規定による養子縁組の許可があるまでは、撤回することができる。
 (成年者の養子縁組に対する父母の同意
第871条 養子となる者が成年である場合には、父母の同意を得なければならない。 ただし、父母の所在を知ることができない等の事由で同意を得ることができない場合は、この限りでない。
 家庭裁判所は、父母が正当な理由なく同意を拒否する場合には、養父母となる者又は養子となる者の請求により、父母の同意に代わる審判をすることができる。 この場合において、家庭裁判所は、父母を審問しなければならない。
第872条 削除
 (成年被後見人養子縁組0799
第873条 成年被後見人は、成年後見人の同意を得て、養子縁組をすることができ、また養子となることができる。
 成年被後見人が養子縁組をし、又は養子となる場合には、第867条の規定を準用する。
 家庭裁判所は、成年後見人が正当な理由なく第1項の規定による同意を拒否し、又は成年被後見人の父母が正当な理由なく第871条第1項の規定による同意を拒否する場合には、その同意がないとしても、養子縁組を許可することができる。この場合において、家庭裁判所は、成年後見人又は父母を審問しなければならない。
 夫婦の共同養子縁組等0796
第874条 配偶者がある者は、配偶者と共同で養子縁組をしなければならない。
 配偶者がある者は、その配偶者の同意を得て、養子となることができる。
第875条及び第876条 削除
 (養子縁組の禁止)0793
第877条 尊属又は年長者を養子とすることは、できない。
 (養子縁組の成立0799
第878条 養子縁組は、家族関係の登録等に関する法律に定めるところにより届出をすることによって、効力を生じる。
第879条及び第880条 削除
 (養子縁組の届出の審査0800
第881条 第866条、第867条、第869条から第871条まで、第873条、第874条及び第877条の規定並びにその他の法令に違反しない養子縁組の届出は、受理しなければならない。
 (外国における養子縁組の届出)0801
第882条 外国において養子縁組の届出をする場合については、第814条の規定を準用する。
 (養子縁組の効力)0809
第881条の2 養子は、養子縁組をした時から養父母の嫡出子と同じ地位を有する。
 養子の養子縁組前の親族関係は、存続する。
     第2款 養子縁組の無効及び取消し
 (養子縁組の無効原因)0802
第883条 次に掲げる場合には、養子縁組は、無効とする。
 (1) 当事者間に養子縁組の合意がない場合
 (2) 第867条第1項(第873条第2項の規定により準用される場合を含む。)、第869条第2項又は第877条の規定に違反した場合
 (養子縁組の取消原因)0803~0808
第884条 養子縁組が次に掲げる場合は、家庭裁判所に、その取消しを請求することができる。
 (1) 第866条、第869条第1項若しくは第3項第2号、第870条第1項、第871条第1項、第873条第1項又は第874条の規定に違反した場合
 (2) 養子縁組の時に、養父母と養子のいづれか一方に悪疾又はその他の重大な事由があることを知ることができなかった場合
 (3) 詐欺又は強迫によって養子縁組の意思表示をした場合
 養子縁組の取消しについては、第867条第2項の規定を準用する。
 (養子縁組の取消請求権者)<本条~888条について>0804~0808
第885条 養父母、養子及びその法定代理人又は直系血族は、第866条の規定に違反した養子縁組の取消しを請求することができる。
第886条 養子及び同意権者は、第869条第1項若しくは第3項第2号又は第870条第1項の規定に違反した養子縁組の取消しを請求することができ、同意権者は、第871条第1項の規定に違反した養子縁組の取消しを請求することができる。
第887条 成年被後見人及び成年後見人は、第873条第1項の規定に違反した養子縁組の取消しを請求することができる。
第888条  配偶者は、第874条の規定に違反した養子縁組の取消しを請求することができる。
 (養子縁組の取消請求権の消滅)<本条~896条について>0804:0806-01:0806の2:0806の3:807
第889条 養父母が成年となったときは、第866条の規定に違反した養子縁組の取消しを請求することができない。
第890条  削除
第891条  養子が、成年となった後3箇月が過ぎ、又は死亡したときは、第869条第1項若しくは第3項第2号又は第870条第1項の規定に違反した養子縁組の取消しを請求することができない。
 養子が死亡したときは、第871条第1項の規定に違反した養子縁組の取消しを請求することができない。
第892条  削除
第893条 成年後見開始の審判が取り消された後3箇月が過ぎたときは、第873条第1項の規定に違反した養子縁組の取消しを請求することができない。
第894条 第869条第1項若しくは第3項第2号、第870条第1項、第871条第1項、第873条第1項又は第874条の規定に違反した養子縁組は、その事由があることを知った日から6箇月、その事由が生じた日から1年が過ぎたときは、その取消しを請求することができない。
第895条  削除
第896条 第884条第1項第2号に規定する事由がある養子縁組は、養父母と養子のうちの一方がその事由があることを知った日から6箇月が過ぎたときは、その取消しを請求することができない。
 (準用規定)0808-01
第897条 養子縁組の無効又は取消しによる損害賠償責任については第806条の規定を準用し、詐欺又は強迫による養子縁組の取消請求権の消滅については第823条の規定を準用し、養子縁組の取消しの効力については第824条の規定を準用する。
     第3款 離縁
      第1項 協議上の離縁
 (協議上の離縁)0811:0811の2
第898条 養父母及び養子は、協議して離縁をすることができる。 ただし、養子が未成年者又は成年被後見人である場合は、この限りでない。
第899条から第901条まで  削除
 (成年被後見人の協議上の離縁)0812
第902条 成年被後見人である養父母は、成年後見人の同意を得て、離縁を協議することができる。
 (離縁の届出の審査)0813
第903条 第898条若しくは第902条の規定又はその他の法令に違反しない離縁の届出は、受理しなければならない。
 (準用規定)0812
第904条 詐欺又は強迫による離縁の取消請求権の消滅については第823条の規定を準用し、 協議上の離縁の成立については第878条の規定を準用する。
      第2項 裁判上の離縁
 (裁判上の離縁の原因)0814-01
第905条 養父母、養子又は次条の規定による請求権者は、次に掲げる場合には、家庭裁判所に、離縁を請求することができる。
 (1) 養父母が養子を虐待し、若しくは遺棄し、又はその他養子の福利を著しく害した場合
 (2) 養父母が養子から著しく不当な待遇を受けた場合
 (3) 養父母又は養子の生死が3年以上明らかでない場合
 (4) その他養親子関係を継続し難い重大な事由がある場合
 (離縁の請求権者)0815
第906条 養子が13歳未満である場合には、第869条第2項の規定による承諾をした者が、養子に代わって、離縁を請求することができる。 ただし、離縁を請求することができる者がない場合には、 第777条の規定による養子の親族又は利害関係人が、家庭裁判所の許可を得て、離縁を請求することができる。
 養子が13歳以上の未成年者である場合には、第870条第1項の規定による同意をした父母の同意を得て、離縁を請求することができる。 ただし、父母が死亡し、又はその他の事由によって同意することができない場合には、同意なしに、離縁を請求することができる。
 養父母又は養子が成年被後見人である場合には、成年後見人の同意を得て、離縁を請求することができる。
 検事は、未成年者又は成年被後見人である養子のために、離縁を請求することができる。
 (離縁請求権の消滅)
第907条 離縁の請求権者は、第905条第1号、第2号又は第4号に規定する事由があることを知った日から6箇月、その事由が生じた日から3年が過ぎたときは、離縁を請求することができない。
 (準用規定)
第908条 
裁判上の離縁による損害賠償責任については、第806条の規定を準用する。
     第4款 特別養子
 (特別養子縁組の要件等)0817の2~0817の7
第908条の2 特別養子を養子にしようとする者は、次に掲げる要件を備えて、家庭裁判所に、特別養子縁組を請求しなければならない。
 (1) 3年以上婚姻中の夫婦であって、共同で養子縁組をすること。 ただし、1年以上婚姻中の夫婦の一方が、その配偶者の嫡出子を特別養子とする場合は、この限りでない。
 (2) 特別養子となる者が未成年者であること。
 (3) 特別養子となる者の実父母が特別養子縁組に同意すること。 ただし、父母が親権喪失の宣告を受け、その所在を知ることができず、又はその他の事由によって、同意をすることができない場合は、この限りでない。
 (4) 特別養子となる者が13歳以上である場合には、法定代理人の同意を得て、養子となることを承諾すること。
 (5) 特別養子となる者が13歳未満である場合には、法定代理人がその者に代わって、養子となることを承諾すること。
 家庭裁判所は、次に掲げる場合には、前項第3号又は第4号の規定による同意又は同項第5号の規定による承諾がなくても、前項に規定する請求を認容することができる。 この場合には、家庭裁判所は、同意権者又は承諾権者を審問しなければならない。
 (1) 法定代理人が、正当な理由なく、同意又は承諾を拒否する場合。ただし、法定代理人が親権者である場合には、次号又は第3号に掲げる場合でなければならない。
 (2) 実父母が、その責任に帰すべき事由によって、3年以上子に対する扶養義務を履行せず、面接交渉をしなかった場合
 (3) 実父母が、子を虐待し、若しくは遺棄し、又はその他子の福利を著しく害した場合
 家庭裁判所は、特別養子となる者の福利のために、その養育状況、特別養子縁組の動機、養父母の養育能力その他の事情を考慮して、特別養子縁組が適当でないと認める場合には、第1項に規定する請求を棄却することができる。
 (特別養子縁組の効力)0809:0817の9
第908条の3 特別養子は、夫婦の婚姻中の出生子とみなす。
 特別養子の縁組前の親族関係は、第908条の2第1項に規定する請求による特別養子縁組が確定した時に終了する。 ただし、夫婦の一方がその配偶者の嫡出子を単独で養子縁組をした場合における配偶者及びその親族と嫡出子の間の親族関係については、この限りでない。
 (特別養子縁組の取消し等)
第908条の4 特別養子となる者の実方の父又は母は、その責任に帰することができない事由によって第908条の2第1項第3号ただし書の規定による同意をすることができなかった場合には、特別養子縁組の事実を知った日から6箇月内に、家庭裁判所に、特別養子縁組の取消しを請求することができる。
 特別養子縁組については、第883条及び第884条の規定を適用しない。
 (特別養子の離縁)0817の10
第908条の5 養親、特別養子、実方の父若しくは母又は検事は、次に掲げる場合には、家庭裁判所に、特別養子の離縁を請求することができる。
 (1) 養親が、特別養子を虐待し、若しくは遺棄し、又はその他特別養子の福利を著しく害するとき。
 (2) 特別養子の養親に対する背徳行為によって特別養子関係を維持させることができなくなったとき。
 第898条及び第905条の規定は、特別養子の離縁について適用しない。
 (準用規定)
第908条の6 第908条の2第3項の規定は、特別養子縁組の取消し又は第908条の5第1項第2号の規定による離縁の請求について準用する。
 (特別養子縁組の取消し及び離縁の効力)0817の11
第908条の7 特別養子縁組が取り消され、又は離縁されたときは、特別養子関係は、消滅し、縁組前の親族関係が復活する。
 前項の場合において、特別養子縁組の取消しの効力は、遡及しない。
 (準用規定)
第908条の8 特別養子については、この款に特別な規定がある場合を除き、その性質に反しない範囲内で、養子に関する規定を準用する。
    第3節 親権
     第1款 総則
 (親権者)0818:0819:0749
第909条 父母は、未成年者である子の親権者となる。 養子の場合には、養父母が親権者となる。  
 親権は、父母が婚姻中であるときは、父母が共同で行使する。ただし、父母の意見が一致しない場合には、当事者の請求により、家庭裁判所がこれを定める。
 父母の一方が親権を行使することができないときは、他の一方がこれを行使する。
 婚姻外の子が認知された場合及び父母が離婚している場合には、父母の協議で親権者を定めなければならず、協議をすることができず、又は協議が調わない場合には、家庭裁判所は、職権で又は当事者の請求により、親権者を指定しなければならない。 ただし、父母の協議が子の福利に反する場合には、家庭裁判所は、補正を命じ、又は職権で、親権者を定める。
 家庭裁判所は、婚姻の取消し、裁判上の離婚又は認知の請求の訴えの場合には、職権で、親権者を定める。 
 家庭裁判所は、子の福祉のために必要と認める場合には、子の4親等以内の親族の請求により、定められた親権者を他の一方に変更することができる。
 (親権者の指定等)
第909条の2 第909条第4項から第6項までの規定により単独親権者に定められた父母の一方が死亡した場合には、生存する父若しくは母、未成年者又は未成年者の親族は、その事実を知った日から1箇月内、死亡した日から6箇月内に、家庭裁判所に、生存する父又は母を親権者に指定するよう請求することができる。
 養子縁組が取り消され、若しくは離縁された場合又は養父母が全て死亡した場合は、実父母の一方若しくは双方、未成年者又は未成年者の親族は、その事実を知った日から1箇月内、養子縁組が取り消され、若しくは離縁された日又は養父母が全て死亡した日から6箇月内に、家庭裁判所に、実父母の一方又は双方を親権者に指定するよう請求することができる。 ただし、特別養子の養父母が死亡した場合は、この限りでない。
 第1項又は前項に規定する期間内に親権者指定の請求がないときは、家庭裁判所は、職権で又は未成年者、未成年者の親族、利害関係人、検事若しくは地方自治団体の長の請求により、未成年後見人を選任することができる。この場合において、生存する父若しくは母若しくは実父母の一方若しくは双方の所在を知ることができず、又はそれらの者が正当な事由なく召喚に応じない場合を除き、それらの者に意見を陳述する機会を与えなければならない。
 家庭裁判所は、第1項若しくは第2項の規定による親権者指定請求又は前項の規定による後見人選任請求が、生存する父若しくは母又は実父母の一方若しくは双方の養育意思、養育能力及び請求動機並びに未成年者の意思その他の事情を考慮し、未成年者の福利のために適切でないと認めるときは、請求を棄却することができる。 この場合において、家庭裁判所は、職権で、未成年後見人を選任し、又は生存する父若しくは母若しくは実父母の一方若しくは双方を親権者に指定しなければならない。
  家庭裁判所は、次に掲げる場合には、職権で又は未成年者、未成年者の親族、利害関係人、検事若しくは地方自治団体の長の請求により、第1項から前項までの規定により親権者が指定され、又は未成年後見人が選任されるときまで、その任務を代行する者を選任することができる。 この場合において、その任務を代行する者については、第25条及び第954条の規定を準用する。
 (1) 単独親権者が死亡した場合
 (2) 養子縁組が取り消され、又は離縁された場合
 (3) 養父母が全て死亡した場合
  家庭裁判所は、第3項又は第4項の規定により未成年後見人が選任された場合であっても、未成年後見人の選任後の養育状況及び養育能力の変動並びに未成年者の意思その他の事情を考慮し、未成年者の福利のために必要なときは、生存する父若しくは母、実父母の一方若しくは双方又は未成年者の請求により、後見を終了して、生存する父若しくは母又は実父母の一方若しくは双方を親権者に指定することができる。 
 (子の親権の代行)0833
第910条 親権者は、その親権に服する子に代わって、その子の子に対する親権を行使する。
 (未成年者である子の法定代理人0824
911 親権を行使する父又は母は、未成年者である子の法定代理人になる。
 (親権行使及び親権者指定の基準)
第912条 親権を行使するに当たっては、子の福利を優先的に考慮しなければならない。
 家庭裁判所が親権者を指定するに当たっては、子の福利を優先的に考慮しなければならない。このために、家庭裁判所は、関連分野の専門家又は社会福祉機関から助言を受けることができる。
      第2款 親権の効力
 (保護及び教育の権利義務)0820
第913条 親権者は、子を保護し、及び教育する権利義務がある。
 (居所指定権)0821
第914条 子は、親権者の指定した場所に居住しなければならない。
第915条 削除
 (子の特有財産及びその管理)
第916条 子が自己の名義で取得した財産は、その特有財産とし、法定代理人である親権者が管理する。
第917条 削除
 (第三者が無償で子に授与した財産の管理)0830
第918条 無償で子に財産を授与した第三者が親権者の管理に反対する意思を表示したときは、親権者は、その財産を管理することができない。
 前項の場合において、第三者がその財産管理人を指定しなかったときは、裁判所は、財産の授与を受けた子又は第777条の規定による親族の請求により、財産管理人を選任する。
 第三者の指定した財産管理人の権限が消滅し、又は財産管理人を改任する必要がある場合において、第三者が改めて財産管理人を指定しなかったときも、前項と同様とする。
 第24条第1項、第2項及び第4項、第25条前段並びに第26条第1項及び第2項の規定は、前2項の場合について準用する。
 (委任に関する規定の準用)
第919条 第691条及び第692条の規定は、第916条及び前条の規定による財産管理について準用する。
 (子の財産に関する親権者の代理権)0824
第920条 法定代理人である親権者は、子の財産に関する法律行為について、その子を代理する。ただし、その子の行為を目的とする債務を負担する場合には、本人の同意を得なければならない。
 (共同親権者の一方が共同名義でした行為の効力)0825
第920の2 父母が共同で親権を行使する場合において、父母の一方が共同名義で、子を代理し、又は子の法律行為に同意したときは、他の一方の意思に反するときであっても、その効力を有する。ただし、相手方が悪意であるときは、この限りでない。
 (親権者とその子の間又は数人の子の間の利害相反行為)0826
第921条 法定代理人である親権者とその子の間で利害の相反する行為をするには、 親権者は、裁判所に、その子の特別代理人の選任を請求しなければならない。
2 法定代理人である親権者がその親権に服する数人の子の間で利害の相反する行為をするには、裁判所に、その子の一方の特別代理人の選任を請求しなければならない。
 (親権者の注意義務)0827
第922条 親権者がその子についての法律行為の代理権又は財産管理権を行使するには、自己の財産に関する行為と同じ注意をしなければならない。
 (親権者の同意に代わる裁判)
第922条の2 家庭裁判所は、親権者の同意が必要な行為について親権者が正当な理由なく同意しないことによって、子の生命、身体又は財産に重大な損害が生じるおそれのある場合には、子、子の親族、検事又は地方自治団体の長の請求により、親権者の同意に代わる裁判をすることができる。
 (財産管理の計算)0828
第923条 法定代理人である親権者の権限が消滅したときは、その子の財産に関する管理の計算をしなければならない。
 前項の場合において、その子の財産から収取した果実は、その子の養育及び財産管理の費用と相殺したものとみなす。ただし、無償で子に財産を授与した第三者が反対の意思を表示したときは、その財産については、この限りでない。
     第3款 親権の喪失、一時停止及び一部制限
 (親権の喪失又は一時停止の宣告)0834:0834の2
第924条 家庭裁判所は、父又は母が親権を濫用して子の福利を著しく害し、又は害するおそれのある場合には、子、子の親族、検事又は地方自治団体の長の請求により、その親権の喪失又は一時停止を宣告することができる。
 家庭裁判所は、親権の一時停止を宣告するときは、子の状態、養育状況その他の事情を考慮して、その期間を定めなければならない。この場合において、その期間は、2年を超えることができない。
 家庭裁判所は、子の福利のために親権の一時停止の期間の延長が必要と認める場合には、子、子の親族、検事、地方自治団体の長、未成年後見人又は未成年後見監督人の請求により、2年の範囲でその期間を1回に限り、延長することができる。
 (親権の一部制限の宣告)
第924条の2 家庭裁判所は、居所の指定その他の身上に関する決定等特定の事項について親権者が親権を行使することが困難な又は不適当な事由があって、子の福利を害し、又は害するおそれがある場合には、子、子の親族、検事又は地方自治団体の長の請求により、具体的な範囲を定めて親権の一部制限を宣告することができる。
 (代理権及び財産管理権の喪失の宣告)0835
第925条 家庭裁判所は、法定代理人である親権者が不適当な管理によって子の財産を危うくした場合には、 子の親族、検事又は地方自治団体の長の請求により、その法律行為の代理権及び財産管理権の喪失を宣告することができる。
 (親権喪失の宣告等の判断基準)
第925条の2 第924条の規定による親権の喪失の宣告は、同条の規定による親権の一時停止、第924条の2の規定による親権の一部制限、前条の規定による代理権及び財産管理権の喪失の宣告又はその他の措置によっては子の福利を十分に保護することができない場合に限り、することができる。
 第924条の規定による親権の一時停止、第924条の2の規定による親権の一部制限又は前条の規定による代理権及び財産管理権の喪失の宣告は、第922条の2の規定による同意に代わる裁判又はその他の措置によっては子の福利を十分に保護することができない場合に限り、することができる。
 (父母の権利及び義務)
第925条の3 第924条、第924条の2及び第925条の規定により親権の喪失、一時停止、一部制限又は代理権及び財産管理権の喪失が宣告された場合であっても、父母の子に対するその他の権利及び義務は、変更されない。
 (失権回復の宣告)0836
第926条 家庭裁判所は、第924条、第924条の2又は第925条の規定による宣告の原因が消滅した場合には、本人、子、子の親族、検事又は地方自治団体の長の請求により、失権の回復を宣告することができる。
 (代理権及び管理権の辞退及び回復)0837
第927条 法定代理人である親権者は、正当な事由があるときは、裁判所の許可を得て、その法律行為の代理権及び財産管理権を辞退することができる。
 前項の事由が消滅したときは、その親権者は、裁判所の許可を得て、辞退した権利を回復することができる。
 (親権の喪失、一時停止又は一部制限と親権者の指定等)
第927条の2
 第909条第4項から第6項までの規定により単独親権者となった父若しくは母又は養父母(特別養子の養父母を除く。)の双方が次に掲げる場合に該当するときは、第909条の2第1項及び第3項から第5項までの規定を準用する。ただし、第1号の3、第2号及び第3号の場合に新たに定められた親権者又は未成年後見人の任務は、制限された親権の範囲に属する行為に限定される。
 (1)第924条の規定による親権喪失の宣告がある場合
 (1)の2 第924条の規定による親権の一時停止の宣告がある場合
 (1)の3 第924条の2の規定による親権の一部制限の宣告がある場合
 (2) 第925条の規定による代理権及び財産管理権の喪失の宣告がある場合
 (3) 前条第1項の規定により代理権及び財産管理権を辞退した場合
 (4) 所在不明等親権を行使することができない重大な事由がある場合
2 家庭裁判所は、前項の規定により親権者が指定され、又は未成年後見人が選任された後に、単独親権者であった父若しくは母又は養父母の一方若しくは双方が次に掲げる場合に該当するときは、その父母の一方若しくは双方、未成年者又は未成年者の親族の請求により、親権者を新たに指定することができる。
 (1) 第926条の規定により失権の回復が宣告された場合
 (2) 前条第2項の規定により辞退した権利を回復した場合
 (3) 所在不明だった父又は母が発見される等親権を行使することができるようになった場合

新私訳:韓国の民法 その15<第767条~第843条>

  第4編 親族
   第1章 総則
 (親族の定義)0725
第767条 配偶者、血族及び姻族を親族とする。
 (血族の定義)
第768条 自己の直系尊属及び直系卑属を直系血族とし、自己の兄弟姉妹及びその直系卑属並びに自己の直系尊属の兄弟姉妹及びその直系卑属を傍系血族とする。
 (姻族の定義)
第769条 血族の配偶者、配偶者の血族及び配偶者の血族の配偶者を姻族とする。
 (血族の親等の計算)0726
第770条 直系血族については、自己から直系尊属に至り、又は自己から直系卑属に至る世代の数をもって、その親等を定める。
 傍系血族については、自己から共通の直系尊属に至る世代の数及びその直系尊属からその直系卑属に至る世代の数を通算して、その親等を定める。
 (姻族の親等の計算)0726
第771条 姻族の親等は、配偶者の血族については配偶者のその血族に対する親等により、血族の配偶者についてはその血族に対する親等による。
 (養子との親系と親等)0727
第772条 養子と養父母並びにその血族及び姻族の間の親族関係及び親等は、養子縁組をした時から嫡出子と同一であるものとみなす。
2 養子の配偶者並びに養子の直系卑属及びその配偶者は、前項の規定による養子の親族関係を基準にして、親等を定める。
第773条及び第774条 削除
 (姻族関係等の消滅)0728:0749
第775条 姻族関係は、婚姻の取消し又は離婚によって終了する。
 夫婦の一方が死亡した場合において、生存配偶者が再婚したときも、前項と同様とする。
 (養子縁組による親族関係の消滅)0729
第776条 養子縁組による親族関係は、養子縁組の取消し又は離縁によって終了する。
 (親族の範囲)0725
第777条 親族関係による法律上の効力は、この法又は他の法律に特別な規定がない限り、次に掲げる者に及ぶ。
 (1)8親等以内の血族
 (2)4親等以内の姻族
 (3) 配偶者
   第2章 家族の範囲並びに子の姓及び本
第778条 削除
 (家族の範囲)
第779条 次に掲げる者は、家族とする。
 (1) 配偶者、直系血族及び兄弟姉妹
 (2) 直系血族の配偶者、配偶者の直系血族及び配偶者の兄弟姉妹
 前項第2号に掲げる者については、生計を同じくする場合に限る。
第780条 削除
 (子の姓及び本)0790:0791
第781条 子は、父の姓及び本による。ただし、父母が婚姻の届出時に母の姓及び本による旨協議した場合には、母の姓及び本による。
 父が外国人である場合は、子は、母の姓及び本によることができる。
 父の知れない子は、母の姓及び本による。
 父母の知れない子は、裁判所の許可を得て、姓及び本を創設する。ただし、姓及び本を創設した後に父又は母が知れたときは、父又は母の姓及び本によることができる。
 嫡出でない子が認知された場合には、子は、父母の協議によって従前の姓及び本を引き続き使用することができる。 ただし、父母が協議をすることができず、又は協議が調わない場合には、子は、裁判所の許可を得て、従前の姓及び本を引き続き使用することができる。
 子の福利のために子の姓及び本を変更する必要があるときは、父、母又は子の請求により、裁判所の許可を得て、これを変更することができる。 ただし、子が未成年者であって、法定代理人が請求することができない場合は、第777条の規定による親族又は検事が請求することができる。
第782条から第799条まで 削除
   第3章 婚姻
    第1節 婚約
 (婚約の自由)
第800条 成年に達した者は、自由に婚約をすることができる。
 (婚約年齢)
第801条 18歳になった者は、父母又は未成年後見人の同意を得て、婚約をすることができる。この場合において、第808条の規定を準用する。
 成年後見と婚約)
第802条 成年被後見人は、父母又は成年後見人の同意を得て、婚約をすることができる。この場合において、第808条の規定を準用する。
 (婚約の強制履行の禁止)
第803条 婚約については、強制履行を請求することができない。
 (婚約の解除事由)
第804条 当事者の一方が次に掲げる場合には、相手方は、婚約を解除することができる。
 (1) 婚約後に資格停止以上の刑を宣告された場合
 (2) 婚約後に成年後見開始又は保佐開始の審判を受けた場合
 (3) 性病又は不治の精神病その他の不治の疾病がある場合
 (4) 婚約後に他の者と婚約又は婚姻をした場合
 (5) 婚約後に他の者と姦淫した場合
 (6) 婚約後1年以上生死が不明な場合
 (7) 正当な理由なく、婚姻を拒絶し、又はその時期を遅らせる場合
 (8) その他重大な事由がある場合
 (婚約の解除の方法)
第805条 婚約の解除は、相手方に対する意思表示によって行う。ただし、相手方に対して意思表示をすることができないときは、その解除の原因があることを知った時に解除されたものとみなす。
 (婚約の解除と損害賠償請求権)
第806条 婚約を解除したときは、当事者の一方は、過失のある相手方に対し、これによる損害の賠償を請求することができる。
 前項の場合には、財産上の損害のほか、精神上の苦痛に対しても損害賠償の責任を負う。
 精神上の苦痛に対する賠償請求権は、譲渡し、又は承継することができない。ただし、当事者間で既にその賠償に関する契約が成立し、又は訴えを提起した後においては、この限りでない。
    第2節 婚姻の成立
 (婚姻年齢)0731
第807条 18歳になった者は、婚姻をすることができる。
 (同意が必要な婚姻)0738
第808条 未成年者が婚姻をする場合には、父母の同意を得なければならず、この場合において、父母の一方が同意権を行使することができないときは他の一方の同意を得なければならず、父母双方が同意権を行使することができないときは未成年後見人の同意を得なければならない。
 成年被後見人は、父母又は成年後見人の同意を得て、婚姻をすることができる。
 (近親婚等の禁止)0734~0736
第809条 8親等以内の血族(特別養子の養子縁組前の血族を含む。)の間では、婚姻をすることができない。
 6親等以内の血族の配偶者、配偶者の6親等以内の血族若しくは配偶者の4親等以内の血族の配偶者である姻族であり、又はこれらの姻族であった者との間では、婚姻をすることができない。
 6親等以内の養父母系の血族であった者及び4親等以内の養父母系の姻族であった者との間では、婚姻をすることができない。
 (重婚の禁止)0732
第810条 配偶者のある者は、重ねて婚姻をすることができない。
第811条 削除
 (婚姻の成立)0739
第812条 婚姻は、家族関係の登録等に関する法律の定めるところにより届出をすることによって、その効力を生じる。
 前項の届出は、当事者双方及び成年である証人2人が連署した書面で、しなければならない。
 (婚姻届の審査)0740
第813条 婚姻の届出は、その婚姻が第807条から第810条まで及び前条第2項の規定並びに他の法令に違反しないときは、受理しなければならない。
 (外国における婚姻の届出)0741
第814条 外国における本国民間の婚姻は、その外国に駐在する大使、公使又は領事に届出をすることができる。
 前項の届出を受理した大使、公使又は領事は、遅滞なくその届出書類を本国の在外国民家族関係登録事務所に送付しなければならない。
    第3節 婚姻の無効及び取消し
 (婚姻の無効)0742
第815条 婚姻は、次に掲げる場合には、無効とする。 
 (1) 当事者間に婚姻の合意がないとき。
 (2) 婚姻が第809条第1項の規定に違反したとき。
 (3) 当事者間に直系姻族関係があり、又はあったとき。
 (4) 当事者間に養父母系の直系血族関係があったとき。
 (婚姻の取消し)0743:0744:0747-01
第816条 婚姻は、次に掲げる場合には、裁判所にその取消しを請求することができる。
 (1) 婚姻が第807条から第809条(前条の規定により婚姻が無効となる部分を除く。次条及び第820条において同じ。)まで又は第810条の規定に違反したとき。
 (2) 婚姻の時に、当事者の一方に夫婦生活を継続することができない悪疾その他の重大な事由あることを知らなかったとき。
 (3) 詐欺又は強迫によって婚姻の意思表示をしたとき。
 (年齢違反の婚姻等の取消請求権者)0744:0745
第817条 婚姻が、第807条又は第808条の規定に違反したときは当事者又はその法定代理人がその取消しを請求することでき、第809条の規定に違反したときは当事者又はその直系尊属若しくは4親等以内の傍系血族がその取消しを請求することができる。
 (重婚の取消請求権者)0744
第818条 当事者、その配偶者、直系血族、4親等以内の傍系血族又は検事は、第810条の規定に違反した婚姻の取消しを請求することができる。
 (同意のない婚姻の取消請求権の消滅)
第819条 第808条の規定に違反した婚姻は、その当事者が19歳になった後若しくは成年後見終了の審判があった後3箇月が経過し、又は婚姻中に妊娠した場合は、その取消しを請求することができない。
 (近親婚等の取消請求権の消滅)0744-01
第820条 第809条の規定に違反した婚姻は、その当事者間で婚姻中に妊娠したときは、その取消しを請求することができない。
第821条 削除
 (悪疾等の事由による婚姻の取消請求権の消滅)
第822条 第816条第2号の規定に該当する事由のある婚姻は、相手方がその事由のあることを知った日から6月を経過したときは、その取消しを請求することができない。
 (詐欺又は強迫による婚姻の取消請求権の消滅)0747-02
第823条 詐欺又は強迫による婚姻は、詐欺であることを知った日又は強迫を免れた日から3月を経過したときは、その取消しを請求することができない。
 (婚姻の取消しの効力)0748-01
第824条 婚姻の取消しの効力は、既往に遡及しない。
 (婚姻の取消しと子の養育等)0749
第824条の2 第837条及び第837条の2の規定は、婚姻の取消しの場合における子の養育責任及び面接交渉権について準用する。
 (婚姻の無効及び取消しと損害賠償請求権)
第825条 第806条の規定は、婚姻の無効又は取消しの場合について準用する。
    第4節 婚姻の効力
     第1款 一般的効力
 (夫婦間の義務)0752
第826条 夫婦は、同居し、互いに扶養し、協力しなければならない。ただし、正当な理由によって一時的に同居しない場合については、互いに容認しなければならない。
 夫婦の同居場所は、夫婦の協議によって定める。ただし、協議が調わない場合は、当事者の請求により、家庭裁判所がこれを定める。
 (成年擬制
第826条の2 未成年者が婚姻をしたときは、成年者とみなす。
 (夫婦間の家事代理権)
第827条 夫婦は、日常の家事について、互いに代理権を有する。
 前項の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
第828条 削除
     第2款 財産上の効力
 (夫婦財産の約定及びその変更)0755:0758:0576:0759
第829条 夫婦が婚姻の成立前にその財産について別段の約定をしなかったときは、その財産関係は、次条から第833条までの規定に定めるところによる。
 夫婦が婚姻の成立前にその財産について約定をしたときは、婚姻中これを変更することができない。ただし、正当な事由があるときは、裁判所の許可を得て、変更することができる。
 前項の約定により夫婦の一方が他の一方の財産を管理する場合において、不適当な管理によってその財産を危うくしたときは、他の一方は、自ら管理することを裁判所に請求することができ、また、その財産が夫婦の共有であるときは、その分割を請求することができる。
 夫婦がその財産について別段の約定をしたときは、婚姻の成立までにその登記をしなければ、これを夫婦の承継人又は第三者に対抗することができない。
 第2項若しくは第3項の規定又は約定により、管理者を変更し、又は共有財産を分割したときは、その登記をしなければ、これを夫婦の承継人又は第三者に対抗することができない。
 (特有財産及び帰属不明の財産)0762
第830条 夫婦の一方が婚姻前から有する固有財産及び婚姻中に自己の名で取得した財産は、その特有財産とする。
 夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、夫婦の共有と推定する。
 (特有財産の管理等)
第831条 夫婦は、その特有財産を各自が管理し、使用し、及び収益する。
 (家事による債務の連帯責任)0761
第832条 夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによる債務について連帯責任を負う。ただし、あらかじめ第三者に対して他の一方が責任を負わない旨を明示したときは、この限りでない。
 (生活費用)0760
第833条 夫婦の共同生活に必要な費用については、当事者間に特別な約定がないときは、夫婦が共同で負担する。
    第5節 離婚
     第1款 協議上の離婚
 (協議上の離婚)0763
第834条 夫婦は、協議によって、離婚をすることができる。
 成年後見と協議上の離婚)0764
第835条 成年被後見人の協議上の離婚については、第808条第2項の規定を準用する。
 (離婚の成立及び届出の方式)0764
第836条 協議上の離婚は、家庭裁判所の確認を受けて、家族関係の登録等に関する法律の定めるところにより届出をすることによって、効力を生じる。  
 前項の届出は、当事者双方及び成年者である証人2人の連署した書面によって、しなければならな。 
 (離婚の手続)
第836条の2 協議上の離婚をしようとする者は、家庭裁判所が提供する離婚に関する案内を受けなければならず、家庭裁判所は、必要な場合には、当事者に対して、相談に関し専門的な知識経験を有する専門相談員の相談を受けるように、勧告することができる。
 家庭裁判所に離婚意思の確認を申請した当事者は、前項の案内を受けた日から次に定める期間が経過した後に、離婚意思の確認を受けることができる。
 (1) 養育しなければならない子(胎児を含む。以下この条において同じ。)がいる場合には、3箇月
 (2) 前号に該当しない場合には、1箇月

 家庭裁判所は、暴力によって当事者の一方に耐え難い苦痛が予想される等離婚をしなければならない急迫な事情がある場合には、前項の期間を短縮し、又は免除することができる。
 養育しなければならない子がいる場合には、当事者は、次条の規定による子の養育及び第909条第4項の規定による子の親権者の決定に関する協議書又は次条及び第909条第4項の規定による家庭裁判所の審判の正本を提出しなければならない。
 家庭裁判所は、当事者が協議した養育費の負担に関する内容を確認する養育費負担調書を作成しなければならない。 この場合において、養育費負担調書の効力については、家事訴訟法第41条の規定を準用する。
 (離婚と子の養育責任)0766
第837条 当事者は、その子の養育に関する事項を協議によって定める。
 前項の協議は、次に掲げる事項を含まなければならない。
 (1) 養育者の決定
 (2) 養育費用の負担
 (3) 面接交渉権の行使の可否及びその方法
 第1項の規定による協議が子の福利に反する場合には、家庭裁判所は、補正を命じ、又は職権で、その子の意思、年齢及び父母の財産状況その他の事情を考慮し、養育に必要な事項を定める。
 養育に関する事項の協議が調わず、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、職権で又は当事者の請求により、これについて決定する。この場合おいて、家庭裁判所は、前項の事情を考慮しなければならない。
 家庭裁判所は、子の福利のために必要と認める場合には、父、母、子及び検事の請求により又は職権で、子の養育に関する事項を変更し、又は他の適当な処分をすることができる。
 第3項から前項までの規定は、養育に関する事項以外では、父母の権利義務に変更を及ぼさない。
 (面接交渉権)
第837条の2 子を直接養育しない父母の一方と子は、互いに面接交渉をすることができる権利を有する。
 子を直接養育しない父母の一方の直系尊属は、その父母の一方が死亡し、又は疾病、外国居住その他のやむを得ない事情によって子と面接交渉をすることができない場合には、家庭裁判所に子との面接交渉を請求することができる。 この場合において、家庭裁判所は、子の意思、面接交渉を請求した者と子の関係、請求の動機その他の事情を考慮しなければならない。
3 家庭裁判所は、子の福利のために必要なときは、当事者の請求により又は職権で、面接交渉を制限し、排除し、又は変更することができる。
 (詐欺又は強迫による離婚の取消請求権)0764
第838条 詐欺又は強迫によって離婚の意思表示をした者は、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。
 (準用規定)0764
第839条 第823条の規定は、協議上の離婚について準用する。
 (財産分与請求権)0768
第839条の2 協議上の離婚をした者の一方は、他の一方に対して財産の分与を請求することができる。
 前項の財産の分与について協議が調わず、又は協議することができないときは、家庭裁判所は、当事者の請求により、当事者双方の協力によって築いた財産の額その他の事情を考慮し、分与の額及び方法を定める。
 第1項の規定による財産分与請求権は、離婚した日から2年を経過したときは、消滅する。
 (財産分与請求権保全のための詐害行為取消権)
第839条の3 夫婦の一方が、他の一方の財産分与請求権の行使を害することを知りながら、財産権を目的とする法律行為をしたときは、他の一方は、第406条第1項の規定を準用して、その取消し及び原状回復を家庭裁判所に請求することができる。
 前項の規定による訴えは、第406条第2項に規定する期間内に提起しなければならない。
     第2款 裁判上の離婚
 (裁判上の離婚の原因)0770-01
第840条 夫婦の一方は、次に掲げる場合には、家庭裁判所に離婚を請求することができる。
 (1) 配偶者に不貞な行為があったとき。
 (2) 配偶者が悪意で他の一方を遺棄したとき。
 (3) 配偶者又はその直系尊属から著しく不当な待遇を受けたとき。
 (4) 自己の直系尊属が配偶者から著しく不当な待遇を受けたとき。
 (5) 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
 (6) その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
 (不貞による離婚請求権の消滅)
第841条 前条第1号に規定する事由については、他の一方が事前に同意をし、若しくは事後に宥恕をしたとき、又はこれを知った日から6月若しくはその事由があった日から2年を経過したときは、離婚を請求することができない。
 (その他の事由による離婚請求権の消滅)
第842条 第840条第6号の事由については、他の一方がこれを知った日から6月又はその事由があった日から2年を経過したときは、離婚を請求することができない。
 (準用規定)0771
第843条 裁判上の離婚による損害賠償責任については第806条の規定を準用し、裁判上の離婚による子の養育責任等については第837条の規定を準用し、裁判上の離婚による面接交渉権については第837条の2の規定を準用し、裁判上の離婚による財産分与請求権については第839条の2の規定を準用し、裁判上の離婚による財産分与請求権の保全のための詐害行為取消権については第839条の3の規定を準用する。

 

新私訳:韓国の民法 その14<第734条~第766条>

   第3章 事務管理
 (事務管理の内容)0697
第734条 義務なく他人のために事務を管理する者は、その事務の性質に従い、最も 本人に利益となる方法によって、これを管理しなければならない。
 管理者は、本人の意思を知り、又は知ることができるときは、その意思に適合するように管理しなければならない。
 管理者は、前2項の規定に違反して事務を管理した場合には、過失がないときでも、これによる損害を賠償する責任を負う。ただし、その管理行為が公共の利益に適合したときは、重大な過失がなければ、賠償する責任を負わない。
 (緊急事務管理0698
第735条 管理者は、他人の生命、身体、名誉又は財産に対する急迫な危害を免れさせるためにその事務を管理したときは、故意又は重大な過失がなければ、これによる損害を賠償する責任を負わない。
 (管理者の通知義務)0699
第736条 管理者は、管理を開始したときは、遅滞なく本人に通知しなければならない。ただし、本人が既にこれを知っていたときは、この限りでない。
 (管理者の管理の継続義務)0700
第737条 管理者は、本人又はその相続人若しくは法定代理人がその事務を管理する時まで、管理を継続しなければならない。ただし、管理の継続が本人の意思に反し、又は本人に不利であることが明らかなときは、この限りでない。
 (準用規定)0701
第738条 第683条から第685条までの規定は、事務管理について準用する。
 (管理者の費用償還請求権)0702
第739条 管理者は、本人のために必要費又は有益費を支出したときは、本人に対し、その償還を請求することができる。
 管理者が本人のために必要又は有益な債務を負担したときは、第688条第2項の規定を準用する。
 管理者が本人の意思に反して管理したときは、本人が現に利益を受けている限度において、前2項の規定を準用する。
 (管理者の無過失損害補償請求権)
第740条 管理者は、事務管理を行うに当たって過失なく損害を受けたときは、本人が現に利益を受けている限度において、その損害の補償を請求することができる。
   第4章 不当利得
 (不当利得の内容)0703
第741条 法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、これによって他人に損害を加えた者は、その利益を返還しなければならない。
 (非債弁済)0705
第742条 債務がないことを知りながらこれを弁済したときは、その返還を請求することができない。
 (期限前の弁済)0706
第743条 弁済期にない債務を弁済したときは、その返還を請求することができない。ただし、債務者が錯誤によって弁済したときは、債権者は、これによって得た利益を返還しなければならない。
 (道義観念に適する非債弁済)
第744条 債務のない者が錯誤によって弁済した場合において、その弁済が道義観念に適するときは、その返還を請求することができない。
 (他人の債務の弁済)0707
第745条 債務者でない者が錯誤によって他人の債務を弁済した場合において、債権者が善意で証書を毀滅し、担保を放棄し、又は時効によってその債権を失ったときは、弁済者は、その返還を請求することができない。
 前項の場合において、弁済者は、債務者に対して求償権を行使することができる。
 (不法原因給付)0708
第746条 不法な原因によって財産を給付し、又は労務を提供したときは、その利益の返還を請求することができない。ただし、その不法な原因が受益者についてのみ存するときは、この限りでない。
 (原物の返還が不能な場合と価額の返還及び転得者の責任)
第747条 受益者が受領した目的物を返還することができないときは、その価額を返還しなければならない。
 受益者がその利益を返還することができない場合には、受益者から無償でその利益に係る目的物を譲り受けた悪意の第三者は、前項の規定により返還する責任を負う。
 (受益者の返還の範囲)0703:0704
第748条 善意の受益者は、その得た利益が存する限度において、前条に規定する責任を負う。
 悪意の受益者は、その得た利益に利息を付して返還し、なお、損害があるときは、これを賠償しなければならない。
 (受益者の悪意の認定)
第749条 受益者は、利益を得た後に法律上の原因がないことを知ったときは、その時から悪意の受益者として利益の返還責任を負う。
 善意の受益者が敗訴したときは、その訴えを提起した時から悪意の受益者とみなす。
   第5章 不法行為
 (不法行為の内容)0709
第750条 故意又は過失による違法行為によって他人に損害を加えた者は、その損害を賠償する責任を負う。
 (財産以外の損害の賠償)0710
第751条 他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した者又はその他の精神上の苦痛を加えた者は、財産以外の損害についても賠償する責任を負う。
 裁判所は、前項の規定による損害賠償を定期金債務として支払うことを命じることができるほか、その履行を確保するために相当の担保の供与を命じることができる。
 (生命侵害による慰謝料)0711
第752条 他人の生命を侵害した者は、被害者の直系尊属直系卑属及び配偶者に対しては、財産上の損害がない場合でも、損害賠償の責任を負う。
 (未成年者の責任能力0712
第753条 未成年者は、他人に損害を加えた場合において、その行為の責任を弁識する知能を備えていないときは、賠償の責任を負わない。
 (心身喪失者の責任能力0713
第754条 心神喪失中に他人に損害を加えた者は、賠償の責任を負わない。ただし、故意又は過失によって心神喪失を招いたときは、この限りでない。
 (監督者の責任)0714
第755条 他人に損害を加えた者が前2条の規定により責任を負わない場合には、その者を監督する法定の義務を負う者がその損害を賠償する責任を負う。 ただし、監督義務を怠らなかった場合は、この限りでない。
 監督義務者に代わって前2条の規定により責任を負わない者を監督する者も、前項の責任を負う。
 (使用者の賠償責任)0715
第756条 他人を使用してある事務に従事させた者は、被用者がその事務の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事務の監督について相当の注意をした場合又は相当の注意をしても損害が生ずべき場合は、この限りでない。
 使用者に代わってその事務を監督する者も、前項の責任を負う。 
 前2項の場合において、使用者又は監督者は、被用者に対して求償権を行使することができる。
 (注文者の責任)0716
第757条 注文者は、請負人がその仕事について第三者に加えた損害を賠償する責任を負わない。ただし、注文又は指示について注文者に重大な過失があるときは、この限りでない。
 (工作物等の占有者及び所有者の責任)0717
第758条 工作物の設置又は保存の瑕疵によって他人に損害を加えたときは、工作物の占有者は、損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の防止に必要な注意を怠らなかったときは、その所有者が損害を賠償する責任を負う。
 前項の規定は、樹木の栽植又は保存に瑕疵がある場合について準用する。
 前2項の場合において、占有者又は所有者は、その損害の原因について責任のある者に対して求償権を行使することができる。
 (動物の占有者の責任)0718
第759条 動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、動物の種類及び性質に従ってその保管に相当の注意を怠らなかったときは、この限りでない。
 占有者に代わって動物を保管した者も、前項の責任を負う。 
 (共同不法行為者の責任)0719
第760条 数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、連帯してその損害を賠償する責任を負う。
 共同でない数人の行為のうちいずれの者の行為がその損害を加えたかを知ることができないときも、前項と同様とする。
 教唆者及び幇助者は、共同行為者とみなす。
 (正当防衛及び緊急避難)0720
第761条 他人の不法行為に対し、自己又は第三者の利益を防衛するため、やむを得ず他人に損害を加えた者は、賠償する責任を負わない。ただし、被害者は、不法行為について損害の賠償を請求することができる。
 前項の規定は、急迫な危難を避けるためやむを得ず他人に損害を加えた場合について準用する。
 (損害賠償請求権における胎児の地位)0721
第762条 胎児は、損害賠償の請求権については、既に出生したものとみなす。
 (準用規定)0722
第763条 第393条、第394条、第396条及び第399条の規定は、不法行為による損害賠償について準用する。
 (名誉毀損の場合の特則)0723
第764条 他人の名誉を毀損した者に対しては、裁判所は、被害者の請求により、損害賠償に代えて、又は損害賠償とともに、名誉の回復のために適当な処分を命じることができる。
 (賠償額の軽減請求)
第765条 この章の規定による賠償義務者は、その損害が故意又は重大な過失によるものでなく、かつ、その賠償によって賠償者の生計に重大な影響を及ぼすことになる場合には、裁判所にその賠償額の軽減を請求することができる。
 裁判所は、前項の規定による請求があるときは、債権者及び債務者の経済状態並びに損害の原因等を考慮し、賠償額を軽減することができる。
 (損害賠償請求権の消滅時効0724
第766条 不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人がその損害及び加害者を知った日から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。
 不法行為をした日から10年を経過したときも、前項と同様とする。
 未成年者が性暴力、性醜行、性戯弄その他の性的侵害を受けた場合において、これによる損害賠償請求権の消滅時効は、その者が成年になるときまで進行しない。