新私訳:韓国の民法 その10<第527条~第553条>

    第2章 契約
     第1節 総則
      第1款 契約の成立
 (契約の申込みの拘束力)0523-01:0525-01.02
第527条 契約の申込みは、これを撤回することができない。
 (承諾期間を定めた契約の申込み)0523-02
第528条 承諾の期間を定めた契約の申込みは、申込者がその期間内に承諾の通知を受けることができなかったときは、その効力を失う。
 承諾の通知が前項の期間後に到達した場合において、通常その期間内に到達し得る発送であるときは、申込者は、遅滞なく、相手方に対してその延着の通知をしなければならない。ただし、その到達前に遅延の通知を発したときは、この限りでない。
 申込者が前項の通知をしなかったときは、承諾の通知は、延着しなかったものとみなす。
 (承諾期間を定めない契約の申込み)0525-03
第529条 承諾の期間を定めない契約の申込みは、申込者が相当の期間内に承諾の通知を受けることができなかったときは、その効力を失う。
 (延着した承諾の効力)0524
第530条 前2条の場合において、延着した承諾は、申込者がこれを新たな申込みとみなすことができる。
 (隔地者間の契約の成立時期)
第531条 隔地者間の契約は、承諾の通知を発した時に成立する。
 (意思実現による契約の成立)0527
第532条 申込者の意思表示又は慣習により承諾の通知が必要でない場合には、契約は、承諾の意思表示と認められる事実があった時に成立する。
 (交叉申込み)
第533条 当事者間において同一の内容の申込みが相互に交叉した場合には、双方の申込みが相手方に到達した時に契約が成立する。
 (変更を加えた承諾)0528
第534条 承諾者が申込みに条件を付し、又は変更を加えて承諾したときは、その申込みの拒絶と同時に新たな申込みをしたものとみなす。
 (契約締結上の過失)
第535条 目的が不能な契約を締結するときに、その不能であることを知り、又は知ることができた者は、相手方がその契約の有効であることを信じたことによって受けた損害を賠償しなければならない。ただし、その賠償額は、契約が有効であることによって生ずべき利益額を超えることができない。
 前項の規定は、相手方がその不能を知り、又は知ることができた場合には、適用しない。
     第2款 契約の効力
 (同時履行の抗弁権)0533
第536条 双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行を提供する時までは、自己の債務の履行を拒絶することができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。
 当事者の一方が相手方に先だって履行しなければならない場合において、相手方の履行の困難なことが明らかである事由のあるときは、前項本文と同様とする。
 (債務者危険負担主義)0536-01
第537条 双務契約の当事者の一方の債務が当事者双方の責めに帰することができない事由によって履行することができなくなったときは、債務者は、相手方の履行を請求することができない。
 (債権者の帰責事由による履行不能0536-02:0413の2-02
第538条 双務契約の当事者の一方の債務が債権者の責めに帰すべき事由によって履行することができなくなったときは、債務者は、相手方の履行を請求することができる。 債権者の受領遅滞中に当事者双方の責めに帰することができない事由によって履行することができなくなったときも、同様とする。
 前項の場合において、債務者は、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。
 (第三者のための契約)0537-01.03
第539条 契約により当事者の一方が第三者に履行すべきことを約定したときは、その第三者は、債務者に対して直接その履行を請求することができる。
 前項の場合において、第三者の権利は、その第三者が債務者に対して契約の利益を受ける意思を表示した時に発生する。
 (債務者の第三者に対する催告権)
第540条 前条第2項の場合において、債務者は、相当の期間を定めて契約の利益を受けるかどうかの確答を第三者に催告することができる。 債務者がその期間内に確答を受けなかったときは、第三者が契約の利益を受けることを拒絶したものとみなす。
 (第三者の権利の確定)0538-01
第541条 第539条の規定により第三者の権利が発生した後においては、当事者は、これを変更し、又は消滅させることができない。
 (債務者の抗弁権)0539
第542条 債務者は、第539条の契約に基づく抗弁をもって、その契約の利益を受ける第三者に対抗することができる。
     第3款 契約の解約告知及び解除
 (解約告知権及び解除権)0540
第543条 契約又は法律の規定により当事者の一方又は双方が解約告知又は解除の権利を有するときは、その解約告知又は解除は、相手方に対する意思表示によってする。
 前項の意思表示は、撤回することができない。
 履行遅滞と解除)0541:0542
第544条 当事者の一方がその債務を履行しないときは、相手方は、相当の期間を定めて履行の催告をし、その期間内に履行しないときは、契約を解除することができる。ただし、債務者があらかじめ履行しない意思を表示した場合には、催告を要しない。
 (定期行為と解除)0542
第545条 契約の性質又は当事者の意思表示により一定の日時又は一定の期間内に履行しなければ、契約の目的を達成することができない場合において、当事者の一方がその時期に履行しないときは、相手方は、前条の催告をしないで契約を解除することができる。
 履行不能と解除)0542
第546条 債務者の責めに帰すべき事由により履行が不能になったときは、債権者は、契約を解除することができる。
 (解約告知権及び解除権の不可分性)0544
第547条 当事者の一方又は双方が数人ある場合には、契約の解約告知又は解除は、その全員から又は全員に対してしなければならない。
 前項の場合において、解約告知又は解除の権利が当事者の一人について消滅したときは、他の当事者についても消滅する。
 (解除の効果と原状回復義務)0545-01.02
第548条 当事者の一方が契約を解除したときは、各当事者は、その相手方に対して原状回復の義務を負う。ただし、第三者の権利を害することができない。
 前項の場合において、返還すべき金銭には、その受領した日から利息を付さなければならない。
 (原状回復義務と同時履行)0546
第549条 第536条の規定は、前条の場合について準用する。
 (解約告知の効果)
第550条 当事者の一方が契約を解約告知したときは、契約は、将来に向ってその効力を失う。
 (解約告知及び解除と損害賠償)0545-04
第551条 契約の解約告知又は解除は、損害賠償の請求に影響を及ぼさない。
 (解除権を行使するかどうかの催告権)0547
第552条 解除権の行使の期間を定めなかったときは、相手方は、相当の期間を定めて解除権を行使するかどうかの確答を解除権者に催告することができる。
 前項の期間内に解除の通知を受けなかったときは、解除権は、消滅する。
 (毀損等による解除権の消滅)0548
第553条 解除権者の故意又は過失によって、契約の目的物が著しく毀損し、若しくはこれを返還できなくなったとき、又は加工若しくは改造によって他の種類の物に変更されたときは、 解除権は、消滅する。