新私訳:韓国の民法 その13<第655条~第733条>

    第8節 雇用
 (雇用の意義)0623
第655条 雇用は、当事者の一方が相手方に対して労務を提供することを約し、相手方がこれに対して報酬を支払うことを約することによって、その効力を生じる。
 (報酬及びその支払時期)0624
第656条 報酬又は報酬額の定めがないときは、慣習に従って支払わなければならない。
 報酬は、定めた時期に支払わなければならず、時期の定めがないときは、慣習に従い、慣習がなければ約定した労務を終えた後遅滞なく、支払わなければならない。
 (権利義務の専属性)0625
第657条 使用者は、労働者の同意を得ないで、その権利を第三者に譲り渡すことができない。
 労働者は、使用者の同意を得ないで、自分に代えて第三者労務を提供させることができない。 
 当事者の一方が前2項の規定に違反したときは、相手方は、契約を解約告知することができる。
 (労働の内容と解約告知権)
第658条 使用者が約定しなかった労務の提供を労働者に要求したときは、労働者は、契約を解約告知することができる。
 約定した労務が特殊な技能を要する場合において、労働者がその技能を有さないときは、使用者は、契約を解約告知することができる。
 (3年以上の経過と解約告知申入権)0626
第659条 雇用の約定期間が3年を超え、又は当事者の一方若しくは第三者の終身の間となっているときは、各当事者は、3年を経過した後はいつでも契約の解約告知の申入れをすることができる。
 前項の場合には、相手方が解約告知の申入れを受けた日から3月が経過した時は、解約告知の効力を生じる。
 (期間の定めがない雇用の解約告知の申入れ)0627
第660条 雇用の期間の定めがないときは、当事者は、いつでも契約の解約告知の申入れをすることができる。
 前項の場合において、相手方が解約告知の申入れを受けた日から1月が経過したときは、解約告知の効力を生じる。
 期間によって報酬を定めたときは、相手方が解約告知の申入れを受けた期の次期が経過することによって、解約告知の効力を生じる。
 (やむを得ない事由と解約告知権)0628
第661条 雇用の期間の定めがある場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、契約を解約告知することができる。ただし、その事由が当事者の一方の過失によって生じたときは、相手方に対して損害を賠償しなければならない。
 (黙示の更新)0629
第662条 雇用の期間が満了した後労働者が引き続きその労務を提供する場合において、使用者が相当の期間内に異議を述べなかったときは、従前の雇用と同一の条件で更に雇用したものとみなす。ただし、当事者は、第660条の規定により解約告知の申入れをすることができる。
 前項の場合には、従前の雇用について第三者が供した担保は、期間の満了によって消滅する。
 (使用者の破産と解約の申入れ)0631
第663条 使用者が破産宣告を受けた場合には、雇用の期間の定めがあるときであっても、労働者又は破産管財人は、契約を解約告知することができる。
 前項の場合には、各当事者は、契約の解約告知による損害の賠償を請求することができない。
    第9節 請負
 (請負の意義)0632
第664条 請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを約することによって、その効力を生じる。
 (報酬の支払時期)0633
第665条 報酬は、その完成した目的物の引渡しと同時に支払わなければならない。ただし、目的物の引渡しを要しない場合には、その仕事を完成した後遅滞なく支払わなければならない。
 前項の報酬については、第656条第2項の規定を準用する。
 (目的不動産に対する請負人の抵当権設定請求権)
第666条 不動産工事の請負人は、前条の報酬に係る債権を担保するため、その不動産を目的とする抵当権の設定を請求することができる。
 (請負人の担保責任)
第667条 完成した目的物又は完成前の出来上がった部分に瑕疵があるときは、注文者は、請負人に対し、相当の期間を定めてその瑕疵の修補を請求することができる。ただし、瑕疵が重要でない場合において、その修補に過分な費用を要するときは、この限りでない。
 注文者は、瑕疵の修補に代え、又は修補とともに、損害賠償を請求することができる。 
 前項の場合においては、第536条の規定を準用する。
 (請負人の担保責任と注文者の解除権)
第668条 注文者が完成した目的物の瑕疵によって契約の目的を達成することができないときは、契約を解除することができる。ただし、建物その他の土地の工作物については、この限りでない。
 (瑕疵が注文者の供した材料又は指示に基づく場合の免責)0636
第669条 前2条の規定は、目的物の瑕疵が注文者の供した材料の性質又は注文者の指示によって生じたときは、適用しない。ただし、請負人がその材料又は指示の不適当であることを知りながら注文者に告げなかったときは、この限りでない。
 (担保責任の存続期間)0637
第670条 前3条の規定による瑕疵の修補の請求、損害賠償の請求及び契約の解除は、目的物の引渡しを受けた日から1年内にしなければならない。
 目的物の引渡しを要しない場合には、前項の期間は、仕事が終了した日から起算する。
 (請負人の担保責任の土地及び建物等についての特則)0636
第671条 土地又は建物その他の工作物の請負人は、目的物又は地盤工事の瑕疵について、引渡し後5年間担保の責任を負う。ただし、目的物が石造、石灰造、煉瓦造又は金属その他これに類似する材料で造られたものであるときは、その期間を10年とする。
 前項の瑕疵によって目的物が滅失し、又は毀損したときは、注文者は、その滅失し、又は毀損した日から1年内に第667条の権利を行使しなければならない。
 (担保責任の免除の特約)
第672条 請負人は、第667条又は第668条の担保責任を負わないことを約した場合であっても、知りながら告げなかった事実については、その責任を免れることができない。
 (完成前の注文者の解除権)0641 
第673条 請負人が仕事を完成するまでは、注文者は、損害を賠償して契約を解除することができる。
 (注文者の破産と解除権)0642
第674条 注文者が破産宣告を受けたときは、請負人又は破産管財人は、契約を解除することができる。 この場合において、請負人は、仕事の完成した部分に対する報酬及び報酬に含まれない費用について、破産財団の配当に加入することができる。
 前項の場合には、各当事者は、相手方に対し、契約の解除による損害の賠償を請求することができない。
    第9節の2 旅行契約
 (旅行契約の意義)
第674条の2 旅行契約は、当事者の一方が相手方に運送、宿泊、観光又はその他の旅行に関連する役務を結合して提供することを約し、相手方がその代金を支払うことを約することによって、効力を生じる。
 (旅行開始前の契約の解除)
第674条の3 旅行者は、旅行を開始するまでは、いつでも契約を解除することができる。 ただし、旅行者は、相手方に生じた損害を賠償しなければならない。
 (やむを得ない事由による契約の解約告知)
第674条の4 やむを得ない事由がある場合には、各当事者は、契約を解約告知することができる。 ただし、その事由が当事者の一方の過失によって生じた場合には、相手方に損害を賠償しなければならない。
 前項の規定により契約が解約告知された場合であっても、契約上帰還運送の義務がある旅行主催者は、旅行者を帰還運送する義務を負う.
 第1項の規定による解約告知によって生じる追加費用は、その解約告知の事由が、いずれかの当事者の事情に属する場合にはその当事者が負担し、いずれの当事者の事情にも属さない場合には各当事者が等しい割合で負担する。
 (代金の支払時期)
第674条の5 旅行者は、定めた時期に代金を支払わなければならず、また、その時期について定めがないときは、慣習により、慣習がなければ旅行の終了後遅滞なく、支払わなければならない。
 (旅行主催者の担保責任)
第674条の6 旅行に瑕疵がある場合には、旅行者は、旅行主催者に瑕疵の是正又は代金の減額を請求することができる。 ただし、その是正に過分な費用を要する場合又はその他是正を合理的に期待することができない場合は、是正を請求することができない。
 前項の規定による是正の請求は、相当の期間を定めてしなければならない。 ただし、直ちに是正する必要がある場合は、この限りでない。
 旅行者は、是正の請求若しくは減額の請求に代えて損害賠償を請求し、又は是正の請求若しくは減額の請求とともに損害賠償を請求することができる。
 (旅行主催者の担保責任と旅行者の解約告知権)
第674条の7 旅行者は、旅行に重大な瑕疵がある場合において、その是正がなされず、又は契約の内容に従った履行を期待することができないときは、契約を解約告知することができる。
 契約が解約告知された場合には、旅行主催者は、代金の請求権を失う。 ただし、旅行者が実行された旅行によって利益を得た場合には、その利益を旅行主催者に償還しなければならない。
 旅行主催者は、契約の解約告知によって必要になった措置を講じる義務を負い、また、契約上帰還運送の義務を負うときは、旅行者を帰還運送しなければならない。 この場合において、相当の理由があるときは、旅行主催者は、旅行者にその費用の一部を請求することができる。
 (担保責任の存続期間)
第674条の8 第674条の6及び前条の規定による権利は、旅行期間中であっても行使することができ、また、契約で定めた旅行の終了日から6箇月内に行使しなければならない。
 (強行規定
第674条の9 第674条の3、第674条の4又は第674条の6から前条までの規定に違反する約定で旅行者に不利なものは、効力を有しない。 
    第10節 懸賞広告
 (懸賞広告の意義)0529
第675条 懸賞広告は、広告者がある行為をした者に一定の報酬を支払う意思を表示し、これに応じた者がその広告に定めた行為を完了することによって、その効力を生じる。
 (報酬の受領権者)0531
第676条 広告に定めた行為を完了した者が数人ある場合は、先にその行為を完了した者が報酬を受ける権利を有する。
 数人が同時に完了した場合は、それぞれ等しい割合で報酬を受ける権利を有する。ただし、報酬がその性質上分割することができず、又は広告において一人のみが報酬を受ける旨を定めたときは、抽選によって決定する。
 (広告を知らずにした行為)0529
第677条 前条の規定は、広告のあることを知らずに広告に定めた行為を完了した場合について準用する。
 (優等懸賞広告)0532
第678条 広告に定めた行為を完了した者が数人ある場合において、その優等者にのみ報酬を支払う旨を定めているときは、その広告に応募期間を定めたときに限り、その効力を生じる。
 前項の場合において、優等の判定は、広告中に定めた者が行う。 広告中に判定者を定めなかったときは、広告者が判定する。
 優等者がないとする判定は、行うことができない。ただし、広告中に別段の意思表示があり、又は広告の性質上判定の標準が定められているときは、この限りでない。
 応募者は、前2項の判定について異議を述べることができない。
 数人の行為が同等と判定されたときは、第676条第2項の規定を準用する。
 (懸賞広告の撤回)0529の2:0529の3:0530
第679条 広告にその指定した行為の完了期間を定めたときは、その期間の満了前に広告を撤回することができない。
 広告に行為の完了期間を定めなかったときは、その行為を完了した者が現れるまでは、その広告と同一の方法によって広告を撤回することができる。
 従前の広告と同一の方法によって撤回することができないときは、それと類似した方法によって撤回することができる。 この撤回は、撤回した旨を知った者に対してのみ、その効力を有する。
    第11節 委任
 (委任の意義)0643
第680条 委任は、当事者の一方が相手方に事務の処理を委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生じる。
 (受任者の善管義務)0644
第681条 受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理しなければならない。
 (復任権の制限)0644の2
第682条 受任者は、委任者の承諾又はやむを得ない事由がなければ、自分に代えて第三者に委任事務を処理させることができない。
 受任者が前項の規定により第三者に委任事務を処理させた場合には、第121条及び第123条の規定を準用する。
 (受任者の報告義務)0645
第683条 受任者は、委任者の請求があるときは委任事務の処理状況を報告し、委任が終了したときは遅滞なくその顛末を報告しなければならない。
 (受任者の取得物等の引渡し及び移転の義務)0646
第684条 受任者は、委任事務の処理によって受け取った金銭その他の物及びその収取した果実を委任者に引き渡さなければならない。
 受任者が委任者のために自己の名義で取得した権利は、委任者に移転しなければならない。
 (受任者の金銭消費に対する責任)0647
第685条 受任者が委任者に引き渡すべき金銭又は委任者の利益のために使用すべき金銭を自己のために消費したときは、消費した日以後の利息を支払い、その他に損害があれば賠償しなければならない。
 (受任者の報酬請求権)0648
第686条 受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない。
 受任者が報酬を受けるべき場合は、委任事務を完了した後でなければ、これを請求することができない。 ただし、期間によって報酬を定めたときは、その期間が経過した後に、これを請求することができる。
 受任者が委任事務を処理している中途において、受任者の責めに帰することができない事由によって委任が終了したときは、受任者は、既に処理した事務の割合に応じた報酬を請求することができる。 
 (受任者の費用前払請求権)0649
第687条 委任事務の処理について費用を要するときは、委任者は、受任者の請求により、これを前払しなければならない。
 (受任者の費用償還請求権等)0650
第688条 受任者が委任事務の処理について必要費を支出したときは、委任者に対し、支出した日以後の利息を請求することができる。
 受任者が委任事務の処理に必要な債務を負担したときは、委任者に対し、自己に代わってこれを弁済させることができ、その債務が弁済期にないときは、相当の担保を供させることができる。  
 受任者が委任事務の処理のために過失なく損害を受けたときは、委任者に対し、その賠償を請求することができる。
 (委任の解約告知の自由)0651
第689条 委任契約は、各当事者がいつでも解約告知することができる。
 当事者の一方は、やむを得ない事由がなく相手方の不利な時期に契約を解約告知したときは、その損害を賠償しなければならない。
 (死亡、破産等と委任の終了)0653
第690条 委任は、当事者の一方の死亡又は破産によって終了する。受任者が成年後見開始の審判を受けた場合も、同様とする。
 (委任の終了時の緊急処理)0654
第691条 委任の終了の場合において、急迫な事情があるときは、受任者又はその相続人若しくは法定代理人は、委任者又はその相続人若しくは法定代理人が委任事務を処理することができるときまで、その事務の処理を継続しなければならない。この場合においては、委任の存続中と同様の効力を有する。
 (委任の終了の対抗要件0655
第692条 委任の終了事由は、これを相手方に通知し、又は相手方がこれを知ったときでなければ、これをもって相手方に対抗することができない。
    第12節 寄託
 (寄託の意義)0657
第693条 寄託は、当事者の一方が相手方に金銭又は有価証券その他の物の保管を委託し、相手方がこれを承諾することによって、効力を生じる。
 (受寄者の寄託物使用の禁止)0658-01
第694条 受寄者は、寄託者の同意を得ないで寄託物を使用することができない。
 (無報酬の受寄者の注意義務)0659(新0659)
第695条 無報酬で寄託を受けた者は、自己の財産と同一の注意をもって寄託物を保管しなければならない。
 (受寄者の通知義務)0660-01
第696条 寄託物について権利を主張する第三者が受寄者に対して訴えを提起し、又は差押えをしたときは、受寄者は、遅滞なく寄託者にこれを通知しなければならない。
 (寄託物の性質及び瑕疵に係る寄託者の損害賠償義務)0661
第697条 寄託者は、寄託物の性質又は瑕疵によって生じた損害を受寄者に賠償しなければならない。ただし、受寄者がその性質又は瑕疵を知っていたときは、この限りでない。
 (期間の定めのある寄託の解約告知)0663-02:0662-01
第698条 寄託期間の定めがあるときは、受寄者は、やむを得ない事由がなく、その期間の満了前に契約を解約告知することができない。ただし、寄託者は、いつでも契約を解約告知することができる。
 (期間の定めのない寄託の解約告知)0663-01:0662-01
第699条 寄託期間の定めがないときは、各当事者は、いつでも契約を解約告知することができる。
 (寄託物の返還場所)0664
第700条 寄託物は、その保管した場所で返還しなければならない。ただし、受寄者が正当な事由によってその物を移動したときは、現に存する場所で返還することができる。
 (準用規定)0665
第701条 第682条、第684条から第687条まで並びに第688条第1項及び第2項の規定は、寄託について準用する。
 (消費寄託)0666
第702条 受寄者が契約により寄託物を消費することができる場合には、消費貸借に関する規定を準用する。ただし、返還時期の定めがないときは、寄託者は、いつでもその返還を請求することができる。
    第13節 組合
 (組合の意義)0667
第703条 組合は、2人以上の者が互いに出資をして共同の事業を経営することを約することによって、その効力を生じる。
 前項の出資は、金銭その他の財産又は労務によってすることができる。
 (組合財産の合有)0668
第704条 組合員の出資その他の組合財産は、組合員の合有とする。
 (金銭出資の遅滞についての責任)0669
第705条 金銭を出資の目的とした組合員が出資の時期を遅滞したときは、延滞利息を支払うほか、損害を賠償しなければならない。
 (事務執行の方法)0670-01~03.05
第706条 組合契約で業務執行者を定めなかった場合は、組合員の3分の2以上の賛成をもってこれを選任する。
 組合の業務執行は、組合員の過半数をもって決定する。 業務執行者が数人あるときは、その過半数をもって決定する。
 組合の常務は、前項の規定にかかわらず、各組合員又は各業務執行者が単独で行うことができる。ただし、その事務の完了前に他の組合員又は他の業務執行者の異議があるときは、直ちに中止しなければならない。
 (準用規定)0671
第707条 組合の業務を執行する組合員については、第681条から第688条までの規定を準用する。
 (業務執行者の辞任及び解任)0672
第708条 業務執行者である組合員については、正当な事由がなければ辞任することができず、他の組合員の一致がなければ解任することができない。
 (業務執行者の代理権の推定)0670の2
第709条 組合の業務を執行する組合員は、その業務執行について代理権があるものと推定する。
 (組合員の業務及び財産状態の検査権)0673
第710条 各組合員は、いつでも組合の業務及び財産状態を検査することができる。
 (損益分配の割合)0674
第711条 当事者が損益分配の割合を定めなかったときは、各組合員の出資の価額に応じてこれを定める。
 利益又は損失について分配の割合を定めたときは、その割合は、利益及び損失に共通なものと推定する。
 (組合員に対する債権者の権利行使)0675-02
第712条 組合の債権者は、その債権の発生の時に組合員の損失負担の割合を知ることができなかったときは、各組合員に対して等しい割合でその権利を行使することができる。
 (無資力の組合員の債務と他の組合員の弁済責任)
第713条 組合員の中に弁済する資力のない者があるときは、その弁済することができない部分は、他の組合員が等しい割合で弁済する責任を負う。
 (持分に対する差押えの効力)
第714条 組合員の持分に対する差押えは、その組合員の将来の利益の配当及び持分の返還を受けるべき権利に対して効力を有する。
 (組合の債務者の相殺禁止)0677
第715条 組合の債務者は、その債務と組合員に対する債権を相殺することができない。
 (任意脱退)0678
第716条 組合契約において、組合の存続期間を定めなかったとき、又は組合員の終身の間存続すべきことを定めたときは、各組合員は、いつでも脱退することができる。ただし、やむを得ない事由がなければ、組合の不利な時期に脱退することができない。
 組合の存続期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、組合員は、脱退することができる。
 (非任意脱退)0679
第717条 前条の場合のほか、組合員は、次に掲げる事由があるときは、脱退となる。
 (1) 死亡
 (2) 破産
 (3) 成年後見の開始
 (4) 除名
 (除名)0680
第718条 組合員の除名は、正当な事由があるときに限り、他の組合員の一致をもって決定する。
 前項の規定による除名の決定は、除名された組合員に通知しなければ、その組合員に対抗することができない。
 (脱退組合員の持分の計算)0681
第719条 脱退した組合員と他の組合員との間の計算は、脱退の時における組合の財産状態によって行う。
 脱退した組合員の持分は、その出資の種類を問わず、金銭で返還することができる。
 脱退の時に完結していない事項については、完結後に計算をすることができる。
 (やむを得ない事由による解散の請求)0683
第720条 やむを得ない事由があるときは、各組合員は、組合の解散を請求することができる。
 (清算人)0685
第721条 組合が解散したときは、清算は、総組合員が共同して、又はそれらの選任した者が、その事務を執行する。
 前項の規定による清算人の選任は、組合員の過半数をもって決定する。
 (清算人の業務執行の方法)0686
第722条 清算人が数人あるときは、第706条第2項後段の規定を準用する。
 (組合員である清算人の辞任及び解任)0687
第723条 組合員の中から清算人を定めたときは、第708条の規定を準用する。
 (清算人の職務及び権限並びに残余財産の分配)0688
第724条 清算人の職務及び権限については、第87条の規定を準用する。
 残余財産は、各組合員の出資の価額に応じてこれを分配する。
    第14節 終身定期金
 (終身定期金契約の意義)0689
第725条 終身定期金契約は、当事者の一方が自己、相手方又は第三者の終身の間定期に金銭その他の物を相手方又は第三者に給付することを約することによって、その効力を生じる。
 (終身定期金の計算)0690
第726条 終身定期金は、日割りで計算する。
 (終身定期金契約の解除)0691
第727条 定期金債務者が定期金債務の元本を受領した場合において、その定期金債務の給付を怠り、又はその他の義務を履行しなかったときは、定期金債権者は、元本の返還を請求することができる。ただし、既に給付を受けた債務の額からその元本の利息を控除した残額は、定期金債務者に返還しなければならない。
 前項の規定は、損害賠償の請求に影響を及ぼさない。
 (解除と同時履行)0692
第728条 第536条の規定は、前条の場合について準用する。
 (債務者の責めに帰すべき事由による死亡と債権の存続宣告)0693
第729条 死亡が定期金債務者の責めに帰すべき事由によるときは、裁判所は、定期金債権者又はその相続人の請求により、相当の期間債権が存続する旨を宣告することができる。
 前項の場合においても、第727条の規定による権利を行使することができる。
 (遺贈による終身定期金)0694
第730条 この節の規定は、遺贈による終身定期金債権について準用する。
    第15節 和解
 (和解の意義)0695
第731条 和解は、当事者が互いに譲歩して当事者間の争いをやめることを約することによって、その効力を生じる。
 (和解の創設的効力)0696
第732条 和解契約は、当事者の一方の譲歩した権利が消滅し、相手方が和解によってその権利を取得する効力を有する。
 (和解の効力と錯誤)
第733条 和解契約は、錯誤を理由として取り消すことができない。ただし、和解の当事者の資格又は和解の目的である紛争以外の事項について錯誤があるときは、この限りでない。