新私訳:韓国の民法 その16<第844条~第927条の2>

   第4章 父母及び子
    第1節 実子
 (夫の嫡出子の推定)0772
第844条 妻が婚姻中に妊娠した子は、夫の子と推定する。
 婚姻が成立した日から200日後に出生した子は、婚姻中に妊娠したものと推定する。
 婚姻関係が終了した日から300日以内に出生した子は、婚姻中に妊娠したものと推定する。
 (裁判所による父の決定)0773
第845条 再婚した女性が出産した場合において、前条の規定によりその子の父を定めることができないときは、裁判所が、当事者の請求により、これを定める。
 (子の嫡出否認)0774
第846条 夫婦の一方は、第844条の場合において、その子が嫡出子であることを否認する訴えを提起することができる。
 (嫡出否認の訴え)0775:0777
第847条 嫡出否認の訴えは、夫又は妻が、他の一方又は子を相手として、その事由があることを知った日から2年内に、しなければならない。
 前項の場合において、相手方になるべき者が全て死亡したときは、その死亡を知った日から2年内に、検事を相手として、嫡出否認の訴えを提起することができる。
 (成年後見と嫡出否認の訴え)0778
第848条 夫又は妻が成年被後見人である場合には、その成年後見人が、成年後見監督人の同意を得て、嫡出否認の訴えを提起することができる。 成年後見監督人がなく、又は同意することができないときは、家庭裁判所に、その同意に代わる許可を請求することができる。
 前項の場合において、成年後見人が嫡出否認の訴えを提起しないときは、成年被後見人は、成年後見終了の審判があった日から2年内に、嫡出否認の訴えを提起することができる。
 (子の死亡後の嫡出否認)
第849条 子が死亡した後であっても、直系卑属があるときはその母を相手とし、母がないときは検事を相手として、否認の訴えを提起することができる。
 (遺言による嫡出否認)
第850条 夫又は妻が遺言で否認の意思を表示したときは、遺言執行者は、嫡出否認の訴えを提起しなければならない。
 (子の出生前の夫の死亡等と嫡出否認)
第851条 夫が子の出生前に死亡し、又は夫若しくは妻が第847条第1項に規定する期間内に死亡したときは、夫又は妻の直系尊属又は直系卑属に限り、その死亡を知った日から2年内に、嫡出否認の訴えを提起することができる。
 (嫡出否認権の消滅)0776
第852条 子の出生後に嫡出子であることを承認した者は、嫡出否認の訴えを提起することができない。
第853条 削除
 (詐欺又は強迫による承認の取消し)
第854条 第852条に規定する承認が詐欺又は強迫によるときは、これを取り消すことができる。
 (嫡出否認の許可の請求)
第854条の2 母又は母の前夫は、第844条第3項の場合において、家庭裁判所に、嫡出否認の許可を請求することができる。 ただし、婚姻中の子として出生届がされた場合は、この限りでない。
 前項に規定する請求がある場合には、家庭裁判所は、血液採取による血液型の検査、遺伝因子の検査等科学的な方法による検査の結果又は長期間の別居等その他の事情を考慮して、許可するかどうかを定める。
 前2項の規定による許可を得た場合には、第844条第1項及び第3項に規定する推定は及ばない。
 (認知)0779:0789-01
第855条 婚姻外の出生子は、その実父又は実母が認知することができる。 父母の婚姻が無効であるときは、出生子は、婚姻外の出生子とみなす。
 婚姻外の出生子は、その父母が婚姻したときは、その時から婚姻中の出生子とみなす。
 (認知の許可の請求)
第855条の2 実父は、第844条第3項の場合において、家庭裁判所に認知の許可を請求することができる。 ただし、婚姻中の子として出生届がされた場合は、この限りでない。
 前項に規定する請求がある場合には、家庭裁判所は、血液採取による血液型の検査、遺伝因子の検査等科学的な方法による検査の結果又は長期間の別居等その他の事情を考慮し、許可するかどうかを定める。
 前2項の規定による許可を得た実父が家族関係の登録等に関する法律第57条第1項の規定による届出をする場合には、第844条第1項及び第3項に規定する推定は及ばない。
 (成年被後見人の認知)0780
第856条 父が成年被後見人である場合には、成年後見人の同意を得て、認知することができる。
 (死亡した子の認知)0783-02
第857条 子が死亡した後であっても、その直系卑属があるときは、これを認知することができる。
 (胎児の認知)0783-01
第858条 父は、胎児についても認知することができる。
 (認知の効力の発生)0781
第859条 認知は、家族関係の登録等に関する法律の定めるところにより届出をすることによって、その効力を生じる。 
 認知は、遺言によってもすることができる。 この場合においては、遺言執行者がこれを届け出なければならない。
 (認知の遡及効0784
第860条 認知は、その子の出生の時に遡って効力を生じる。 ただし、第三者の取得した権利を害することはできない。
 (認知の取消し)
第861条 詐欺、強迫又は重大な錯誤によって認知をしたときは、詐欺若しくは錯誤を知った日又は強迫を免れた日から6月内に、家庭裁判所に、その取消しを請求することができる。
 (認知に対する異議の訴え)0786
第862条 子その他利害関係人は、認知の届出があったことを知った日から1年内に、認知に対する異議の訴えを提起することができる。
 (認知請求の訴え)0787
第863条 子及びその直系卑属又はその法定代理人は、父又は母を相手として、認知請求の訴えを提起することができる。
 (父母の死亡と認知請求の訴え)0787
第864条 前2条の場合において、父又は母が死亡したときは、その死亡を知った日から2年内に、検事を相手として、認知に対する異議又は認知請求の訴えを提起することができる。 
 (認知と子の養育責任等)0788
第864条の2 第837条及び第837条の2の規定は、子が認知された場合における子の養育責任及び面接交渉権について準用する。
 (他の事由を原因とする嫡出子関係存否確認の訴え)
第865条 第845条、第846条、第848条、第850条、第851条、第862条及び第863条の規定により訴えを提起することができる者は、他の事由を原因として、嫡出子関係存否確認の訴えを提起することができる。
 前項の場合において、当事者の一方が死亡したときは、その死亡を知った日から2年内に、検事を相手として、訴えを提起することができる。 
    第2節 養子
     第1款 養子縁組の要件及び効力
 (養子縁組をする能力)0792
第866条 成年になった者は、養子縁組をすることができる。
 (未成年者の養子縁組に対する家庭裁判所の許可)0798
第867条 未成年者と養子縁組しようとする者は、家庭裁判所の許可を得なければならない。
 家庭裁判所は、養子となる未成年者の福利のために、その養育状況、養子縁組の動機、養父母の養育能力その他の事情を考慮し、前項の規定による養子縁組の許可をしないことができる。
第868条 削除
 (養子縁組の意思表示)0797-01
第869条 養子となる者が13歳以上の未成年者である場合には、法定代理人の同意を得て、養子縁組を承諾する。
 養子となる者が13歳未満である場合には、法定代理人が、その者に代わって、養子縁組を承諾する。
 家庭裁判所は、次に掲げる場合には、第1項の規定による同意又は前項の規定による承諾がなくても、第867条第1項の規定による養子縁組の許可をすることができる。
 (1)  法定代理人が正当な理由なく同意又は承諾を拒否する場合。ただし、法定代理人が親権者である場合には、次条第2項各号に掲げる場合でなければならない。
 (2)  法定代理人の所在を知ることができない等の事由で同意又は承諾を得ることができない場合
 前項第1号に掲げる場合には、家庭裁判所は、法定代理人を審問しなければならない。
 第1項の規定による同意又は第2項の規定による承諾は、第867条第1項の規定による養子縁組の許可があるまでは、撤回することができる。
 (未成年者の養子縁組に対する父母の同意)
第870条 養子となる未成年者は、父母の同意を得なければならない。 ただし、次に掲げる場合においては、この限りでない。
 (1)  父母が前条第1項の規定による同意をし、又は同条第2項の規定による承諾をした場合
 (2)  父母が親権喪失の宣告を受けた場合
 (3)  父母の所在を知ることができない等の事由で同意を得ることができない場合
 家庭裁判所は、次に掲げる場合には、父母が同意を拒否したとしても、第867条第1項の規定による養子縁組の許可をすることができる。 この場合において、家庭裁判所は、父母を審問しなければならない。
 (1)  父母が3年以上子に対する扶養義務を履行しなかった場合
 (2)  父母が子を虐待し、若しくは遺棄し、又はその他子の福利を著しく害した場合
 第1項の規定による同意は、第867条第1項の規定による養子縁組の許可があるまでは、撤回することができる。
 (成年者の養子縁組に対する父母の同意
第871条 養子となる者が成年である場合には、父母の同意を得なければならない。 ただし、父母の所在を知ることができない等の事由で同意を得ることができない場合は、この限りでない。
 家庭裁判所は、父母が正当な理由なく同意を拒否する場合には、養父母となる者又は養子となる者の請求により、父母の同意に代わる審判をすることができる。 この場合において、家庭裁判所は、父母を審問しなければならない。
第872条 削除
 (成年被後見人養子縁組0799
第873条 成年被後見人は、成年後見人の同意を得て、養子縁組をすることができ、また養子となることができる。
 成年被後見人が養子縁組をし、又は養子となる場合には、第867条の規定を準用する。
 家庭裁判所は、成年後見人が正当な理由なく第1項の規定による同意を拒否し、又は成年被後見人の父母が正当な理由なく第871条第1項の規定による同意を拒否する場合には、その同意がないとしても、養子縁組を許可することができる。この場合において、家庭裁判所は、成年後見人又は父母を審問しなければならない。
 夫婦の共同養子縁組等0796
第874条 配偶者がある者は、配偶者と共同で養子縁組をしなければならない。
 配偶者がある者は、その配偶者の同意を得て、養子となることができる。
第875条及び第876条 削除
 (養子縁組の禁止)0793
第877条 尊属又は年長者を養子とすることは、できない。
 (養子縁組の成立0799
第878条 養子縁組は、家族関係の登録等に関する法律に定めるところにより届出をすることによって、効力を生じる。
第879条及び第880条 削除
 (養子縁組の届出の審査0800
第881条 第866条、第867条、第869条から第871条まで、第873条、第874条及び第877条の規定並びにその他の法令に違反しない養子縁組の届出は、受理しなければならない。
 (外国における養子縁組の届出)0801
第882条 外国において養子縁組の届出をする場合については、第814条の規定を準用する。
 (養子縁組の効力)0809
第881条の2 養子は、養子縁組をした時から養父母の嫡出子と同じ地位を有する。
 養子の養子縁組前の親族関係は、存続する。
     第2款 養子縁組の無効及び取消し
 (養子縁組の無効原因)0802
第883条 次に掲げる場合には、養子縁組は、無効とする。
 (1) 当事者間に養子縁組の合意がない場合
 (2) 第867条第1項(第873条第2項の規定により準用される場合を含む。)、第869条第2項又は第877条の規定に違反した場合
 (養子縁組の取消原因)0803~0808
第884条 養子縁組が次に掲げる場合は、家庭裁判所に、その取消しを請求することができる。
 (1) 第866条、第869条第1項若しくは第3項第2号、第870条第1項、第871条第1項、第873条第1項又は第874条の規定に違反した場合
 (2) 養子縁組の時に、養父母と養子のいづれか一方に悪疾又はその他の重大な事由があることを知ることができなかった場合
 (3) 詐欺又は強迫によって養子縁組の意思表示をした場合
 養子縁組の取消しについては、第867条第2項の規定を準用する。
 (養子縁組の取消請求権者)<本条~888条について>0804~0808
第885条 養父母、養子及びその法定代理人又は直系血族は、第866条の規定に違反した養子縁組の取消しを請求することができる。
第886条 養子及び同意権者は、第869条第1項若しくは第3項第2号又は第870条第1項の規定に違反した養子縁組の取消しを請求することができ、同意権者は、第871条第1項の規定に違反した養子縁組の取消しを請求することができる。
第887条 成年被後見人及び成年後見人は、第873条第1項の規定に違反した養子縁組の取消しを請求することができる。
第888条  配偶者は、第874条の規定に違反した養子縁組の取消しを請求することができる。
 (養子縁組の取消請求権の消滅)<本条~896条について>0804:0806-01:0806の2:0806の3:807
第889条 養父母が成年となったときは、第866条の規定に違反した養子縁組の取消しを請求することができない。
第890条  削除
第891条  養子が、成年となった後3箇月が過ぎ、又は死亡したときは、第869条第1項若しくは第3項第2号又は第870条第1項の規定に違反した養子縁組の取消しを請求することができない。
 養子が死亡したときは、第871条第1項の規定に違反した養子縁組の取消しを請求することができない。
第892条  削除
第893条 成年後見開始の審判が取り消された後3箇月が過ぎたときは、第873条第1項の規定に違反した養子縁組の取消しを請求することができない。
第894条 第869条第1項若しくは第3項第2号、第870条第1項、第871条第1項、第873条第1項又は第874条の規定に違反した養子縁組は、その事由があることを知った日から6箇月、その事由が生じた日から1年が過ぎたときは、その取消しを請求することができない。
第895条  削除
第896条 第884条第1項第2号に規定する事由がある養子縁組は、養父母と養子のうちの一方がその事由があることを知った日から6箇月が過ぎたときは、その取消しを請求することができない。
 (準用規定)0808-01
第897条 養子縁組の無効又は取消しによる損害賠償責任については第806条の規定を準用し、詐欺又は強迫による養子縁組の取消請求権の消滅については第823条の規定を準用し、養子縁組の取消しの効力については第824条の規定を準用する。
     第3款 離縁
      第1項 協議上の離縁
 (協議上の離縁)0811:0811の2
第898条 養父母及び養子は、協議して離縁をすることができる。 ただし、養子が未成年者又は成年被後見人である場合は、この限りでない。
第899条から第901条まで  削除
 (成年被後見人の協議上の離縁)0812
第902条 成年被後見人である養父母は、成年後見人の同意を得て、離縁を協議することができる。
 (離縁の届出の審査)0813
第903条 第898条若しくは第902条の規定又はその他の法令に違反しない離縁の届出は、受理しなければならない。
 (準用規定)0812
第904条 詐欺又は強迫による離縁の取消請求権の消滅については第823条の規定を準用し、 協議上の離縁の成立については第878条の規定を準用する。
      第2項 裁判上の離縁
 (裁判上の離縁の原因)0814-01
第905条 養父母、養子又は次条の規定による請求権者は、次に掲げる場合には、家庭裁判所に、離縁を請求することができる。
 (1) 養父母が養子を虐待し、若しくは遺棄し、又はその他養子の福利を著しく害した場合
 (2) 養父母が養子から著しく不当な待遇を受けた場合
 (3) 養父母又は養子の生死が3年以上明らかでない場合
 (4) その他養親子関係を継続し難い重大な事由がある場合
 (離縁の請求権者)0815
第906条 養子が13歳未満である場合には、第869条第2項の規定による承諾をした者が、養子に代わって、離縁を請求することができる。 ただし、離縁を請求することができる者がない場合には、 第777条の規定による養子の親族又は利害関係人が、家庭裁判所の許可を得て、離縁を請求することができる。
 養子が13歳以上の未成年者である場合には、第870条第1項の規定による同意をした父母の同意を得て、離縁を請求することができる。 ただし、父母が死亡し、又はその他の事由によって同意することができない場合には、同意なしに、離縁を請求することができる。
 養父母又は養子が成年被後見人である場合には、成年後見人の同意を得て、離縁を請求することができる。
 検事は、未成年者又は成年被後見人である養子のために、離縁を請求することができる。
 (離縁請求権の消滅)
第907条 離縁の請求権者は、第905条第1号、第2号又は第4号に規定する事由があることを知った日から6箇月、その事由が生じた日から3年が過ぎたときは、離縁を請求することができない。
 (準用規定)
第908条 
裁判上の離縁による損害賠償責任については、第806条の規定を準用する。
     第4款 特別養子
 (特別養子縁組の要件等)0817の2~0817の7
第908条の2 特別養子を養子にしようとする者は、次に掲げる要件を備えて、家庭裁判所に、特別養子縁組を請求しなければならない。
 (1) 3年以上婚姻中の夫婦であって、共同で養子縁組をすること。 ただし、1年以上婚姻中の夫婦の一方が、その配偶者の嫡出子を特別養子とする場合は、この限りでない。
 (2) 特別養子となる者が未成年者であること。
 (3) 特別養子となる者の実父母が特別養子縁組に同意すること。 ただし、父母が親権喪失の宣告を受け、その所在を知ることができず、又はその他の事由によって、同意をすることができない場合は、この限りでない。
 (4) 特別養子となる者が13歳以上である場合には、法定代理人の同意を得て、養子となることを承諾すること。
 (5) 特別養子となる者が13歳未満である場合には、法定代理人がその者に代わって、養子となることを承諾すること。
 家庭裁判所は、次に掲げる場合には、前項第3号又は第4号の規定による同意又は同項第5号の規定による承諾がなくても、前項に規定する請求を認容することができる。 この場合には、家庭裁判所は、同意権者又は承諾権者を審問しなければならない。
 (1) 法定代理人が、正当な理由なく、同意又は承諾を拒否する場合。ただし、法定代理人が親権者である場合には、次号又は第3号に掲げる場合でなければならない。
 (2) 実父母が、その責任に帰すべき事由によって、3年以上子に対する扶養義務を履行せず、面接交渉をしなかった場合
 (3) 実父母が、子を虐待し、若しくは遺棄し、又はその他子の福利を著しく害した場合
 家庭裁判所は、特別養子となる者の福利のために、その養育状況、特別養子縁組の動機、養父母の養育能力その他の事情を考慮して、特別養子縁組が適当でないと認める場合には、第1項に規定する請求を棄却することができる。
 (特別養子縁組の効力)0809:0817の9
第908条の3 特別養子は、夫婦の婚姻中の出生子とみなす。
 特別養子の縁組前の親族関係は、第908条の2第1項に規定する請求による特別養子縁組が確定した時に終了する。 ただし、夫婦の一方がその配偶者の嫡出子を単独で養子縁組をした場合における配偶者及びその親族と嫡出子の間の親族関係については、この限りでない。
 (特別養子縁組の取消し等)
第908条の4 特別養子となる者の実方の父又は母は、その責任に帰することができない事由によって第908条の2第1項第3号ただし書の規定による同意をすることができなかった場合には、特別養子縁組の事実を知った日から6箇月内に、家庭裁判所に、特別養子縁組の取消しを請求することができる。
 特別養子縁組については、第883条及び第884条の規定を適用しない。
 (特別養子の離縁)0817の10
第908条の5 養親、特別養子、実方の父若しくは母又は検事は、次に掲げる場合には、家庭裁判所に、特別養子の離縁を請求することができる。
 (1) 養親が、特別養子を虐待し、若しくは遺棄し、又はその他特別養子の福利を著しく害するとき。
 (2) 特別養子の養親に対する背徳行為によって特別養子関係を維持させることができなくなったとき。
 第898条及び第905条の規定は、特別養子の離縁について適用しない。
 (準用規定)
第908条の6 第908条の2第3項の規定は、特別養子縁組の取消し又は第908条の5第1項第2号の規定による離縁の請求について準用する。
 (特別養子縁組の取消し及び離縁の効力)0817の11
第908条の7 特別養子縁組が取り消され、又は離縁されたときは、特別養子関係は、消滅し、縁組前の親族関係が復活する。
 前項の場合において、特別養子縁組の取消しの効力は、遡及しない。
 (準用規定)
第908条の8 特別養子については、この款に特別な規定がある場合を除き、その性質に反しない範囲内で、養子に関する規定を準用する。
    第3節 親権
     第1款 総則
 (親権者)0818:0819:0749
第909条 父母は、未成年者である子の親権者となる。 養子の場合には、養父母が親権者となる。  
 親権は、父母が婚姻中であるときは、父母が共同で行使する。ただし、父母の意見が一致しない場合には、当事者の請求により、家庭裁判所がこれを定める。
 父母の一方が親権を行使することができないときは、他の一方がこれを行使する。
 婚姻外の子が認知された場合及び父母が離婚している場合には、父母の協議で親権者を定めなければならず、協議をすることができず、又は協議が調わない場合には、家庭裁判所は、職権で又は当事者の請求により、親権者を指定しなければならない。 ただし、父母の協議が子の福利に反する場合には、家庭裁判所は、補正を命じ、又は職権で、親権者を定める。
 家庭裁判所は、婚姻の取消し、裁判上の離婚又は認知の請求の訴えの場合には、職権で、親権者を定める。 
 家庭裁判所は、子の福祉のために必要と認める場合には、子の4親等以内の親族の請求により、定められた親権者を他の一方に変更することができる。
 (親権者の指定等)
第909条の2 第909条第4項から第6項までの規定により単独親権者に定められた父母の一方が死亡した場合には、生存する父若しくは母、未成年者又は未成年者の親族は、その事実を知った日から1箇月内、死亡した日から6箇月内に、家庭裁判所に、生存する父又は母を親権者に指定するよう請求することができる。
 養子縁組が取り消され、若しくは離縁された場合又は養父母が全て死亡した場合は、実父母の一方若しくは双方、未成年者又は未成年者の親族は、その事実を知った日から1箇月内、養子縁組が取り消され、若しくは離縁された日又は養父母が全て死亡した日から6箇月内に、家庭裁判所に、実父母の一方又は双方を親権者に指定するよう請求することができる。 ただし、特別養子の養父母が死亡した場合は、この限りでない。
 第1項又は前項に規定する期間内に親権者指定の請求がないときは、家庭裁判所は、職権で又は未成年者、未成年者の親族、利害関係人、検事若しくは地方自治団体の長の請求により、未成年後見人を選任することができる。この場合において、生存する父若しくは母若しくは実父母の一方若しくは双方の所在を知ることができず、又はそれらの者が正当な事由なく召喚に応じない場合を除き、それらの者に意見を陳述する機会を与えなければならない。
 家庭裁判所は、第1項若しくは第2項の規定による親権者指定請求又は前項の規定による後見人選任請求が、生存する父若しくは母又は実父母の一方若しくは双方の養育意思、養育能力及び請求動機並びに未成年者の意思その他の事情を考慮し、未成年者の福利のために適切でないと認めるときは、請求を棄却することができる。 この場合において、家庭裁判所は、職権で、未成年後見人を選任し、又は生存する父若しくは母若しくは実父母の一方若しくは双方を親権者に指定しなければならない。
  家庭裁判所は、次に掲げる場合には、職権で又は未成年者、未成年者の親族、利害関係人、検事若しくは地方自治団体の長の請求により、第1項から前項までの規定により親権者が指定され、又は未成年後見人が選任されるときまで、その任務を代行する者を選任することができる。 この場合において、その任務を代行する者については、第25条及び第954条の規定を準用する。
 (1) 単独親権者が死亡した場合
 (2) 養子縁組が取り消され、又は離縁された場合
 (3) 養父母が全て死亡した場合
  家庭裁判所は、第3項又は第4項の規定により未成年後見人が選任された場合であっても、未成年後見人の選任後の養育状況及び養育能力の変動並びに未成年者の意思その他の事情を考慮し、未成年者の福利のために必要なときは、生存する父若しくは母、実父母の一方若しくは双方又は未成年者の請求により、後見を終了して、生存する父若しくは母又は実父母の一方若しくは双方を親権者に指定することができる。 
 (子の親権の代行)0833
第910条 親権者は、その親権に服する子に代わって、その子の子に対する親権を行使する。
 (未成年者である子の法定代理人0824
911 親権を行使する父又は母は、未成年者である子の法定代理人になる。
 (親権行使及び親権者指定の基準)
第912条 親権を行使するに当たっては、子の福利を優先的に考慮しなければならない。
 家庭裁判所が親権者を指定するに当たっては、子の福利を優先的に考慮しなければならない。このために、家庭裁判所は、関連分野の専門家又は社会福祉機関から助言を受けることができる。
      第2款 親権の効力
 (保護及び教育の権利義務)0820
第913条 親権者は、子を保護し、及び教育する権利義務がある。
 (居所指定権)0821
第914条 子は、親権者の指定した場所に居住しなければならない。
第915条 削除
 (子の特有財産及びその管理)
第916条 子が自己の名義で取得した財産は、その特有財産とし、法定代理人である親権者が管理する。
第917条 削除
 (第三者が無償で子に授与した財産の管理)0830
第918条 無償で子に財産を授与した第三者が親権者の管理に反対する意思を表示したときは、親権者は、その財産を管理することができない。
 前項の場合において、第三者がその財産管理人を指定しなかったときは、裁判所は、財産の授与を受けた子又は第777条の規定による親族の請求により、財産管理人を選任する。
 第三者の指定した財産管理人の権限が消滅し、又は財産管理人を改任する必要がある場合において、第三者が改めて財産管理人を指定しなかったときも、前項と同様とする。
 第24条第1項、第2項及び第4項、第25条前段並びに第26条第1項及び第2項の規定は、前2項の場合について準用する。
 (委任に関する規定の準用)
第919条 第691条及び第692条の規定は、第916条及び前条の規定による財産管理について準用する。
 (子の財産に関する親権者の代理権)0824
第920条 法定代理人である親権者は、子の財産に関する法律行為について、その子を代理する。ただし、その子の行為を目的とする債務を負担する場合には、本人の同意を得なければならない。
 (共同親権者の一方が共同名義でした行為の効力)0825
第920の2 父母が共同で親権を行使する場合において、父母の一方が共同名義で、子を代理し、又は子の法律行為に同意したときは、他の一方の意思に反するときであっても、その効力を有する。ただし、相手方が悪意であるときは、この限りでない。
 (親権者とその子の間又は数人の子の間の利害相反行為)0826
第921条 法定代理人である親権者とその子の間で利害の相反する行為をするには、 親権者は、裁判所に、その子の特別代理人の選任を請求しなければならない。
2 法定代理人である親権者がその親権に服する数人の子の間で利害の相反する行為をするには、裁判所に、その子の一方の特別代理人の選任を請求しなければならない。
 (親権者の注意義務)0827
第922条 親権者がその子についての法律行為の代理権又は財産管理権を行使するには、自己の財産に関する行為と同じ注意をしなければならない。
 (親権者の同意に代わる裁判)
第922条の2 家庭裁判所は、親権者の同意が必要な行為について親権者が正当な理由なく同意しないことによって、子の生命、身体又は財産に重大な損害が生じるおそれのある場合には、子、子の親族、検事又は地方自治団体の長の請求により、親権者の同意に代わる裁判をすることができる。
 (財産管理の計算)0828
第923条 法定代理人である親権者の権限が消滅したときは、その子の財産に関する管理の計算をしなければならない。
 前項の場合において、その子の財産から収取した果実は、その子の養育及び財産管理の費用と相殺したものとみなす。ただし、無償で子に財産を授与した第三者が反対の意思を表示したときは、その財産については、この限りでない。
     第3款 親権の喪失、一時停止及び一部制限
 (親権の喪失又は一時停止の宣告)0834:0834の2
第924条 家庭裁判所は、父又は母が親権を濫用して子の福利を著しく害し、又は害するおそれのある場合には、子、子の親族、検事又は地方自治団体の長の請求により、その親権の喪失又は一時停止を宣告することができる。
 家庭裁判所は、親権の一時停止を宣告するときは、子の状態、養育状況その他の事情を考慮して、その期間を定めなければならない。この場合において、その期間は、2年を超えることができない。
 家庭裁判所は、子の福利のために親権の一時停止の期間の延長が必要と認める場合には、子、子の親族、検事、地方自治団体の長、未成年後見人又は未成年後見監督人の請求により、2年の範囲でその期間を1回に限り、延長することができる。
 (親権の一部制限の宣告)
第924条の2 家庭裁判所は、居所の指定その他の身上に関する決定等特定の事項について親権者が親権を行使することが困難な又は不適当な事由があって、子の福利を害し、又は害するおそれがある場合には、子、子の親族、検事又は地方自治団体の長の請求により、具体的な範囲を定めて親権の一部制限を宣告することができる。
 (代理権及び財産管理権の喪失の宣告)0835
第925条 家庭裁判所は、法定代理人である親権者が不適当な管理によって子の財産を危うくした場合には、 子の親族、検事又は地方自治団体の長の請求により、その法律行為の代理権及び財産管理権の喪失を宣告することができる。
 (親権喪失の宣告等の判断基準)
第925条の2 第924条の規定による親権の喪失の宣告は、同条の規定による親権の一時停止、第924条の2の規定による親権の一部制限、前条の規定による代理権及び財産管理権の喪失の宣告又はその他の措置によっては子の福利を十分に保護することができない場合に限り、することができる。
 第924条の規定による親権の一時停止、第924条の2の規定による親権の一部制限又は前条の規定による代理権及び財産管理権の喪失の宣告は、第922条の2の規定による同意に代わる裁判又はその他の措置によっては子の福利を十分に保護することができない場合に限り、することができる。
 (父母の権利及び義務)
第925条の3 第924条、第924条の2及び第925条の規定により親権の喪失、一時停止、一部制限又は代理権及び財産管理権の喪失が宣告された場合であっても、父母の子に対するその他の権利及び義務は、変更されない。
 (失権回復の宣告)0836
第926条 家庭裁判所は、第924条、第924条の2又は第925条の規定による宣告の原因が消滅した場合には、本人、子、子の親族、検事又は地方自治団体の長の請求により、失権の回復を宣告することができる。
 (代理権及び管理権の辞退及び回復)0837
第927条 法定代理人である親権者は、正当な事由があるときは、裁判所の許可を得て、その法律行為の代理権及び財産管理権を辞退することができる。
 前項の事由が消滅したときは、その親権者は、裁判所の許可を得て、辞退した権利を回復することができる。
 (親権の喪失、一時停止又は一部制限と親権者の指定等)
第927条の2
 第909条第4項から第6項までの規定により単独親権者となった父若しくは母又は養父母(特別養子の養父母を除く。)の双方が次に掲げる場合に該当するときは、第909条の2第1項及び第3項から第5項までの規定を準用する。ただし、第1号の3、第2号及び第3号の場合に新たに定められた親権者又は未成年後見人の任務は、制限された親権の範囲に属する行為に限定される。
 (1)第924条の規定による親権喪失の宣告がある場合
 (1)の2 第924条の規定による親権の一時停止の宣告がある場合
 (1)の3 第924条の2の規定による親権の一部制限の宣告がある場合
 (2) 第925条の規定による代理権及び財産管理権の喪失の宣告がある場合
 (3) 前条第1項の規定により代理権及び財産管理権を辞退した場合
 (4) 所在不明等親権を行使することができない重大な事由がある場合
2 家庭裁判所は、前項の規定により親権者が指定され、又は未成年後見人が選任された後に、単独親権者であった父若しくは母又は養父母の一方若しくは双方が次に掲げる場合に該当するときは、その父母の一方若しくは双方、未成年者又は未成年者の親族の請求により、親権者を新たに指定することができる。
 (1) 第926条の規定により失権の回復が宣告された場合
 (2) 前条第2項の規定により辞退した権利を回復した場合
 (3) 所在不明だった父又は母が発見される等親権を行使することができるようになった場合